《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》23.勇者、隣國の姫から求婚される

王都へ向かう森のなか、馬車を襲っていた盜賊を倒した。

「おーい、ケガないか?」

馬車の扉を開けると、なかにはが2人いた。

年齢は、どちらも俺と同じくらい。

ひとりは、極東という島國のドレスを著た、桜髪の

もうひとりは、こちらも島國の裝で、腰に刀をさした、貓耳の

桜髪の子は、頭を打ったのか気を失っていた。

貓耳は、その子を守るようにして立っている。

「姫様に近づくな、化けめ!」

貓のが、刀を俺に向けて、にらみつける。

「敵じゃないって」

「うそをつくな! その莫大な魔力と闘気! 尋常ではない! もののけのたぐいだろう!」

話を聞いてくれそうにないな、と思っていたその時だ。

「う、うう……」

「! 姫様!」

桜髪のが目を覚ます。

「けがないか?」

「ええ……うちは平気やで。心配かけてすまへんなぁ」

姫と呼ばれたの子は、おっとりとした調子で言う。

「ああ! 姫様! 申し訳ございません! この【春虎(はるとら)】! あなたの護衛騎士だというのに、盜賊ごときに後れを取ってしまいましたこと、腹を切ってお詫びします!」

貓耳、春虎は、上著をぎだす。

ぷるん、と大き目の房が揺れた。

「ええよぉ、そんなのぉ。生きてるんやし」

「しかし……」

「うちは春虎(はるとら)が生きててくれたことのほぉがうれしいわぁ」

「姫様……くっ! なんてお優しいおかた!」

ぼんやり二人のやり取りを見ていると、姫様が俺に気づく。

「助けてくれてありがとなぁ。あんたは窮地に現れた、救いの神様やなぁ」

「え、あれ窮地だったの?」

姫様は目を丸くすると、けらけら笑い出す。

「ほんま面白い殿方やなぁ。うち、おもろい人すきやでぇ」

すすっ、と姫様が近づいてきて、俺の腕にしがみついてきた。

「あぁあああああ殺すぅ! 姫様を汚い手でるな下郎がぁああああ!」

春虎が刀を俺めがけて、振り下ろそうとする。

「やめとけ、危ないから」

ビタッ!

「なっ!? か、かん! これは……まさか【覇気】!?」

「お、良く知ってるな」

「闘気を飛ばし、相手の戦意をくじく高等技……師匠すら習得に數十年を費やした、武の極意の一つを、こんな子供が……」

「ほんますごいお人やなぁ。ますますほれるわぁ。あ、せやぁ。なぁおにいさん?」

「ん? なんだ?」

「うちの旦那様に、なってくれへん?」

その瞬間、春虎が覇気をやぶって、俺に切りかかってきた。

剣・【瞬閃抜刀】」

本気の一撃を、俺は爪の先でけ止める。

「ばかな!? わが神速の居合切りを、爪先で止めるなんて!」

「馬車の中なんだから暴れるなって。それに、俺は別に名前も知らないひとから急にそんなこと言われて、はいいいですよって答えないよ」

姫様がクスクスと笑う。

「春虎ぁ、冗談やでぇ」

「姫様……」

「ま、旦那様候補では、あるけどなぁ」

「姫様!?」

姫様は俺を見て、真剣な表で頭を下げる。

「危ないところ、どうもありがとなぁ。あらためて、【極東國の第一皇】として、あなた様にお禮申し上げるわぁ」

「え、おまえ今なんて言った?」

桜髪のは、さも當然のように言う。

「第一皇として、正式にお禮するってゆぅたんやぁ」

「貴様、このお方をどなたと心得る。東の果てに居を構える極東國の我らが姫君、【九頭竜 サクラ】様であらせられるぞ」

「え、おまえお姫さまだったの?」

クスクス、とサクラは上品な笑みを浮かべる。

「ほんま面白いお人やなぁ。うち、あんたみたいな人大好きやわぁ♡」

面白いと思っていただけましたら、下の【☆☆☆☆☆】からポイント評価をしてくださると嬉しいです!

    人が読んでいる<【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください