《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》47.國王、娘をダシに勇者の同を引こうとし失敗

転生勇者ユリウスが、弟とともにゴブリンの巣でトレーニングを行った。

話はその日の夜。

王城は、とある話題で持ちきりだった。

『逃亡した第8王ヒストリアが、ゴブリンの巣で発見。ユリウスの手で保護された』

父親である國王は、その話を聞いたとたん、小躍りした。

「(なんたる僥倖だ!!)」

國王はヒストリアの部屋に向かいながら、心でにやりと笑う。

「(國外追放を恐れて獄した、と聞いたときはあまりの愚鈍さに、こいつを産ませたのは間違いだったと悔いたが……今となっては本當に良くやったぞ!)」

部下によると、どうやら娘はゴブリンのみ者にされていたらしい。

そこへ、ユリウスが偶然ゴブリンの巣へ赴いた際に、彼を発見したという。

「(ユリウスは善人だ。元とはいえ婚約者がゴブリン達から酷い目にあったと知れば、同することだろう。そこにつけ込めば、彼は娘を捨て置けまい。さすればユリウスは我が手中に……)」

一國の王とは思えないほど、邪悪な笑みを浮かべる。

國王はユリウスを全く諦めきれていなかった。

娘を利用して、カーライル公爵家との繋がりを修復させ、利益を得ることしか考えていなかった。

ややあって。

第八王の部屋の前までやってくる。

「おいそこの衛兵、ユリウス殿は中にいるのだろうな?」

「ハッ! おります!」

部屋の出り口を守っていた衛兵。

彼の返答を聞いて、國王はよしよしと思う。

國王は大げさに、さも急いでやってきたというじに、ドアを暴に開ける。

「ヒストリア! いとしの我が娘よぉ!」

ベッドではヒストリアが寢ている。

ちらり、と國王はユリウスを見た。

彼は娘のそばに立ち、【何か】をしていた。

國王はユリウスの存在をきちんと認識した後、娘のそばまで走る。

「あぁ! なんという変わり果てた姿だろうか!」

【ヒストリアの方など一瞥もくれず】、ユリウスの様子をうかがう。

彼はきょとんとした表をしていた。

「おぉ神よ! なんと殘酷なことをしてくれたのか! 娘は小鬼どものみ者にされ、心ともに傷付いて生きる希もないような狀態……あぁ! なんて可哀想なんだ、我が娘は! せめて誰かが心の支えになってくれれば……」

と、そのときだった。

「う、うぅ……」

ぱちっ、とヒストリアが弱々しく目を覚ます。

「(チッ……! おまえは一生目覚めなくて良かったのに。むしろ意識を取り戻さぬ方が都合が良かったのだが、まあいい)」

ユリウスの同を引き、カーライル家をこの國に縛り付けることができればそれでいいのだ。

「おお! 我がしい娘よ、目をさましたか、良かった……」

「え!? なんで城にいるの、アタシ!?」

ヒストリアは目をむいてぶ。

「一何が起きてるの!? アタシ、城を出てユリウスに薬を飲ませにいったはずよね……」

「なっ!? 何を言ってるのだこの馬鹿娘!」

國王はヒストリアの肩を摑んで揺する。

「あぁお父様! 違うの聞いて! アタシお父様のために! ユリウスを薬で惚れさせようと……」

「俺が、なんだって?」

「ユリウス!? なんでここに!?」

娘は置かれてる狀況が、理解できないようだ。

「おまえ、ゴブリンの巣のなかにいたんだ。結構ボロボロだったから、知り合いのよしみで【時間遡行(タイム・リバース)】の魔法を応用し、巣へ來る前の狀態のと記憶に戻してやったんだよ」

さぁ……とヒストリア、および國王が青い顔をする。

「ゆ、ユリウス殿! 娘が大変失禮なことを! 申し訳ない!」

「いや、まあ未遂だったからいいけどよ。……しかしおまえ、最低だぞ。別れた相手に薬を飲ませようとするなんて」

「違うの! これは違うのよぉ! ねえ信じて!」

「そ、そうだ! 娘を信じてあげてくれ、ユリウス殿ぉ!」

ふたりして、ユリウスの足にしがみつこうとする。

だが彼は一瞬消えて、別の場所に現れる。

「元婚約者ってことで助けた。だが二度はない。それと……おまえらもう二度と、俺の前に姿を現すな」

ギロッ! とユリウスがにらみつける。

ふたりは腰砕けになった。

「娘使って一服盛るつもりだったんだな。……汚いマネしてくれるじゃないか」

「誤解だ! このクズが勝手にやったこと! わしは無関係だぁ!」

ユリウスは國王を無視して、転移した。

「余計なことをしよって、このバカ娘が! おまえのせいで完全にユリウスが離れてしまったではないか! くそ! 最悪だぁ!」

國王はガリガリと髪のをかきむしりながら、慟哭するのだった。

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