《最弱な僕は<壁抜けバグ>でり上がる ~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~【書籍化】》―87― 連戦
「それで、次は誰が僕の相手をしてくれますか?」
群集の向かってそう言うが、今度は名乗りあげる者が中々いない。
「おい、お前行けよ」
「お前がいけよ。ビビってんのか? この野郎」
ってじで、誰も前に出てこなかった。
どうしようかな? と首をかしげる。クランのリーダーになるには、全てのリングを集める必要がある。
このまま誰も相手してくれなかったら、埒があかない。
「おいっ、なにか不正しているんじゃねぇのか? アンリがこんなに強いなんてありえないだろ」
ふと、誰かがそう口にした。
いやいや、不正って。証拠もないのに、そんなわけないじゃん。
「あぁ、間違いねぇ。不正じゃな、こんなのおかしい」
「もしかして、八百長だったとか」
「罠をはってたとか、毒を盛っていたとか」
「味方が隠れて攻撃していたのもかも」
「そうじゃなきゃ、アンリがこんなに勝てるわけねぇよな」
だけど、僕が不正したという憶測はあっという間に集団に伝播していく。
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まいったな。そんなに僕が勝つのが信じられないのか。
これじゃ、いくら大會を優勝したとしてもリーダーとして牽引することはできない。不正の疑いがあるリーダーに導かれたいなんて誰も思わないだろう。
だから、不正を払拭するにはどうすべきか考えていた。
そして、1つの考えが思い浮かぶ。
「ふぅ」と、僕は大きく息を吐いて、決意を固めていく。
そして、僕はこれから行うことを宣言した。
「今から、ここにいる全員をぶちのめすことにします」
あまり大きい聲で言ったつもりではないが、ここにいる全員聞こえたようで、皆が僕のほうを見て固まっていた。
「圧倒的な力を見せれば、誰も僕に文句言えなくなるでしょ」
「おい、なにを言って――」
口を開いた男が最後まで言い終えることはなかった。なぜなら、そいつの顎を強打で砕したから。
「おい、どういう――うがぁッ!」
「俺はリング持っていない――がはぁッ!」
「おい、やめてくれ――ぐはぁッ!」
リングを持っていようが持ってなかろうが関係ない。
目にったヤツはもれなく倒す。
その心意気で僕は次々と拳を使って、冒険者たちをぶちのめしていく。
「お、お前が強いのはわかったから……ッ」
「でも、さっき不正を疑ったよね」
と言いながら、そいつの頭に蹴りを加える。
「うぉおおおお! いい加減にしろ、クソガキィ!」
「うるさい」
中には僕に立ち向かってくる冒険者もいたが、問答無用で叩きのめしていく。
「おい、不正を疑ったのは悪かった――」
「そう」
土下座して謝ろうとした者もいたが、関係なく足を振り下ろす。
こうやって大人數を相手に戦うと、ギジェルモとその一味と戦ったことを思い出す。
あのときより人數は多いが、一人ひとりの強さは圧倒的に劣る。だから、やりやすい。
あのときと違う點といえば、僕が手加減しているってことか。
彼らには來たるレイドモンスター相手に戦ってもらわなくてはならない。だからこそ、回復薬を飲めば簡単に完治する程度の攻撃を繰り返していった。
「こんなもんかな」
僕は立ち止まって汗を手の甲で拭う。
すでに、ほとんどの者が地面に倒れていた。
流石に、これだけの人數を相手にするのは疲れた。
結局、僕はリングの所有者を何人倒すことができたんだろう。リングを持っていない者も襲いかかってきたせいで、全然把握できていない。
「よぉ、隨分とおもしろいことをしているじゃねぇか!」
大きな聲が響き渡る。
見ると、僕の倍以上背が高く筋骨隆々なうえ、自分の背丈より大きな大剣を持っている男がいた。
「俺も混ぜてくれよ」
まさか、彼が參戦するとは。
目の前の男はガラボゾの町では有名な冒険者だ。
曰く、群れることを嫌い、必ずソロでダンジョンの攻略をするという。その上、ガラボゾの町にあるダンジョンを最難関のC級を除き、全てソロで攻略を果たしたらしい。
リーダーを務めていたギジェルモよりも強いと噂されていたが、上述の一匹狼な気質と権力に興味がなかったがゆえに、決して表にでてくることはなかった。
だから、このクランのリーダーを決める大會にも興味がないと思っていたが。
「もちろん、いいですよ。ロドリグさん」
「ほう、俺の名前を知っていてくれたか」
「そりゃ、知っています。なにせ、あなたは『ガラボゾ最強の男』ですから」
『ガラボゾ最強の男』。まさに、彼を表現する最も適した言葉に違いない。
「てっきり、ロドリグさんは、こういうのに興味がないんだと思っていました」
「ん? なんでそう思ったんだ?」
「だって、あなたはギジェルモよりも強いと噂されていたのに、皆の上に立たなかったじゃないですか?」
「あぁ、俺は強くなることにしか興味がないからな。だから、ここに來た」
「そうですか、だったら僕と一緒ですね」
「かっかっかっ、確かに、そうみたいだな」
そう言って、男は不敵な笑みを浮かべる。
彼も僕と目的は一緒。どちらもレイドモンスターを討伐した際に得られる、報酬が目的なようだ。
貢獻度が高いほど豪華な報酬が得られるなら、クランのリーダーになるのが一番確実。
ならば、どちらがクランのリーダーに相応しいか雌雄を決する戦いを始めようじゃないか――。
明日、2話更新します
【書籍版4巻7月8日発売】創造錬金術師は自由を謳歌する -故郷を追放されたら、魔王のお膝元で超絶効果のマジックアイテム作り放題になりました-
書籍版4巻は、2022年7月8日発売です! イラストはかぼちゃ先生に擔當していただいております。 活動報告でキャラクターデザインを公開していますので、ぜひ、見てみてください! コミック版は「ヤングエースUP」さまで連載中です! 作畫は姫乃タカ先生が擔當してくださっています。 2021.03.01:書籍化に合わせてタイトルを変更しました。 舊タイトル「弱者と呼ばれて帝國を追放されたら、マジックアイテム作り放題の「創造錬金術師(オーバーアルケミスト)」に覚醒しました -魔王のお抱え錬金術師として、領土を文明大國に進化させます-」 帝國に住む少年トール・リーガスは、公爵である父の手によって魔王領へと追放される。 理由は、彼が使えるのが「錬金術」だけで、戦闘用のスキルを一切持っていないからだった。 彼の住む帝國は軍事大國で、戦闘スキルを持たない者は差別されていた。 だから帝國は彼を、魔王領への人質・いけにえにすることにしたのだ。 しかし魔王領に入った瞬間、トールの「錬金術」スキルは超覚醒する。 「光・闇・地・水・火・風」……あらゆる屬性を操ることができる、究極の「創造錬金術(オーバー・アルケミー)」というスキルになったのだ。 「創造錬金術」は寫真や説明を読んだだけで、そのアイテムをコピーすることができるのだ。 そうしてエルフ少女や魔王の信頼を得て、魔王領のおかかえ錬金術師となったトールだったが── 「あれ? なんだこの本……異世界の勇者が持ち込んだ『通販カタログ』?」 ──異世界の本を手に入れてしまったことで、文明的アイテムも作れるようになる。 さらにそれが思いもよらない超絶性能を発揮して……? これは追放された少年が、帝國と勇者を超えて、魔王領を文明大國に変えていく物語。 ・カクヨムにも投稿しています。
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