《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》38.勇者、実技の授業で弟と手合わせする

ガイアスが學園に復帰した。

その日の午後は、教練室(トレーニング・ルーム)で実技の授業だった。

「今日は剣の授業だ。二人ひと組となって模擬戦を行うように」

同級生達は、友達同士で組んでいく。

「なぁ、俺と一緒に組まないか?」

近くに居た同級生に聲をかける。

「ひっ……! か、カーライル君とは恐れ多くてできませぇん!」

「え、そう。あんた空いてるか?」

「空いてない! 他を當たってくれ!」

俺が聲をかけると、みんな逃げていくんだよな。

ちなみに男別の授業なので、エリーゼとサクラはここにはいない。

「誰か、組んでくれないか?」

「いやぁ……さすがに」

「あの強さ見せつけられたら……」

そのときである。

「兄さん、ボクと勝負してくれよ」

弟が、俺に近づいてきた。

「おお、ガイアス。ありがとな」

「は……? なんだよ気悪いな。別に兄さんのためじゃない。ボクは自分のためにやってるんだ」

俺たちは模擬剣を持って、相対する。

「ボクは、あんたの手を絶対に借りない。なぜなら、ボクの方が天才だから」

ガイアスは雙剣を構える。

どうやら二刀流でいくようだ。

「いくよ!」

ダンッ……!

雷速の剣を使っていないが、ガイアスの移速度は格段に上がっていた。

「あははっ! 見たかい兄さん! あんたの全集中、盜ませてもらった!」

大気中から大量の魔力を吸い込む技

ガイアスは口で説明しただけで、完璧にものにしていた。

「これならいける! 死ねぇ!」

をコマのように回転させながら、ガイアスが斬りかかってきた。

「よっと」

俺は自分の剣の腹で、弟の剣の刃をけ流す。

つるん……!

「ぶべっ!」

ガイアスは顔面から、床に突っ込んだ。

「今のは【流水剣】。敵の攻撃をけ流す技だ。やってみ?」

「兄貴面すんなっつっただろうが! このぉっ!」

ガイアスが雙剣で斬りかかる。

キンッ! ガキンッ! ガッ……!

「ぶべっ!」

前のめりになって、地面に顔から突っ込む。

何度も顔面から倒れるから、弟の前歯が折れてしまった。

「……ぷっ! なぁにあの間抜け面」

「……ばっかみたいだな。何度も無謀に挑んでよ。ユリウスに勝てっこないのに」

外野が、何事かをつぶやいている。

ガイアスはギリッと歯がみする。

「くそがぁあああああ!」

全集中によって取り込んだ魔力で、弟の力は強化されている。

突き出してきた雙剣を、俺は流水剣でけ流す。

「ぶべしっ!」

「ぶ、ぶべしだって……ぎゃははは!」

「だっせぇ! ガイアスまじだっせぇ!」

同級生達が、ゲラゲラと笑う。

「おい、笑うなよ。真剣にやってるんだぞ?」

「擁護すんじゃねえええええ!」

ガイアスが上段に雙剣を構えて、飛び上がり、俺に斬りかかってくる。

俺は軽く剣を振り、打ち払おうとする。

「そこだッ!」

ガイアスは片手の剣の腹で、俺の剣をけ流す。

完璧な【流水剣】だ。

「まあ、まだまだだがな」

俺はすきだらけの弟の腹に、素早く2撃目を喰らわせる。

「ぐっ……!」

からん……。

「ぜぇ……! はぁ……! う、うぷっ……おげええええ!」

ガイアスは激しくいたことで、晝食の中を吐き出してしまった。

「ぎゃははは! なんだあいつゲロ吐きやがった! きったねぇ……!」

「ねえねえ出涸らしに負けた今、どんな気持ち? 自分が見下していた相手に完敗してねえどんな気持ち?」

同級生達の悪口に、俺はさすがに腹が立った。

「おまえら、いい加減に」

「死ねええええええ!」

ガイアスは立ち上がり、俺に雙剣を振ってくる。

さっきよりも、鋭い一撃になっていた。

俺は攻撃反(パリィ)で弟の剣を弾き飛ばす。

「うわぁあああああ!」

弟は空中をクルクルと回り、顔から床に激突する。

「ぶべっ!」

「常に重心を意識するんだ。そうすれば空中でも勢を整えられるようになる」

「偉そうに指示してんじゃねえ! 誰が兄さんの言うことなんて聞くもんか!」

結局何度やっても弟は俺に勝てずに時間終了。

「くそっ! どうして勝てない!? ボクは天才なのに!」

「ばーか、ちげえよ」

「ぷぷぅ、勘違い乙~。だっせえ」

同級生達はひとしきり馬鹿にすると、部屋を出て行く。

俺は弟に近づいて、治癒魔法を施し、タオルを頭にかぶせる。

「気にすんな」

「……うるさい」

ふらふらになりながら、ガイアスは出て行く。

「ボクは、強いんだ。誰よりも、あんなクソ兄貴に負けないくらい……強いんだ……チクショウ……」

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