《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》09.勇者、弟と戦い圧勝する

「これより、1本勝負を行う」

教練室の中央に、俺と弟が相対している。

同級生達は、2階の観戦席から、俺たちを見下ろしていた。

「何を使っても良いが殺しはなしだ。相手が気絶、もしくは參ったといった段階で試合終了。いいな?」

先生に言われて、俺たちはうなずく。

「では……試合、開始!」

「最初から本気でいかせてもらうよ!」

ガイアスはポケットから、手のひらサイズのクリスタルを取り出す。

「いでよ、我が最強無敵の召喚獣よ!」

ガイアスは結晶を地面にたたきつける。

地面に魔法陣が浮かび上がり、そこから大きな生きが出てくる。

人間の倍くらいある、赤いトカゲだ。

尾の先から炎が出ている。

「見たかい兄さん! これがカーライル家に代々伝わる最強の守護獣【火蜥蜴(サラマンダー)】だ! そのレベルは30!」

「そんなまさか……30だって?」

「さぁ火蜥蜴! めざわりなクズ兄貴を殺せぇ!」

ガイアスの命令をけ、火蜥蜴が俺めがけて、炎を吐き出す。

ゴォオオオオオオオオオオオオオッ!

「が、ガイアス! 殺しは無しと言ったはずだぞ!」

「これは事故ですよぉ。殺す気はなかったんですってぇ」

「ん、そうだな」

「はぁああああああああ!?」

ガイアスは目をむいて俺を見る。

俺は服についた火のを、手でパッパッ、と払った。に全くダメージはない。

「どうして!? レベル30の召喚獣による攻撃をけて平然としてるんだ!?」

「いやそれ駆け出し冒険者でもたおせるレベルだぞ」

この程度の攻撃なら、勇者(おれ)にはノーダメージだ。

魔法防力のステータスが高いからな。

「くそっ! 殺せぇ! 殺せぇ!」

火蜥蜴が火の玉を10個ほど吐き出す。

その全てを、をひねる最小限のきだけで躱す。

「なっ、なんだよ今の超人的なきはッ!」

「敵の攻撃の軌道を予測し、避けるだけだ。こんなの基礎だろ?」

「できないよぉ……!」

その後も火蜥蜴は炎で攻撃し続けた。

次第に尾の炎はんでいき、ついに消えた。

「魔力切れか?」

「うるさいッ! 飛びかかって押し殺せぇ!」

火蜥蜴は高くジャンプする。

かなりの巨だ、このままでは圧死する。

パシッ。

「な、なにぃいいいいい!?」

火蜥蜴の顔面を摑み、左腕一本で支えている。

「あの巨を軽々持ち上げるなんて! いったい何をしたぁ!?」

「え、闘気(オーラ)で強化してるんだけど?」

大気中に満ちる自然エネルギーをに取り込み、発的な運エネルギーへと変換する技だ。

「いくぞ」

トカゲの顔面を摑んだ狀態で、思い切り、地面にたたきつけた。

ドガァアアアアアアアアン!

地面に大きなクレーターができる。

今ので、火蜥蜴はこっぱみじんになった。

「そんな……噓だ……」

「まさかこれで終わりなわけないよな? 天才って言われてるんだ、さぞすごい実力を持ってるんだろ?」

「くっ! う、うぉおおおお!」

も持たず、闘気でを強化もせず、ただ突っ込んでくる。

「死ねぇ出來損ないぃいいい!」

弟は、へろへろのパンチを繰り出してきた。

ガイアスの腕を摑んで、勢いを殺さず、そのまま宙に投げ飛ばす。

「うわぁあああああああああ!」

2階の天井付近まですっ飛んでいった。

そのまま重力に従い、弟が落ちてくる。

「助けてぇえええええ! ママぁああああああ!」

俺は人差し指一本を立てる。

そこへ弟がちょうど落下した。

ピタッ。

「…………はぇ?」

そのまま弟をお姫様抱っこし、すっ……と下ろす。

「怪我ないな?」

弟は大の字になって、気を失った。

「勝者……ユリウス!」

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