《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》20.勇者、弟に権力の差を見せつける

「おお、すごい広いな、この部屋」

やってきたのは、學園にある部屋の1つだ。

教室の2~3倍は大きい。

特待生に與えられる【プライベートルーム】だそうだ。

と、そのときだ。

「くそ兄貴ぃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

「おお、弟よ。どうした?」

走った眼のガイアスの手には、【末なぼろい剣】が握られていた。

「聞いたよ、兄さん……特待生になったんだろ?」

「耳が早いな」

「學園中でうわさになっているよ。學期の途中から特待生に選ばれたのは、學園始まって以來初だって」

「え、そうなの?」

「……みんな言ってるよ。カーライルはすごいって……ボクじゃなくて、兄さんのことをね!」

「え、おまえ何キレてるんだ?」

「うるさい! 兄さん、ボクと勝負しろ! ボクが勝ったら特待生の権利をよこせ!」

「え、別に勝たなくてもいいぞ。しくて貰ったわけじゃないし」

「どこまでも、コケにしやがってぇえええ!」

弟が手に持った【末な剣】で、俺に切りかかって來る。

あいかわらず、未運びだ。

ただ、なぜかこの前より、スピードは速かった。

一瞬で俺との距離を詰める。

ガイアスは高速で、俺に切りかかってきた。

俺は創生魔法で剣を作り、弟の剣をけ止める。

ガイアスはそのまま、俺に連撃を放って來る。

キンキンキンキンキン!

「ははっ! さすが【雷速剣】! あの兄さんが防戦一方じゃあないか!」

なるほど、剣に雷魔法が付與されてて、能力が強化されているのだな。

「ただけてるだけじゃ雷速を手にれたボクに勝てないよぉ!」

キンキンキンキンキン!

「くっ、こ、このぉ! 當たれぇ!」

キンキンキンキンキン!

「ちょ、ちょっとまてよぉおおお!」

から大汗を流しながら、ガイアスが俺を見上げる。

「なんで剣があたらないんだよ! 今のボクは雷と同じ、目できが追えるわけがないんだぞ!」

「え、筋の収の仕方を見れば、相手がどうくかなんて、誰でもわかるよな?」

「兄さんしかできないよ! この化けめぇええええええええ!」

剣に付與された魔法を、最大出力にして、ガイアスが突っ込んでくる。

しかし、俺はあえて避けない。

真正面から、俺は剣をふるった。

ズバンッ!

弟の持っていた剣が、縦に真っ二つになった。

「し、信じられない……なんだよこれ! 正面に構えた剣を縦に分割されるって!」

弟の上段切りを見切り、それとまったく同じ軌道で剣をふるっただけだ。

ガイアスより後出しで、彼の剣より早く。

「そんな……神話級の寶剣を【持ち出した】のに、勝てないなんて……」

そのときだった。

「見つけたぞ! この盜人め!」

プライベートルームに、事務員みたいな男が、ってきた。

「勝手に博館から、展示してあった寶剣を盜みよって!」

「ち、ちがう! 盜んだんじゃない! ボクは、ボクはただ兄さんに……」

はよく分からんが、弟が困っているみたいだ。

「あのー、それ、俺が頼んだんだ」

「なに? きみがかね?」

「ちょっとその雷速の寶剣ってやつに興味があってさ。勝手に取ってきてすまん」

事務員がジッ、と俺の顔を見て、ニコッと笑う。

「なぁんだ、それを先に言っておくれよ」

「え、怒らないのか?」

「特待生には、研究目的でなら博館のものを好きに持ち出して良いという権限があるんだよ」

え、そうだったのか?

事務員は笑顔で頭を下げると、立ち去って行った。

「ふぅ、良かったな弟よ、怒られなくって」

「~~~~~~~!」

ガイアスは歯噛みし、地団駄を踏む。

バッ! と踵を返して、部屋を出て行ったのだった。

ちなみに剣は新しいものを魔法で作り、あとで返したのだった。

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