朝食後。

転移魔法で、一瞬で教室の前へとやってきた。

俺は昨日と同じ席を目指す。

「エリーゼだ。ん？　周りに誰か居るな」

ハーフエルフの彼の周囲を子達が囲っていた。

「あんた気持ち悪いのよぉ、いつも髪ボサボサでさぁ」

「幽霊みたいでキモい。髪のくらいきりなさいよぉ」

どうやら彼たちは、エリーゼの髪のの長さを注意しているようだ。

「…………」

エリーゼはこまり、黙ったままだ。

あとで髪切るよくらい言えばいいのにな。

「あたしが髪のきってあげようかぁ～？」

絡んでたひとりが、ハサミを持ち出す。

「丸坊主にしてあげるわよぉ～。そんでもってその醜い長い耳をさらしなさぁ～い」

逃げようとするエリーゼの長い髪を、暴に摑む。

パシッ……！

「そーら！　丸坊主に……って、あれ？　ハサミ、どこいったの？」

「あの長耳もいないわ！」

俺は彼たちから離れた場所で、エリーゼをお姫様抱っこしてる。

指先にハサミを引っ掛けていた。

「だいじょぶか？」

「う、うん……」

俺はエリーゼを下ろす。

彼はポーッとしていた。

「あっ、あんたいつ近づいたのよ！　見えなかったわよ！？」

「え？　ゆっくりいたつもりだけど？」

一瞬で近づいて、ハサミを奪い、エリーゼを回収して、離れたところまでやってきた。

この間０．０１秒。遅いな。

まあの子抱えて全力だせないしこんなもんか。

「ちょっと魔無しぃ！　邪魔すんじゃないわよ！」

さっきハサミを持っていた名も無き子生徒が、俺に絡んできた。

「あたしは注意してたの！　そこのボサボサ頭の幽霊は校則違反をしてるわ」

「え、そうなの？」

「そうよ、前髪は目に掛からないように、っていう記述があるんだからっ」

転生したばっかりで校則なんて知らないからな。

「エリーゼ、髪、切っていいか？　痛くしないから」

「……え？　う、うん」

ひゅっ……！

バサッ……！

「……え？　えっ？　う、うそ、一瞬で切れてる」

困するエリーゼの周囲には、金髪のが落ちている。

「……い、いったいなにが？」

「手刀でパパッと髪のを良いじに切らせてもらったよ。……って、おお、人じゃないか」

髪のを切ったエリーゼは、とびきりのになっていた。

雪のように真っ白な。

青い瞳。

顔のパーツはすべて完璧に整っていた。

「なっ、なんだよあの子！　めっちゃ人じゃん！」

「うそっ！？　ボサ髪のエリーゼって、あんなだったのかよ！」

「うっわ、話しかけときゃ良かった！」

男の同級生たちが、ざわめいてる。

「これで文句ないだろ？　ほら、ハサミ返すよ」

絡んできたは、しくなったエリーゼを見て歯がみする。

「ちょ、ちょっとくらい綺麗になったからって調子乗るんじゃないわよ！」

はハサミを持って、エリーゼに斬りかかろうとする。

「それにまだちょっと目に髪のが掛かってるわぁ！　丸坊主にしてやるんだからぁ！」

「そりゃ困る」

俺は手を軽く振る。

パキンッ……！

「は、ハサミが々に……！　離れた場所から、何したのよあんた……！」

「え、手刀で斬撃を飛ばすことくらい、當たり前にできるよな？」

「そんなの……剣の達人でもできないわよ……」

へたり込んでかないを、取り巻きが彼を持ち上げて、すごすごと退散した。

「助けてくれて、どうもありがとう」

エリーゼが俺に頭を下げる。

「え、助けた？　俺なんかしたっけ？」

ぽかん、とした表となる。

ややあって、クスッ……と彼は笑う。

「ユリウス君、変わってるね。けど……とっても素敵」

熱っぽい視線を向けそう言ったのだった。

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