シンク勝利のアナウンスが流れると、會場に割れんばかりの歓聲と喚（きょうかん）が響き渡った。

「やっべぇ……アレ初見なら俺も攻撃食らう気がするぞ」

「でしょ！？　シンクねぇさんすげぇんっすよ！！」

「ん。シンク強い」

『こ、これが！　Ｓランク同士の闘いだぁぁ！！　我々はとんでもないものを目撃しているぅぅ！！』

今年から導された大型の魔導（アーティファクト）による特殊結界があるおで、出場者たちは文字通り死力を盡くして闘える。

昨年までの寸止めや加減した魔法攻撃ではなく、全力の勝負。

それは、見ている者を間違いなく熱狂させるものだ。

出場選手からすれば、そこに恐怖や気後れ、戦慄などのがり込む余地になるが、俺達にとってはそれすらも好材料だ。

「次の相手はＡランクか。純粋な魔法職だな」

ドダイドがリング外に運び出され、目を覚ますとすぐに次鋒へ報を伝えている。本當に俺たちの事を全く侮っていないようだ。

それに、仮ではあるが一度死を験しているにもかかわらず、その恐怖を抑え込み仲間へと即座に報を伝えるドダイドの膽力には、服せざるを得ない。

続いてリングに上がってきたのは上級魔導士ミモザだ。

ミモザは試合開始と同時に【フレイムボール】を発した。

一気に勝負を付けにきたのか、かなり大きな火の玉がミモザの持っている杖の前方に形される。

そして、その魔法が発した瞬間、フレイムボールの目前（もくぜん）に鉄の壁が現れた。シンクの発した【アイアンウォール】だ。

ミモザは、突如出現した鉄の壁に驚愕してしまい、発したフレイムボールを消すことができなかった。その結果……

――ドッゴォーーーン！！

フレイムボールはアイアンウォールにぶつかり、大きな発を発生させた。當然その一番近くに居たミモザは大きなダメージをけ、吹き飛ばされたところをシンクに追撃をけて気絶した。

『勝者は、【星覇】シンク選手ぅぅ！！！』

「見事な魔法のカウンターだな。あんなんいつ覚えたんだ？」

「一昨日（おととい）……シンクに、魔法職がやられて一番嫌な事を聞かれた。いきなり功させるとは思ってなかった……」

「どんなカウンターセンスしてるんだよ、アイツ。１試合目の盾への変形のタイミングといい、完璧じゃねぇか」

「そうっすよ！　昨日、ギルドの訓練所で何回カウンター食らったか數えきれないっすもん！　センスも勿論そうっすけど、努力してる時間も半端ないっす」

「確かにな。アイツ、今後化けるぞ。俺も負けてられんな！」

シンクは、その後の中堅戦、副將戦でも圧倒的な攻撃力・防力と絶妙なカウンターで、危なげなく勝利を収めた。

そして、最後にリングに上がってきたのは、水の魔剣を扱う魔法剣士ミック。

リングの中央に來るとシンクに話しかけていた。

「シンクさん、ここまでの試合完璧にやられました……

しかし、僕があなた方全員を倒せばいいだけです！」

「冗談が、お上手なのですね。

……萬が一、わたくしを倒せたとしても、わたくしと同格の者が２人。わたくしより圧倒的な強者が２人も控えております。

わたくしに倒される方が、苦しまなくて済みますよ？」

「……それは、本當の事なのか？　まだこの大會で一度も闘っていないあの二人が、あなた達三人よりも圧倒的に強いと……」

わぉ……ミックの勝利への気持ちを、一回の會話で削ぎやがった。

そういうのも覚えたのか？？　……いや、あれは天然でやってるじか。

『それでは、先鋒シンクVS大將ミック、試合開始ぃぃ！！』

試合開始のゴングが鳴り響いた。

ミックは橫に大きく移しながらウォーターボールを４つ同時展開し、正確にシンクを狙い放ってくる。

しかし、シンクもウォーターボールやアイアンバレットでその魔法を撃ち落としながら、撃ち落としきれなかった水の玉も盾で防いでいた。

その隙にミックが魔剣に魔力を通しながら近づく。それに反応してシンクも冷靜に盾を構えた。

両者の武がぶつかり合い、音が響き渡る。

『ミック選手！　大將にふさわしい華麗な戦いっぷりだぁ！　近接での高火力攻撃に加え、ステップで移しながらの水魔法攻撃には、さすがのシンク選手も今までのようにカウンターを合わせられない！！』

その直後……

「【アースバインド】」

シンクが土屬の捕縛魔法を発すると、ミックのが不自然に直した。

その直時間の間にシンクは盾を巨斧に変形させ、橫薙ぎに斬りはらうと、ミックは脇腹から幹の中心部分にかけて大きく切り裂かれ、力が全損し、決著が付いたのだった。

『ええぇぇぇぇ！？　いったい何が起きたのか、実況の私でも分かりません！　しかし、ミック選手のが大きく切り裂かれている！

一瞬ミック選手が直したように見えましたが……魔法なのか！？

いえ、それよりも……ミック選手がピクリともかない！！

シンク選手の５人抜きにより【星覇】の勝利だぁぁぁ！！！』

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