《最弱な僕は<壁抜けバグ>でり上がる ~壁をすり抜けたら、初回クリア報酬を無限回収できました!~【書籍化】》―98― 家でのやりとり
街に行くと住民たちは大騒ぎになっていた。
聞いてみると、どうやら、さきほどのレイドイベントの告知は僕だけではなく、この町に住む住民全員に行われたようだ。
あの告知のおかげで、レイドモンスターの襲來という災害が急に現実味を帯びたせいだろう、住民たちは街頭にでては不安を共有し合っていた。
他にも、普段は商人をやっていて戦いとは無縁そうな人が武を買い漁っていたり、急度に備えて食べを買い溜めしようと食材を売っているお店にたくさんの人が押し掛けていたりしていた。
その後、広場の中央に鎮座した塔の形狀をしたレイドダンジョンを眺めた。
他にも、3つのレイドダンジョンがそびえ立っており、どれも似たような形狀をしているが、この中央にあるレイドダンジョンが最も空高くそびえ立っていた。
このダンジョンの中にレイドボスがいるらしい。
◆
「ねぇ、名稱未定。レイドイベントの告知は見た?」
「なんですか、それ? 名稱未定ちゃんは知らないですねぇ」
Advertisement
「名稱未定には、屆いていないんだ……」
恐らく町の住民には冒険者でなくても屆いていたと思ったけど、これは、どういうことだろう?
「そんなことより、今日のご飯です。わざわざ夕飯を用意した名稱未定ちゃんに謝してください」
「あ、ありがとう」
そんな會話をしながら、夕食を始める。
「それで、レイドイベントの告知でしたっけ?」
「うん、さっき、急にメッセージが表示されて告知が行われたんだよね」
そう言いながら、僕はステータス畫面を開いて、レイドイベント専用のページを開く。
すると、対面で食事をとっていた名稱未定がわざわざ席を立ち、ステータス畫面を見るために隣までやってきた。
「ルールがたくさんありすぎて、よくわかりませんね」
名稱未定が顔をしかめてそう呟く。
確かに、パッと見でこれらのルールを理解するのは難しいに違いない。僕も、まだ把握しきれていないし。
「とにかく町にモンスターが溢れるのは間違いないみたいだから、名稱未定は安全なとこに避難してよね」
聞いた話だと、非戦闘民は一箇所に集めて、冒険者で護衛するらしい。
名稱未定もそこに避難してもらう予定だ。
「ふんっ、名稱未定ちゃんは最強だから、避難する必要なんてないと思いますが」
「強いのは事実かもしれないけど、人前に見せられる力じゃないでしょ、名稱未定のは」
「そうなんですか?」
と、彼は小首を傾げる。
名稱未定は戦うとき、腕を手にして戦う。そんな力、人前で見せたら、人に化けたモンスターじゃないかと誤解をけそうな気がする。
まぁ、事実、彼はモンスターなんだけど。
「とにかく、名稱未定は安全なとこにいてよね」
「はぁ~い」
と、名稱未定は人を小馬鹿にしたような返事をする。
本當にわかっているのか、と言いたくなったが、こればかりは彼を信じるしかないか。
◆
翌日、今日もいつものごとくダンジョンに行こうと、町を出て――
「おい、アンリ。親分がお前のことを探していたぜ」
ふと、誰かに話しかけられた。
見たことある顔だが、名前までは知らない。恐らく〈名も無きクラン〉に所屬する冒険者だということはわかるけど。
「親分って?」
「ロドリグさんだよ。いつもの飲み屋に來いってさ」
あぁ、親分ってロドリグさんのことか。
「わかった、すぐ行くよ」
僕はそう答えて、いつもロドリグが飲んでいる飲み屋に急いで向かった。
「よぉ、アンリ。待っていたぜ」
「えっと、なんのようですか?」
「これから三巨頭會議があるらしくてよ。それにお前も付き添ってほしい」
「三巨頭會議ですか?」
三巨頭ってのは、この町にある3つのクランのそれぞれのリーダーのことだ。
三巨頭會議ってことは、ようはリーダーが集まってなにか話し合いをするってことなんだろう。
「あぁ、レイドイベントについて、話し合いをするらしいが、俺は頭を使うことが苦手だからな、代わりにお前がやれ」
そんなこと言われても……。
僕だって、そういうのが得意ってわけではない。
「まぁ、言われたからにはやりますけど」
一応、僕は〈名も無きクラン〉の副リーダーではあるので、リーダーの命令を聞く責任がある。
にしても三巨頭會議か。
そこでは、一どんなやり取りが行われるのだろうか。
書籍化とコミカライズ決定しました。
皆さんの応援のおかげです。ありがとうございます。
詳細についてはまた後日。
引き続きよろしくお願いします。
【二章開始】騎士好き聖女は今日も幸せ【書籍化・コミカライズ決定】
【第二章開始!】 ※タイトル変更しました。舊タイトル「真の聖女らしい義妹をいじめたという罪で婚約破棄されて辺境の地に追放された騎士好き聖女は、憧れだった騎士団の寮で働けて今日も幸せ。」 私ではなく、義理の妹が真の聖女であるらしい。 そんな妹をいじめたとして、私は王子に婚約破棄され、魔物が猛威を振るう辺境の地を守る第一騎士団の寮で働くことになった。 ……なんて素晴らしいのかしら! 今まで誰にも言えなかったのだけど、実は私、男らしく鍛えられた騎士が大好きなの! 王子はひょろひょろで全然魅力的じゃなかったし、継母にも虐げられているし、この地に未練はまったくない! 喜んで行きます、辺境の地!第一騎士団の寮! 今日もご飯が美味しいし、騎士様は優しくて格好よくて素敵だし、私は幸せ。 だけど不思議。私が來てから、魔物が大人しくなったらしい。 それに私が作った料理を食べたら皆元気になるみたい。 ……復讐ですか?必要ありませんよ。 だって私は今とっても幸せなのだから! 騎士が大好きなのに騎士団長からの好意になかなか気づかない幸せなのほほん聖女と、勘違いしながらも一途にヒロインを想う騎士団長のラブコメ。 ※設定ゆるめ。軽い気持ちでお読みください。 ※ヒロインは騎士が好きすぎて興奮しすぎたりちょっと変態ちっくなところがあります。苦手な方はご注意ください!あたたかい目で見守ってくれると嬉しいです。 ◆5/6日間総合、5/9~12週間総合、6/1~4月間ジャンル別1位になれました!ありがとうございます!(*´˘`*) ◆皆様の応援のおかげで書籍化・コミカライズが決定しました!本當にありがとうございます!
8 119家から逃げ出したい私が、うっかり憧れの大魔法使い様を買ってしまったら
◇SQEXノベルさまより書籍全3巻発売中!3巻は完全書き下ろしで、WEB版の続きになります。幸せいっぱい、糖分過多のハッピーエンドです。 ◇ガンガンONLINEさまにてコミカライズ連載中! コミックス2巻が発売中です。 ◇ 書籍ではWEB版のラストを変更しています。 伯爵家に引き取られたジゼルは、義母や妹に虐げられながらも、持ち前のポジティブさと亡き母に貰った『やさしい大魔法使い』という絵本を支えに暮らしていた。 けれどある日、自身が妹の身代わりとして変態侯爵に嫁がされることを知り、18歳の誕生日までに逃げ出す計畫を立て始める。 そんな中、ジゼルは奴隷市場でムキムキの青年を買うつもりが、ついうっかり、歳下の美少年を買ってしまう。エルヴィスと名乗った少年は、ジゼルをクソガキと呼び、その上態度も口もとんでもなく悪い。 ──実は彼こそ、最低最悪の性格のせいで「人生をやり直してこい」と魔法を封印され子供の姿にされた後、神殿から放り出された『大魔法使い』だった。 魔法によって口止めされ、自身の正體を明かせないエルヴィス。そんな彼に対しジゼルは、あまりにも辛い境遇のせいでひねくれてしまったのだと思い、逃亡計畫の傍らひたすら愛情を注ぎ、更生させようとする。 (あれ、エル、なんだか急に身長伸びてない?魔法が少し使えるようになったって?ていうか距離、近すぎるのでは……?) 世話を焼き続けるうちに、エルヴィスに少しずつ不思議な変化が現れ始める。彼に掛けられた魔法が、人を愛することで解けることを、二人が知るのはまだ先で。 家を出たい心優しい少女と、元の姿に戻りたい優しさの欠片もない魔法使いが、幸せになるまでのお話です。
8 181俺、覇王になりました。
主人公の転道 覇道は全てに置いて卓越した才能をもっていた。とある中3の夏に寢ていると転生神によって転生させられてしまう。_これは主人公の覇道が最強になるお話です。_
8 70手違いダンジョンマスター~虐げられた魔物達の楽園を作りたいと思います~
神がくしゃみで手元が滑り、手違い、と言うか完全なミスによって転移させられ、ダンジョンマスターとなってしまう。 手違いだというのにアフターケア無しの放置プレイ、使命も何もない死と隣り合わせのダンジョン運営の末、導き出された答えとは!? 「DPないなら外からもってこれば良いのでは? あれ? 魔物の楽園? 何言ってるんだお前ら!?」
8 182強大すぎる死神は靜かに暮らしたい
死神ラト、それはかつて人だった神 人達は死神を嫌う、死を與える神だと 精霊は死神を好く、魂を導く神だと 死神は思う、靜かに暮らしたいと
8 53ぼくには孤獨に死ぬ権利がある――世界の果ての咎人の星
1990年の春、地方都市の片隅で鬱屈した日々を送る普通の女子中學生、永田香名子の前に現れたのは、ハヤタと名乗る宇宙人の家政夫だった。奇妙な同居生活の中で二人は惹かれ合うが、異星の罪人であるハヤタが、科せられた〈情緒回復計畫〉を達成し、罪を贖う時、彼は殘酷な刑へ処せられる運命だった――。リアリズム、ファンタジー、SFが交差する作風で、ひとりの女性の數奇な人生を1990年から2020年まで追い続けた、異色のゴシック・ロマンス小説、決定版にして〈完全版〉!
8 134