「グォオオオオオオオッッッ！！」

扉を開けると、雄びをあげた人狼(ウェアウルフ)が出迎えてくれる。

人狼(ウェアウルフ)を倒せる基準はレベル８の冒険者が６人とされている。だから、今の僕では難しいだろう。

それでもボスエリアにったのは、レベルを上げたいというのもあるが、今の自分の実力を試したいから。

それに倒せなくても、僕の場合壁をすり抜ければ外に出られるし。

「グギャゥ！」

人狼(ウェアウルフ)が長い爪を振るう。それを僕は最低限ののきでさける。

「うん、ちゃんと攻撃を目で追えている」

これなら〈回避〉を使わなくても人狼(ウェアウルフ)の攻撃をよけれそうだ。

人狼(ウェアウルフ)は追撃を企てようと、爪を橫に振るう。それを腰を下げてかわし、無防備になったに突き立てるように短剣を押し込む――。

「あれ？」

短剣を確かに當てたはずだが、あまりダメージを與えられていないようだった。

剣でプラスされた攻撃力のおかげで、いくらかマシになったとはいえ、僕の攻撃力がたかが知れていることに変わりはなかった。

ブルンッ！　と、人狼(ウェアウルフ)が大振りの攻撃を企てる。

「〈回避〉！」

うわっ、と思いながらスキルを発させた。

僕のが加速し、気がついたときには人狼(ウェアウルフ)から距離が離れた位置にいた。

「どうしよう……」

この様子だと、人狼(ウェアウルフ)にダメージを與えるのは難しそうだ。何度も同じ箇所に攻撃すれば、傷を負わせることはできるかもしれないけど、そんな戦い方をしたら先に短剣が壊れてしまいそうな気が。

「やっぱ、僕にはまだ早かったかな……」

し強くなったぐらいで、浮かれすぎていたのかもしれない。

確かに僕は強くなった。けど、冒険者として最低限の強さを手にれたに過ぎない。ようやっとスタートラインに立てただけで、客観的に見れば僕はまだまだ弱い。

「いや――」

まだ、諦めるには早いか。

もう一度挑戦して、それで駄目だったら諦めよう。

僕は地面を蹴った。

人狼(ウェアウルフ)も対抗して、僕に飛びかかる。

そして人狼(ウェアウルフ)の攻撃に合わせて、僕は高くジャンプした。

人間や魔には耐久力というステータスが存在する。耐久力があるおかげで、ある程度の攻撃を緩和することができる。

だが、のすべてがいとは限らない。

例えば、

「目はどんな生にとっても弱點だ」

僕は短剣を人狼(ウェアウルフ)の右目に突き刺していた。

「グギョォオオオオ！」

右目が潰れた痛みで人狼(ウェアウルフ)が絶する。さぞ、痛いんだろうなぁ、と同的な気持ちが湧く。けど、この隙を逃すつもりはない。

次の瞬間には、僕は人狼(ウェアウルフ)の左目に短剣を突き立てていた。

こうなったら、もう怖くはない。

そう思いながら、僕は高く跳ぶ。

次に狙う場所はもう決めてある。

表は剛に覆われているせいでい。ならば、がないところを狙えばいい。そう、口の中だ。

両目を失った人狼(ウェアウルフ)はすでに戦意喪失しており、攻撃する素振りが見えない。

そして、おあつらえ向きに口を大きく開けてた。

その中に腕を通し、引き裂くように短剣を振り下ろした。

人狼(ウェアウルフ)は口からを吐きながら倒れる。無事、倒せたようだ。

◆

「おぉ……！」

報酬エリアへ続く扉が開き、僕はした。今まで壁抜けを使っていたから扉が開くのを見るのは初めてだ。

◇◇◇◇◇◇

レベルが上がりました。

レベルが上がりました。

◇◇◇◇◇◇

メッセージが二つ並んでいた。

どうやらレベルが二つもあがったようだ。つまり、今の僕はレベル７ってことになる。

「やったぁ！」

思わず両手をあげてしまう。すごく嬉しかった。

それから人狼(ウェアウルフ)から魔石と素材を剝ぎ取り、報酬エリアに行く。

「クリアしたから、もう手にれることができないんだよなぁ」

中にっていたのは初回クリア報酬の〈旅立ちの剣〉。

もう人狼(ウェアウルフ)を倒してしまったので、二度目の報酬はそれ以外のものになってしまう。

「なんだか慨深いなぁ」

あれだけ脅威に思えた人狼(ウェアウルフ)を倒せたことに、僕はそうじていた。

◇◇◇◇◇◇

アンリ・クリート　１３歳　男　レベル：５→７（ＵＰ！）

ＭＰ：９４→９６（ＵＰ！）

攻撃力：２３→３０（ＵＰ！）

防力：５７→６１（ＵＰ！）

知　：６６→６８（ＵＰ！）

抵抗力：６４→６６（ＵＰ！）

敏　捷：１１６０→１１６５（ＵＰ！）

スキル：〈回避〉〈剣技〉〈理攻撃クリティカル率上昇・特大〉（修復中のため使用不可）

◇◇◇◇◇◇