《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》32.勇者、會場を襲撃した魔神も瞬殺する

武闘大會は、俺が優勝で幕を下ろした。

メインアリーナでは、閉會式が執り行われることになった。

績上位者の発表が行われようとした、そのときだ。

ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!

頭上から何かが降ってきたのだ。

見上げると、黒い【それ】がいた。

「ひぎゃぁああ! ど、【ドラゴン】だぁあああ!」

観客席から、悲鳴が上がる。

「そんな、竜種はとっくの昔に滅んだはずなのに……」

隣に立つガイアスが、腰を抜かしている。

「え、どうしたんだ弟よ?」

極寒の中にいるように、ガイアスは震えている。

「ん? 上に誰かいるな」

「ごきげんよう、人間(サル)のみなさん」

すたっ、と地上に降り立つ。

そいつは、二足歩行するトカゲ人間だ。

「私の名前は【龍神ドラコーン】。魔神の一柱です」

「ま、ままままま魔神だって!?」

ガイアスは顔面蒼白になり、目の前の【二足歩行する方の】トカゲを見やる。

「そ、そんなばかな! とっくの昔に勇者神によって滅ぼされたはずなのに!」

「我々は復活したのです。邪神ガンデスブラッドの復活を契機に、この世界をいただくためにね」

パチンっ、とドラコーンが指を鳴らす。

背後の黒いそいつが、首を持ち上げて、咆哮する。

「グギャオォオオオオオオオオオオオオオオオオ!」

鳴き聲を聞いた、ガイアスを含む観客たちが、完全に腰砕けになった。

アリーナの地面が、今の振々になっている。

「こんな化けに、どうやって勝てるっていうんだよぉ……」

ガイアスが涙を流しながら、がたがたと震えていた。

「サルの分際で地上をわがもの顔で闊歩していたくせに、圧倒的な強者の前では震えるしかないなんてねぇ」

「なぁおまえ、トカゲが2匹、なにしにきたんだ?」

ビキ! とドラコーンの額に青筋が浮かび上がる。

「……この最強の魔神と、その眷屬を前にして、そのような侮辱……許されると思っているのですか?」

「え、トカゲをトカゲって言ってなにかわるいのか?」

俺のいた2000年前では、ドラコーンが連れている黒いこいつサイズのトカゲは普通にいた。

「それにおまえ、魔神って噓だろ。亜人間のリザードマンだろ?」

「……く、くく、久しぶりですよ、こんなにもコケにされたのは。どうやら死にたいようですねぇ! やれ、黒龍! この愚か者を焼き殺すがいい!」

黒いトカゲは口を大きく開く。

眼前に黒炎の球が出現する。

「黒龍炎はすべてを焼き殺す必殺の炎! 決して消えることのない業火にやかれ苦しむがいい、サルどもめぇ!」

トカゲが火の玉を、俺めがけて放つ。

ゴォオオオオオオオオオオオ!

「ひぎぃいいい! 終わりだぁああああ」

「よっと」

飛んでくる火の玉めがけて、俺は手をばす。

パシッ!

じゅっ……!

握った拳から、し煙が立つ。

「「「は……?」」」

ドラコーンも、その場にいた全員も、唖然とした表になる。

「火遊びなんて危ないだろ」

「そ、そんな馬鹿なぁああああ!」

ドラコーンは目玉が飛び出るほど驚いていた。

「絶対に消えることのない炎だぞ!? 貴様なにをした!?」

「え、摑んで握りつぶしただけだけど?」

「そんなことができるわけないだろぉ!」

そんな難しいことか?

拳を闘気で強化してれば火傷もしないし。

「し、信じられない。炎の一族であるわれら龍神族の最強の炎を、素手で消すなど……」

「え、太と比べれば全然ぬるかったけど?」

「太だとぉ!?」

鼻水を垂らし、魔神は目を剝く。

「宇宙で戦ったとき、相手の攻撃うっかりけちゃって、太まで吹っ飛ばされちゃってさ。まあ大丈夫だったんだけどさ」

「「…………」」

トカゲ2匹が、ガタガタガタと震えだす。

「み、見えいた噓をつくなぁ! 黒龍よぉ! 殺せぇ!」

どさっ!

「し、死んでる!? ばかな!? なにをした!?」

「え、なんもしてないけど?」

『あまりの規格外の化けっぷりに、ショックで心臓発作を起こしたのだろう。さすが勇者だな』

「おまえんとこのペット、ちょっとメンタル紙すぎないか?」

「こ、このぉおおお!」

ドラコーンが両手に炎を宿して、俺に突っ込んでくる。

剣を創生し、軽く橫に払った。

ズバァアアアアアアアアアアアン!

斬撃はアリーナの地面ごと、トカゲ2匹を消し飛ばした。

「ふぅ、ん? どうした、弟よ?」

一部始終を、間近で見ていたガイアスは、ぽろぽろと涙を流す。

「こんな化けに、どうやって勝てるっていうんだよぉ……」

「え、化けなんていたか?」

「兄さんのことだよぉおおおお!」

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