《最弱な僕は<壁抜けバグ>でり上がる ~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~【書籍化】》―65― パーティーとのダンジョン攻略
アルセーナくん含むパーティーに、僕は一時的に加することになった。
「あくまでも、このダンジョンを抜けるまで、てめぇをパーティーに加えてやるだけだからな。そこんとこ勘違いするなよ」
と、念を押すようにリーダーが僕に口酸っぱく言う。
なんでこうなってしまったんだろう? と僕は後悔しながら、パーティーの後ろからついていった。
ちなみに、せめて荷持ちとしてパーティーに貢獻しろってことで、大きな荷を持たされている。
なんだか、ギジェルモのパーティーにいた頃を思い出す。あのときも、僕は荷持ちとしてパーティーの後ろにいた。
早く家に帰りたい。
ソロで行すれば、すぐにこのダンジョンを抜けられるのに。
家では、名稱未定がご飯を作って待っていることだろう。あれから、名稱未定は毎日、夕飯を作るようになった。
腕も日に日に向上しているようで、おいしい料理を作れるようになっている。たまに、失敗してまずいときもあるけど。
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ともかく、最近の僕は名稱未定の作る夕飯が楽しみで仕方がなかった。
名稱未定との生活も結構馴染んできているんだよなぁ。
最初の頃は名稱未定は僕に対し、つっけんどんな態度だったが、ここ最近口が悪いのは直ってないけど、會話をしてくれるようになったし。
當初はなにか事件を起こさないか心配だったけど、それも料理や読書にハマってくれたおかげなのか、大人しくしてくれている。
まぁ、だからって名稱未定に心を開きすぎるのも問題なんだけど。いつかはエレレートにを返してもらう必要がある。
そのことに関して、僕と名稱未定は相容れることはないんだから。
「おい、モンスターが現れたぞ!」
ふと、見ると前方に鶏蜥蜴(コカドリーユ)が現れた。
僕を除いた冒険者たちは陣形を組み、相対する。
アルセーナくん含むパーティーは僕を除いて四人いる。
アルセーナくんは大きな盾を持って、タンクの役割を擔っているからか、前に進み出ていた。
リーダーとパーティー唯一のの冒険者はどちらも剣士で、両側からモンスターを挾み込むように突撃しようとしていた。
もう一人、弓使いがいて、後方から狙撃しようと構えている。
ちなみに、僕はさらにその後ろでなにをするでもなく突っ立っていた。
邪魔をするな、と言われていたし、ここはなにもしないのが最善だろう。
そして、4人は協力して鶏蜥蜴(コカドリーユ)を倒した。
「みんな、大きな怪我はしていないよな?」
戦闘終了後、リーダーは皆に確認するようにそう言う。
「アルセーナ、お前は回復薬を飲んでおけ」
「そんな、悪いっすよ」
「タンクは一番命かける必要のあるポジションだからな。飲めるときに飲んでおくもんだぞ」
「あ、ありがとうごさいます」
と、リーダーがアルセーナくんに回復薬を渡していた。回復薬は貴重だから、アルセーナくんが渋るのも無理はないが、結局リーダーに説得されて回復薬を呑むことにしたようだ。
「おい、アンリ! お前は素材に解して袋に詰めておけ!」
「は、はい」
返事をして、せっせと鶏蜥蜴(コカドリーユ)を解して袋に詰めていく。
どうやらリーダーが當たりが強いのは僕にだけのようだ。
こんな調子でパーティーは次々とダンジョンの奧へと進んでいった。
「ボスの部屋の手前まで來てしまったわね」
剣士の言う通り、僕らはボスエリアの扉がある部屋までたどり著いていた。僕としては何度もこの部屋に來たので、特に慨深いってことはないが。
「リーダー、どうします? 引き返しますか」
「引き返すにしても、それだけの力殘ってないだろ」
ボスを倒して転移陣で外にでるか、道中に出てくるモンスターを倒しながら來た道を引き返すか、どちらを選択するかはダンジョン攻略において判斷が難しいところだ。
「ここのボスなんだっけ?」
「確か、毒蜥蜴ノ王(バジリスク)ですよ」
「どんなやつだっけ?」
「えーと、覚えてないな……」
「ギルドで確認にしたとき、そんな強いって印象はなかったけどね」
「確か、ここの初回クリア報酬大したことないから、攻略する旨味もあんまないんだよな」
「でも、毒蜥蜴ノ王(バジリスク)の素材はけっこう高値がついたはずですよ」
「あ、あの……っ」
「てめぇは無能はなんだから、黙ってろ! アンリ!」
「ご、ごめんなさいっ!」
口を開いたら、リーダーに怒鳴られた。
毒蜥蜴ノ王(バジリスク)の報を伝えようとしただけなのに。
実際、彼らは毒蜥蜴ノ王(バジリスク)を倒せるだろうか。んー、なんとも言えない。
毒蜥蜴ノ王(バジリスク)に勝てるかどうかは、あの部屋全を覆うような毒を対策できるかどうかに掛かっている。
それさえできれば、問題はないとは思うけど。
「おい、アンリ」
リーダーに呼び出しをくらう。
どうやらパーティーでの話し合いが終わったようだ。
「俺たちはこれからボスエリアにることに決めた。んで、お前はどうする? こっから一人で引き返してもいいぞ」
それなら、一人で引き返そうかな。
他の人とボスエリアをってクリアなんてしたら、初回クリア報酬をもう一度回収することができなくなってしまうかもだし。
「リーダーお願いですから、アンリもボスエリアにれてやってください!」
と、會話に割り込んできたのはアルセーナくんだった。
「だが、こいつを守るなんてできないぞ」
「けど、こいつが一人で引き返すよりは中にったほうが助かる可能が高いので」
「もう勝手にしろ」
諦めたようにリーダーがそう口にする。
「アンリ、俺が守ってやるから心配しなくていいからな」
小聲でアルセーナくんが耳打ちするようにそういった。
「あ、ありがとう……」
心、ありがたいとは思ってないけど、一応お禮を言っておく。
幸いにも〈結晶のかけら〉はあと一つ回収すれば、終わるはずだし土下座でもして譲ってもらえばいいか……。
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