《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》34.わがまま王の破滅~その2~

転生勇者ユリウスが、武闘大會で優勝した、その日の夜。

ヒストリアは、王城を抜け出し、カーライル邸宅へ急いでいた。

「ハァ……! ハァ……! 國外追放なんて、冗談じゃないわ!」

森の中。

汗だくになりながら、王は必死の形相を浮かべながら走る。

「どうしてアタシがこんな目に遭わなきゃいけないのよ……! ちょっと証拠隠滅しようとしただけじゃない……!」

本當は盜賊に、ユリウスを襲わせようとした。

彼が死ねば、復縁したという噓が通るからだ。

しかし盜賊は、貴族のユリウスよりも、王族のサクラを襲った方が金になると思ったらしい。

その後、偶然通りかかったユリウスに不意を打たれ全滅したそうだ。

「使えないゴミどもめ! アタシが権力を取り戻したら覚えてなさい……!」

さて、ヒストリアが目指すのは、ユリウスの元だ。

「追放処分なんてまっぴらよ。だから、この【惚れ薬】をユリウスに使ってやるんだから」

ヒストリアの手には、魔法薬のった小瓶が握られていた。

「宮廷魔導師に無理矢理作らせた、強力な薬。これをユリウスに飲ませて、アタシにメロメロにさせるのよ」

が邪悪に笑う。

「あのクソ親父はユリウスがしくてたまらない。そこでこれを飲ませてあいつをアタシのの奴隷にすれば、追放処分も取り消してくれるはず……」

ヒストリアはほれ薬を持って、城を抜け出し、今に至る次第だ。

「だいぶ走ったわね……馬車に乗ってくれば良かったけど、バレるとまずいし」

ほー、ほー。

ぎゃあ、ぎゃあ。

「……薄気味悪い森ね。さっさと抜けましょ。……まさかと思うけど、モンスターなんて、出ないわよね?」

そのときだった。

ガサッ……!

「ひっ……!」

茂みで何かがうごめいた。

ヒストリアは驚いて、腰を抜かす。

パリンッ!

「……なんだ、ウサギか。驚かせるんじゃないわよ!」

は安堵の吐息をついた、そのときだ。

「ギギッ!」「ギャギギッ!」「グギャア!」

「ひ、ひいぃ! ご、ゴブリン!?」

森の奧から、緑をした小鬼たちが、出てきたのだ。

「なんで!? こんなところに、ゴブリンみたいな強いモンスターが!?」

……ヒストリアは知らない。

邪神ガンデスブラッドの復活により、各地で魔のたちのきが、活発化してきていることに。

モンスターの出現率も、格段に向上していることに。

「ギャギャッ!」「ギギィッ!」

「く、來るなぁ!」

後ずさるヒストリア。

しかしゴブリンは、次から次へと、わいて出てくる。

「どうしてこんなに……?」

と、そこで気づいた。

「! ほ、惚れ薬が割れてる!? まさかっ!」

そのまさかだった。

相手を発させる薬。それが割れて、分が風に乗って、ゴブリン達を刺激したのである。

ゴブリンは次から次へと、年頃の(ヒストリア)の元へやってくる。

は知っていた。

ゴブリンに捕まった冒険者達が、どういう末路を辿るのかを。

「い、いやぁ……! 來ないでぇ!」

魔法を使って撃退しようとする。

だがその前に、ゴブリンのひとりに、長い髪を捕まれる。

「痛い! 離しなさいよ!」

「ギャギッ!」

ドスッ!

「うげぇッ!」

みぞおちを毆られて、ヒストリアはを【く】の字にし、吐瀉する。

「げほっ! ごほっ!」

その場に崩れ落ちたヒストリア。

小鬼は彼を俵のように、擔ぎ上げる。

「や、やだぁ……どこにつれてくのよぉ……何する気なのよぉ~……」

言うまでも無かった。

彼らの巣に連れて行かれるのだ。

そして、み者になることは明白だ。

「た、たすけてぇ~……ユリウスぅ~……ガイアスでもいいわぁ~……アタシを、たすけなさいよぉ~……」

……もし、國外追放を甘んじてれていれば、結果は変わっていた。

もし城を抜け出さなければ。もし薬なんて卑劣な手段を執ろうとしなければ。

もし、ユリウスを裏切って、浮気なんてしなければ。

は、悲慘な目に遭うことはなかっただろう。

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