《最弱な僕は<壁抜けバグ>でり上がる ~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~【書籍化】》―47― 全てが終わり、なにかが始まる――
皆さんが心配するような鬱展開はないです。
「ここがアンリの家です」
翌日、ギジェルモは部下に案されながら、アンリの家に出向いていた。
ギジェルモの後ろには取り巻きがぞろぞろとついてきていた。
総勢13名。
ギジェルモは取り巻きの全員を率いてここにやってきていた。
「隨分と辺鄙なとこにあるんだな」
ふと、思ったことを口にする。
周りには木々が生えているだけで、他にはなにもない。
これなら悪さをしても、他の人に見られる心配はなさそうだ。
「今、アンリはいないんだよな」
「ええ、ダンジョンに向かっているのを確認しています。數時間は帰ってこないと」
「そうか」
ギジェルモたちは昨日話し合い、まずアンリがいない間に家を調べることに決めた。
アンリになにかがある。それは全員の共通認識だった。
攻撃力が低くスキルも〈回避〉しか持っていなかったはずのアンリが換金所を出りしている。なにか想像もつかないことをしていないと、それらは達不可能だ。
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だからこそ、アンリを捕まえてどうやったか吐かせる。もしかしたら、金儲けに利用できるかもしれない。
ただその前にアンリの家にって、手がかりがないか調べてしまおうと考えた。
そのほうが、アンリをより追い詰めることができるはずだ。
アンリからすべて聞きだしたら、アンリを殺すつもりだった。
ギジェルモ自にはアンリを殺す機はなかったが、依頼主のワルデマールがアンリが死ぬことをんているようだし、そうしたほうが都合がいいだろう。
それに、この辺鄙な場所なら、殺してしまっても誰かにバレることはなさそうだし、ちょうどよい。
「鍵がかかっているな」
アンリの家の扉に手をかけ、開かないことを確認する。それにしてもボロい家だ。これなら、簡単に壊せるだろう。
「お前ら、下がっていろ」
部下に指示を出してから、ギジェルモは背中に背負っている斧に手をかける。
そして、斧を振りかざした。
ガジャンッ! ドアがキレイに真二つに割れる。
「流石っすね、親分!」
一撃でドアを壊してしまったことに部下たちは嘆の聲をあげていた。
「こんぐらいちょろいもんよ」
ギジェルモはしいい気になりながら、中へとった。
「とりあえず、金目のものがないか探せ!」
そういうと、部下たちはせっせと中の始める。
隨分と質素な部屋だなぁ、とじる。が必要最低限のものしか置かれていない。アンリは本當にお金稼げているのか? としだけ疑問を持った。
「親分、かわいいの子が寢ていますぜ!」
部下の一人が嬉しそうにんでいた。
だと? アンリが誰かと同棲しているなんて聞いたことがなかったので、興味が湧き聲のしたほうへ向かう。
なにかないか探していた部下たちも同じことを思ったのか、みな手をとめてギジェルモの後ろをついてきていた。
「いやー、隨分とかわいい子ですよね。アンリちゃんの面影がありますし、恐らく妹っすよ!」
と、の子を見つけた部下は興したようにまくしたてる。
「なんだ、これは……?」
一方ギジェルモは気味が悪いとばかりにしかめっ面をした。そして、他の部下たちもギジェルモと似たような反応を示す。
「ん? みんなどうしたんですか? もしかして、こういう子はタイプじゃないとか?」
自分一人だけが興して、他の人たちが不快を覚えていることに気がついた男はそう聞いた。
どうやら、この男だけ気がついていないらしい。
「よく見ろ」
だから、ギジェルモはそれを指し示しながらこう口にした。
「それ、どう見ても死んでいるだろうが」
「えっ?」
男は唖然としながらも、の子のに耳を近づける。
「本當だ……。息していないや」
ギジェルモの言う通り、アンリによく似た金髪のの子は確かに死んでいた。
「しかし、なんで死をベッドに寢かせているんですかね」
「さぁ、葬儀する金がなかったとか?」
「にしても、わざわざベッドに眠らせるか? 俺なら、腐る前に土に埋めちゃうけどな」
「死にしては隨分と狀態がいいな」
「回復薬を死に飲ませたら腐敗を防げるんじゃなかったか?」
「いや、わざわざそれをする理由がないだろ」
「最近死んだから、狀態がいいんだろ」
「死を眠らせるってなんか気持ち悪いな」
「お前ら、いいかげんにしろ! 死なんかより価値があるのを探せ」
ギジェルモは死に関して議論を始めた部下たちを叱咤する。
「お、親分みつけました!」
ちょうどそのとき、部下の一人が駆け寄ってくる。死に興味を示さず、真面目に探していたやつがいたらしい。
「床下にこれだけの金がありましたよ」
部下を持っていたのは小袋に詰まった大量の貨だった。
「よく見つけた」
と、部下のことをねぎらいつつ小袋をけ取る。
「隨分と隠し持っていたみたいですね」
「アンリって金がなくて困っていたよな」
「ああ、そのはずだ。いつも俺たちに金を無心していたし」
「あのアンリがどうやってこれだけ稼いだんだ?」
部下たちが再び議論を始めていた。
「どうやら、アンリがなにかを隠しているのは確実のようだな。この手で直接捕まえて吐かせる必要がありそうだ」
小袋にった貨を見て確信する。
アンリにはなにかがあることを。
「親分、こんなものも見つけましたよ」
と、他の部下がそう言う。
「死の枕元にあったんですが……」
死の枕元にあったということに忌避を覚えながら、部下の持っていたのを見る。
「なんだ、これは……?」
それは立方の形狀をした見たこともないだった。
「おい、〈鑑定〉スキルを持っているやつがいただろ」
謎のの正を確かめるべく、そう呼びかける。すると、部下の一人が立方に対して〈鑑定〉を初めた。
「〈名稱未定〉? なんでしょうこれは?」
と、部下の一人は首を傾げていた。
どうやら〈鑑定〉しても、その正はよくわからなかったらしい。
「金にはなるのか?」
「いや……ここまでなにもわからないとなると、金にはならないんじゃないですか?」
「だったら元の場所に戻しておけ。それを奪ったら呪われそうな気がして気味が悪い」
ギジェルモはそう指示を出す。
死の枕元にあったものを奪うのは、ギジェルモでも気が引けることだった。
「それでどうしましょうか?」
一通り家の中の捜索が終わったので、ギジェルモたちは相談ごとを始めた。
「アンリを捕まえようとしても、また逃げられると面倒ですもんね」
「アンリちゃんが俺たちに歯向かってくれたらいいんですけど」
「アンリを怒らせたらいいんじゃないですか?」
「すでにこれだけのことをしているんだから、アンリは怒ると思うけどな」
「んー、どうでしょうねー」
「火を放て」
ギジェルモがそう呟く。
すると、みながギジェルモのほうを振り向いた。
「流石にかわいそうじゃないですか?」
「どうせ殺すんだ。関係ないだろ」
「それもそうか」
「俺たちが死を代わりに焼いて供養してやるんだよ。悪くないだろ」
グヘヘッ、とギジェルモは笑い出す。
すると、他の皆も同様に笑い始めた。
それはいい考えだと、誰もが思った。
そして、數時間後にはアンリの家は燃えて焼き落ちようとしていた。
これを見たアンリはどんな顔をするだろうか?
それを想像してギジェルモはニタニタと下品に笑う。
◆
◇◇◇◇◇◇
〈名稱未定〉起開始――。
インストールの準備をしています。
◇◇◇◇◇◇
燃え盛る家の中、死の真上で謎の立方が宙に浮いてクルクルと回っていた。
◇◇◇◇◇◇
〈名稱未定〉並びに〈未実裝レイドボス〉のインストールを開始しました。
なお、この作業には數時間かかる恐れがあります。
◇◇◇◇◇◇
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