《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》28.勇者、武闘大會に參加する

サクラが転校して來てから、1週間が経過したある日のこと。

朝。

教練室(トレーニングルーム)にて。

「では、毎年恒例【武闘大會】について説明する」

「ぶとう、たいかい?」

実技の先生が、ウェアに著替えた生徒達を見渡し説明する。

「この學園は剣や魔法などを學ぶ場だ。同時に、競い合う場でもある。毎年この時期になると、生徒間で競い合う武闘大會が開催される」

実戦訓練の一環か。

「大會の順番としては、まず學年で代表選手を2名決める。次に1年生から6年生、合計12人で決勝トーナメントが行われる」

ここ、6學年もあるんだなぁ。

「決勝トーナメントには親さんを始め、學園外からも観戦者が來る大規模なイベントだ。卒業後の進路にも関わってくる。みな、心して挑むように」

「……ついに來た。ボクが目立つチャンスが!」

弟が走った目でつぶやく。

「……これでトーナメントに出れば、ボクの方が必要だってことをみんなわかってくれる!」

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何を言ってるのか聞こえないが、すごい気迫をじた。

弟には是非頑張ってしい。

「なおユリウス。おまえは代表にすでに選ばれている。最初から決勝トーナメント進出だ」

「なっ!? どうしてですか!? 不平等ですよ!」

弟が聲を荒らげる。

「必要ないからだ。こいつは特待生、その強さは言うまでも無いだろう」

「だからって2つしかない枠のうち、1つをこのクズが何もせず手にするのは公平に欠けます! なぁ、みんなもそう思うだろう!?」

弟は同級生達を見渡す。

「そうだ! すっこめ出來損ない!」

「てめえ一人だけずりぃぞ!」

『……全く愚かな者どもだ。勇者の強さを目の當たりにしておいて』

魔王が呆れたようにつぶやく。

まあでも、同級生たちが俺の実戦を見たのって、実はガイアス戦だけだからな。

俺がどの程度の実力なのか、彼らは知らないんだろう。

「俺は辭退してもいいよ。別に興味ないし」

「そうはいかん。カーライル兄もうちの生徒である以上、大會參加はしてもらうぞ……しかし実力を認めないか。ではこうしよう」

実技の先生が、みんなを見渡していう。

「今からユリウス対このクラス全員とで戦ってもらう」

「「「はぁあああああ!?」」」

同級生達がいきり立つ。

「ふざけるなよ!」

「40人対1人で勝てるっていうの!?」

「え、40人ぽっちでいいのか?」

ビキッ! と同級生達の額に、青筋が立つ。

「ユリウス、ハンデだ。その場からくな。武を使うな。魔法も従魔も使用止。もちろん両腕も使うな。できるな?」

「はぁ!? いくら兄さんが強くても、さすがに無茶すぎる……」

「え、別に大丈夫だぞ。心配ありがとな」

「……せいぜい、負けて恥をかかないようにね!」

こうして、俺VSクラス全員でのバトルとなった。

「エリーゼとサクラは辭退するそうだ。では……試合、開始!」

先生が合図すると、同級生たちが一斉に、俺めがけて走ってくる。

「全員で袋だたきにしろぉ!」

を持った彼らが、俺に斬りかかってくる。

ブンッ! ひょいっ。

ブンッ! ひょいっ。

「くそっ! 上半だけをかし避けやがる! 魔法だ! 魔法で殺せ!」

ガイアスの命令で、待機していた同級生達が、詠唱魔法を放つ。

「風よ!」「炎よ!」「雷よ!」

ひょろひょろの魔法が、俺に殺到する。

「ふっ」

俺は、吐息をつく。

するとそれは突風となって、魔法をすべて打ち消した。

後衛は今の吐息で背後に吹っ飛ばされて、全滅。

この間も前衛組が俺に斬りかかってくるが、俺は全てを避ける。

「こいつやべえ! 本當に一歩もかず全部避けてやがる!」

「ひるむなぁ! 従魔(サーヴァント)と連攜して殺すんだぁ!」

いっせいに、従魔を出現させる。

前衛20人とその使い魔が、俺に向かって押し寄せてきた。

「よい、しょっと」

俺はし足を持ち上げて、その場で足踏みをする。

ダンッ!

ドゴォオオオオオオオオオオン!

教練室の床が砕される。

その衝撃で、20×2がすべて、吹っ飛んだ。

石つぶてをけて従魔は全滅。

同級生たちには當たらないよう、コントロールしたので全員無傷だ。

「ウソだ……あの條件で勝つなんて……くそっ! くそぉ!」

弟が地面をたたき、他の同級生たちは悔しそうにうつむく。

「わかったな。ユリウスは規格外だ。代表選手に選ばれても不満はないだろ?」

誰も、文句を言おうとしなかった。

「チクショウ! 覚えてろよクソ兄貴! 決勝トーナメントまでに強くなって、見返してやるからな!」

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