《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》19.勇者、果を見せて驚愕させる

転移魔法を使い、學園長室へと一瞬で戻ってくる。

「「「なっ、なにぃいい!?」」」

學園長以外にも、その場に先生達がいた。

俺を見た瞬間に聲を張り上げた。

「い、いま、あなた何もないところから出てきませんでしたか!? いったいどうやって!」

「え、転移魔法だけど?」

「あ、ありえない! 空間転移系の魔法は難易度SSSの魔法! 使い手はこの世に存在しないはず!」

続いて奧で待機していた學園長アリシアが、微笑みながら近づいてくる。

「ユリウス、アイテムは無事ゲットできましたか?」

「おう。とりあえず全部持ってきた」

俺は虛空剣を使い、空間を切り裂く。

異空間に収納していたアイテムが吐き出される。

「な! なんだこれはッ!?」

先生達が、山積されているアイテムを手に取る。

「無限魔力の水晶!? SSSランクの寶じゃないか!」

「これもしや、神話級の魔剣レーヴァテインか!?」

「こんなお寶……いったいどこでっ!?」

「え、取ってきたアイテムだけど、これでいいだろ?」

「ちがうっ! 取ってくるのは【賢者の石】だけでいいんだっ!」

「こんなじの石ですよ」

アリシア學園長が、寫真を手渡してくる。

「あ、途中で拾った石ころじゃん」

俺はポケットから、臺座にのっていた赤い石ころを取り出す。

「ばっ、ばかな! 賢者の石を取ってきただと!? 守護していた神獣はどうした!?」

ガッ! と先生がつかみかかってくる。

「神獣? ペットは居たけど、三つ首の」

「先祖が賢者の石をお守りするために、殘してくれた神獣を扱いって……」

先生一同が、愕然とした表で俺を見やる。

「道中の強力なモンスター達はどうしたのですか?」

アリシア學長が真剣な表で問うてくる。

「そんなの居た? ゴブリンとか首無し騎士ならいたけど」

「それですよ……やはり、あなたは素晴らしいですねユリウス」

學園長が心したようにうなずく。

「しかしこの寶の山、いったいどこから取ってきたのですか?」

「賢者の石が置いてある部屋の奧にあったよ。壁壊した向こう側に」

「「「こ、壊したぁあああ!?」」」

先生達が愕然とした表で俺を見やる。

「ん? なんで驚いてるんだ」

「あの部屋の壁はオリハルコンって言って! この世界で最高の強度を持つ鉱でできてるんだよ!」

「普通に斬れたけど?」

「信じられない……バケモノか、この子は……」

その場にいる全員が、俺を異質なる者を見る目で見てくる。

「さっきから何に驚いてるんだ?」

「「「全部にだよッ!」」」

「ユリウス、君はまるで勇者神の生まれ変わりのような子ですね」

アリシアは心したように言う。

生まれ変わりも何も、本人なんだけどな。

「なん……ですって……」

ぺたん、とアリシアはその場にへたり込む。

「ユリウス君は……いや、あなたさまは、本當に伝説の勇者ユージーンなのですか……」

あれ、なんでわかったのだろうか?

「わたしには心の奧すらも【見抜く目】を待ってるのです」

アリシアは立ち上がると、深々と頭を下げる。

「お會いできて栄です」

「「「が、學園長が頭を下げていらっしゃる!」」」

先生一同が、またしても驚いていた。

「やめてくれよ。俺は今、ユリウスなんだ」

「なるほど……事がおありのようですね。でしたら、微力ながらお力添えさせてください」

アリシアは執務機へ向かい、何かを書き留めると、戻ってくる。

「この書狀をお持ちになっていてください」

「なにこれ?」

「あなたを【特待生】として認める旨が書かれたものです」

學園長から書狀をけ取る。

「「「「とっ、特待生!?」」」」

「え、なんかすごいの?」

「すごいってものじゃあない!」

「そうよ! 學費全額免除! 授業免除! 試験免除! そのほかあらゆる特権が特待生には與えられるのよ!」

「君にはとても期待していますよ」

學園長が、ポンッ、と俺の肩をたたく。

「……あなたが勇者様とバレず、不自由なく學園生活を送れるよう、わたしが最大限サポートします」

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