《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》44.勇者、弁當を作っただけで驚かれる

弟と修行をするようになってから、1週間ほどが経過した。

晝休み。

俺は友達のエリーゼとサクラとともに、食堂でランチを食べていた。

「ユリウス君、そのお弁當、誰に作ってもらってるの?」

エリーゼがトレーを持って、席に座りながら尋ねてくる。

俺の手元には弁當箱がある。

「え、自分で作ってるんだけど?」

「「えぇ!? じ、自分で!?」」

エリーゼたちが目を丸くしながら、弁當箱の中を見やる。

「こ、こんなおいしそうなお弁當……一人で作ったの!? 貴族のユリウス君が!?」

「え、何に驚いてるの?」

前世では料理が趣味だった。

遠征の際の弁當は自分で作ってたのだ。

「ふつうは使用人とか、従者の仕事だよ?」

「貴族や王族が料理作るとこ見たことあらへんわぁ」

「え、なんで? 自分で食べるものなんだから、自分で作るべきだろ」

「料理上手なんやなぁ、うちの旦那様は。素敵やぁ~♡」

サクラが目を細めて、俺の腕にしがみついてくる。

「うちもこんな味しそうなお弁當、食べてみたいわぁ。なぁ、うちにも弁當作ってくれへん?」

「おう、いいよ」

「ほんま? おおきに」

ニコニコしながら、サクラが俺の腕にぎゅーっと抱きしめる。

「いいなぁ、わ、わたしも食べたいなっ!」

「おう、いいぞ。どうせいつも【2人分】作ってるからな」

「「2人分?」」

そのときだった。

「兄さん、弁當箱返しにきたよ」

弟のガイアスが不機嫌そうな顔で近づいてきた。

俺は弁當箱をけ取り、蓋を開けて中を確認する。

は全部なくなっており、しかもきれいに洗ってあった。

「わざわざ人前で確認するなよ! 恥ずかしいだろ!」

「今日はちゃんとピーマン殘さず食ったな。えらいじゃないか」

「人の話聞けよ! というかあれだけ言ったのにピーマンれるなよ!」

「そりゃ無理だ。バランスよく食わないと良いは手にらないからな。健全なはバランスのいい食事から。俺に勝ちたいんだろ?」

ぐっ! とガイアスが歯噛みする。

「……わかったよ。ボクだってあんたみたいな強靭なしい。だから、従ってやるよ。その代り! 何も変わらなかったら承知しないからな!」

ふんっ! とガイアスは鼻息を荒くして、踵を返して離れていく。

「「…………」」

俺たちのやり取りを、エリーゼたちはポカンとした表で見ていた。

「弁當箱洗わなくていいのに、律儀な奴だな」

「なぁ、あんた弟はんの弁當作っとるんか?」

「え、そうだけど?」

ふたりは信じられないものを見る目で、俺を見やる。

「どうして弟さんの分作ってるの?」

「あいついつも晝は外食でさ、バランスの悪いものばっか食うんだよ。ハンバーガーとか。それじゃ強靭なは手にらないってことで、俺がバランス考えた弁當を作ってるんだ」

「食事にバランスって関係あるの?」

「あるある。なにせ自分のは、口からったものをもとにして作られてるからな。偏った食事は不健康なを作っちまうよ」

「そうなんだ! 知らなかった、知りだねユリウス君!」

「いろいろ考えてるんやなぁ。さすがやわぁ♡」

ふたりが心したように、うんうんとうなずく。

「きちんと自分のことだけでなく、弟はんのことまで気にかけとる。優しいやっちゃなぁ」

「え、當たり前だろ。だって兄弟なんだぜ?」

エリーゼは目を丸くする。

「弟くんから、今まであんなにひどいことされてきたのに、気にならないの?」

「ぜんぜん」

「はぁー……の広い人やわぁ。やっぱりあんたは、素敵なひとやで。さすが未來の旦那様や」

「あ! ずるい! ユリウス君はわたしのだもん!」

ぎゃあぎゃあ、とふたりが言い合いをしてる。

仲がいいな、と思っていたそのときだ。

「ちょっと兄さん! いつまで晝ご飯食べてるんだよ。晝休みもボクと訓練するって約束だっただろ!」

模造剣を持ったガイアスが、食堂へやってきて俺に言う。

「おう、悪い、すぐ行く」

俺はパパッと食事を終えて、弁當箱を持って立ち上がる。

「それじゃ俺いくわ。弁當は明日作って來るからよ」

エリーゼたちに別れを告げて、俺はガイアスのもとへいく。

「明日弁當何がいい?」

「なんでそれをボクに聞くんだよ」

「え、だって兄貴なんだし、弟に好きなもの作ってやりたいだろ?」

「意味わからないし、どうでもいいよ。だいたい、味なんてどーでもいいし!」

「あ、そう。じゃあ明日はピーマンの炒めものとピーマンの詰めな」

「ふざけんな! いじめだよそれ!」

俺たちは食堂を出て行く。

その姿を、驚愕の表で、みんな見ているのだった。

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