《最弱な僕は<壁抜けバグ>でり上がる ~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~【書籍化】》―46― もらった報酬と始まる

ラピドダンジョンの初回クリア報酬は〈鋼鉄の鎧〉と呼ばれる防だ。

僕は報酬エリアの寶箱からそれを取り出す。

耐久力をプラス100してくれる優れものだが、こうして持つと意外と重たいことがわかる。につけたら敏捷が下がってしまうので、それをさけたい僕にとっては無用の長だ。売ってしまっても大丈夫だろう。

僕は〈鋼鉄の鎧〉を抱えながら、転移陣を使いダンジョンの外へ出た。

それから僕は換金所にまっすぐ向かう。

「はい、5萬イェールだよ」

換金所のおっさんが僕に貨のった小包を渡してくれる。僕はそれを「ありがとうございます」と言いながらけ取った。

5萬イェールか。〈鋼鉄の鎧〉も売ったおかげで、けっこう儲かってしまった。

「よぉ、アンリちゃん。出てくるの待っていたぜぇ」

「え……っ」

換金所を出るとり口を取り込むように男たちがいた。

「ぐへへ、今日は逃さないぜ」

「親分がアンリちゃんに用があるっていうからさ、大人しく捕まってくれよ」

そう言って、男たちはジリジリと近づいてくる。

どれも見たことがある顔ぶれだ。

全員、ギジェルモの一味だ。

ギジェルモはいないな、とギジェルモ本人がいないことを確認する。

厄介だな、と腰にぶら下げている5萬イェール分の小袋に意識を向ける。間違いなく、これを奪いにきたんだろう。

「おい、捕まえろ!」

僕は地面を蹴り、男たちの間をすり抜けようとする。

それを見た一味は僕を捕まえようと手をばす。

「〈回避〉」

瞬間、僕のが加速する。〈回避〉は人間相手にも有効なスキルだ。

「この野郎! 待ちやがれぇえええええ!」

後ろから僕を追いかけようと迫ってくるが、徐々に引き離すことに功する。そして、気がついたときに後ろには誰もいなかった。

「最近、やけにしつこいな……」

ここ最近、ギジェルモの取り巻きたちが僕に絡んでくるようになった。

嫌がらせのつもりなんだろうけど、流石にしつこい。

「あまり街には近づかないようにしたほうがいいのかな」

モンスターを倒せるようになってから素材を換金してもらうため、街に出向く機會が増えた。

ギジェルモの取り巻きに遭遇するようになったのもちょうどその頃だ。

「んー、向こうが諦めてくれたらいいんだけど」

そうすれば、もっと快適に過ごせるのに。

「取り逃がしたってどういうことだ!!」

酒場にてギジェルモが暴れていた。

「親分、すみません!」

取り巻きの一人が頭を下げる。

「てめぇ!」

それでも怒りがおさまらないギジェルモは取り巻きの首っこを摑んでは、毆ろうとする。

「親分、俺たちにもう一度チャンスをください!」

と、他の部下が庇うように前に出た。

「チャンスだぁ? あの無能のアンリを捕まえられないってどれだけ屈辱的なことかわかってんのか!」

「アンリが想像以上にすばしっこいんですよ」

「んなこと言っても、しょせんレベル1だぞ! 追いつけるだろ!」

「それが、めちゃくちゃ足が速くて誰も追いつけないんですよ」

「んなわけあるかぁ!」

ギジェルモは部下の言葉が言い訳にしか聞こえなかったので、余計頭にが上った。

「いえ、一つだけ果があります」

「あん?」

この場においても冷靜でいる部下の言葉に耳を傾ける。

もし、その果とやらが大したことがなかったら毆ってやろうと思いながら。

「アンリの家を特定しました」

「ほう」

ギジェルモは関心を示した。

確かこいつは追跡に向いているスキルを持っていたはずだ。それで、家を特定したんだろう。

「なので、明日にでもアンリの家を襲撃しようと思うんですが、どうでしょうか?」

なるほど、それならまたアンリに逃げられるなんてことはない。

「よし、俺も行こう」

アンリを直接この手で捕まえられるんだ。

そんな機會、自分が參加しないのはもったいない。

「ぐへへっ」

アンリが絶する顔を想像したら思わず笑いがこみ上げてきた。

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