パイラルダンジョン。

攻略の目安はレベル２５の冒険者が６人のＥ級ダンジョン。

そのダンジョンにレベル１の僕がソロでこれから挑む。

中にると薄暗い通路が迷路のようにり組んでいる。頭に地図は完璧にっているため、僕は迷うことなく進んだ。

目的は、もちろんダンジョンボスを倒したら手できる初回クリア報酬だ。

當然僕はボスを倒さないで報酬を手にする予定だけど。

「グギュル」

「うっ、いきなり現れた」

目の前に現れた人喰鬼(オーク)を見て僕はそう呟く。緑のをもっている巨のモンスター。手には木製の棒を持っている。

このパイラルダンジョンにおいて、最も多く出現するモンスターだ。

「や、やっぱり怖いな……」

初めて相手するモンスターとこれから対峙すると思うと、が竦んでしまう。狼(コボルト)ならたくさん相手したから、もう平気なんだけど。

と、そんなことを考えていたら、グルンッ！　と、人喰鬼(オーク)が棒を振り回してくる。

「うわぁ！」

びながら、僕は〈巖の巨兵(ゴーレム)の小盾〉で棒をけ止める。

「うぐっ」

重い一撃に思わず僕はうめき聲を上げる。

だが、〈巖の巨兵(ゴーレム)の小盾〉のおかげで直接ダメージを負うことにはならない。それでも僕の重が軽いせいだろう、そのまま壁へとが叩きつけられる。

一応、狙い通りではある。

「〈回避〉」

壁にが接する瞬間、スキルを発する。

すると、が壁の中に吸収されるかのように向こう側へとすり抜けていった。

「人狼(ウェアウルフ)以外のモンスターでも問題なく壁抜けができることが、これでわかった……」

今まで人狼(ウェアウルフ)でしか試したことがなかったため、他のモンスターでも同様に壁抜けができるのか不安だったが、どうやら杞憂で済んだようだ。

これで、どんなモンスターでも攻撃された後、壁にぶつかる瞬間に〈回避〉を使えば壁をすり抜けることができる、ということが実証された。

ホント、なんで〈回避〉というスキルでこんなことが起こるのかは疑問だが、それは今考えたって仕方がないや。

「一応、ショートカットにはなったのかな」

僕は今いる位置を確認していた。

壁を抜けたことで、本來通るはずだった通路をいくつか飛ばすことができたのだ。

今後も壁抜けを活用してダンジョンを楽に進みたいが、そううまくはいかないだろう。

都合よくモンスターに吹き飛ばされるかつ、ショートカットができる方角に都合よく飛ばされる必要がある。

下手に反対側に飛ばされたのに〈回避〉を使って壁抜けしたせいで、り口に近づいてしまうなんてことも起きかねない。

あまり壁抜けに期待しないほうがよさそうだ。

「もっと簡単に壁抜けができたらよかったのに」

そうすれば、この迷路のようなダンジョンを楽に攻略できるはずだ。

まぁ、ないものねだりしても仕方がない。

確実な方法でダンジョンを進もう。