《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》50.勇者、弟たちと同好會を立ち上げる
放課後。
「ねえユリウス君。帰りにお茶してかないっ?」
同級生のハーフエルフ・エリーゼが、ニコニコしながらってくる。
「あ、ごめん。放課後は弟と用事があるんだ」
「むぅ。そう言えば最近ずっとだよね。いつも何してるの?」
「え、弟の修行に付き合ってるんだけど?」
「修行……ねえ、見學させてもらってもいい?」
「うちもぉ、気になるわぁ~」
隣國の皇サクラが俺たちの元へやってきた。
「おう、いいよ。みんなで行こうか」
俺たちは教室を出て、弟のもとへ向かう。
「どこで修行やっとるん?」
「特待生の部屋だよ。あそこもらったけど使い道なくてさ。中を改造してトレーニングに使ってるんだ」
「いつもそこで修行してるの?」
「ああ。晝休みと放課後。最近學校で空いてる時間はほとんど弟といるかな」
「へぇー……いいなぁ、ユリウス君と個人レッスンかぁ~♡」
ややあって。
俺は特待生の部屋までやってきた。
ガラッ。
「待たせたな、弟よ」
「兄さん! 遅いじゃないか……って、え?」
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弟のガイアスは既に部屋にいた。
「……誰、そいつら?」
「おいおい同級生の顔も忘れたのかよ」
「……興味ない。どうしてここに連れてきたのさ?」
「え、だって見學したいって言うから」
「……ふーん」
ガイアスは不機嫌そうに、部屋の奧へ引っ込んだ。
「ごめんな、うちの弟が失禮して」
特待生の部屋は、教室の2倍くらい広い。
部屋は2つに區切って使っている。
手前はソファなどを置いてある応接スペース。
奧は四方を結界で包み、暴れてもいいように作ってあるトレーニングスペース。
「この部屋の設備、學園が用意してくれたの?」
「え、自前で。魔法で作った」
「えぇ!? す、すごすぎる!」
「やっぱユリウスはんは、すごいわぁ♡」
サクラが俺の腕を、ぎゅっと摑む。
「兄さん! いつまでと喋ってるんだよ!」
弟がやってきて、俺の腕を摑んで引っ張る。
「悪い。じゃ、みんなは危ないから応接スペースにいてな」
俺たちはトレーニング室へ移。
弟から離れた位置で、構えを取る。
「じゃ今日も打ち込みからな。魔法もありで」
ダンッ……!
ガイアスが俺に突っ込んでくる。
キンキンキンキンキンキン……!
四方八方から、雙剣を使って攻撃してくる。
俺はその場からかず、弟の剣を全てけ流す。
「妙だな……」
手數は増えたし、太刀筋も鋭い。
だが今朝より剣筋が雑だった。
「くそっ! このっ!」
ドガッ……!
「ぐぅ……」
俺のカウンターをけて、ガイアスがその場にしゃがみ込む。
「なんか怒ってるだろ。剣に出てるぞ?」
「うるさい! 馬鹿兄さん!」
ガイアスはバク転して俺から距離を取る。
「【風烈刃(ウィンド・ストーム)】! 【業火球(バーン・ストライク)】!」」
中級の風と火の魔法を、同時に放つ。
俺を中心として、炎の竜巻が発生した。
ゴォオオオオオオオオオオ!
俺は剣を創生し、竜巻を斬る。
スパンッ……!
「……くそっ!」
魔法が強制解除され、弟は膝をつく。
「中級魔法を無詠唱で同時発できるようになったのは評価する……が」
うつむく弟に近寄り、俺は頭をなでる。
「どうした、嫌なことでもあったか?」
そのときだった。
「ユリウス君! すごい、すごいよっ!」
エリーゼ達が、応接スペースから、俺たちのいる場所までやってきた。
「あんなすごい早さの剣を全部さばくなんて!」
「強力な魔法を一刀で斬ったのも見事やったわぁ♡」
ふたりが俺に至近距離まで近づいて言う。
「チッ……! どけよ! 修行の邪魔だよ!」
ガイアスがエリーゼ達を、突き飛ばそうとする。
パシッ。
「の子に手を上げちゃ駄目だろ?」
「うるさい! こいつら邪魔なんだよ!」
ガイアスは俺の手を払うと、その場から離れていく。
「許してやってくれ。なんか今日蟲の居所が悪いみたいなんだ」
「弟さん思いやなぁ♡ 優しくて素敵やで♡ ……ところで、弟さん、あんなに強くなったのって、修行のおかげなん?」
「そうだな。始めてから2ヶ月くらいかな」
「そんな短期間で!? す、すごい!」
「なぁユリウスはん。うちも修行つけてくれへん?」
「あ、わたしも! あれくらい強くなりたい!」
サクラとエリーゼが手を上げる。
「おう、いいぞ」
「ちょっと待ちなよ!」
応接スペースから、ガイアスが肩を怒らせながらくる。
「なんで他のヤツも面倒見るんだよ!」
「え、別にいいだろ。ひとり見るのも、3人見るのも同じだし」
「だめ! 兄さんは、ボクだけ見てればいいんだ!」
エリーゼ達をガイアスがにらみつける。
「……別にお兄さんはあんたのもんちゃうやろ?」
「兄さんはボクのだよ。他人はすっこんどけよ」
険悪なムードだが、良いきっかけかもしれないと思った。
ガイアスは教室で浮いている。
ヒストリアがいなくなってから特にだ。
どうにか同級生と接點が作れないものかと、思っていたのだ。
「じゃあ俺たちで【同好會(サークル)】立ち上げないか?」
「「同好會?」」
「ほら、生徒手帳に書いてあったろ。學生達で集まり、放課後スポーツしたり、學業したりする活」
確か4人居れば、同好會の申請ができたはずだ。
「俺、ガイアス、サクラ、エリーゼ。ほら、必要な人數はそろってる」
「うちは賛。……まあ、弟君と一緒なのはちょっとアレやけど」
「わたしも、ユリウス君と放課後も一緒なのは大賛だよ!」
「ボクは反対だぞ! どうしてこいつらと……」
俺はガイアスの肩をポンッとたたく。
「頼むよ。な?」
「……まあ、兄さんがどうしてもって言うなら」
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