《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》51.魔族、弟を勇者と勘違いしたまま敗北

転生勇者ユリウスが、同好會を立ち上げた數日後。

學園の地下。

ダンジョン部にて。

「ふっ……容易い。【勇者】め、完全に油斷していたな。さらってくることなど容易い」

祭壇のような場所。

床には、【金髪の年】が寢かされている。

「勇者も詰めが甘い。よもや、學園に、魔族が紛れ込んでいるとは思わなかったのだろう」

「……なん、だって?」

ゆらり、と金髪の年が立ち上がる。

「ほぅ、竜すらきできなくする、わが束縛魔法を打ち破るとは。さすが【勇者】。ウワサ通りだな」

「……【人違い】だよ」

年は魔族を睨む。

「きみ、學園で見たことあるよ。たしか3年生の先輩だったよね」

「ふ……ご明察。我こそは、中級魔族【アルファー】である!」

アルファーはから闘気(オーラ)を放出させる。

長い髪をたなびかせるほどの闘気量だ。

「目的は何? どうしてボクをさらう?」

「知れたこと! 我ら魔族にとって勇者、貴様は邪魔な存在。だから消す、それだけだ!」

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アルファーは闘気で能力を強化。

超高速で、年めがけて飛ぶ。

「目にもとまらぬ高速移、果たして貴様に捕らえることが……」

「見えてるよ」

年はアルファーの右頬を毆り飛ばす。

バキィイイイイイイイイイイ!

「な、なにぃいいいいいい!?」

びたーん!

アルファーは壁に激突し、ずり落ちる。

「くっ……なんという視力。いや、さすが勇者と言うべきか」

「人違いだって言ってるだろ! 腹立つな!」

ダンッ……!

年はアルファーに負けず劣らずの早さで、薄してくる。

「くっ……! このぉ!」

超高速の打撃戦が繰り広げられる。

ドガッ! ガガッ! ズガガガガッ!

「そんなばかなっ! 中級魔族のアルファーと互角……否! 上回る速度だとぉ!」

「【兄さん】と比べたら遅いんだよ!」

年は回し蹴りを喰らわせる。

ドガァアアアン!

アルファーは天井に激突し、そのまま落ちる。

「な、なるほど……さすが最強と言われるだけはある」

「ねえ、さっきから誰のこと言ってるの?」

「謙遜するな……おまえがユリウスだろ」

ビキッ! と年は額に青筋を立てる。

「……ボクは、兄さんじゃねぇええ!」

から凄まじい量の闘気が吹き出す。

「ボクはガイアス! ユリウスの弟だぁあああああ!」

ガイアスは闘気を拳に込めて、【撃ち出す】。

それは黃金の線となって、出される。

ビゴォオオオオオオオオオオオオ!

「そ、それは【闘気砲(オーラ・キャノン)】! 闘気の奧義! こんな人間風が……ぬわぁあああああああ!」

ドガァアアアアアアアン!

力の奔流に飲まれたアルファーは、そのまま発四散する。

「あの人がこの程度なわけないだろ! 兄さんに失禮だろうが!」

ガイアスは、撃破した中級魔族に、怒りをぶつける。

「……そ、んな。ばかな……おまえのような化けでも、ユリウスには及ばない、というのか……!」

アルファーは瀕死の狀態だ。

ガイアスから聞いた容に、ショックをけている様子である。

「こうなったら奧の手【巨大化(ギガント)】ぉ!」

魔族アルファーの持つ固有【能力(アビリティ)】だ。

を20倍にも巨大化させることができる。

この部屋は儀式用だからか、巨大化しても壊れることはなかった。

『はーっはっは! どうだぁ! さっきの20倍の強さとなった、この我に勝てると思うかぁ!』

巨大化したアルファーを見ても、しかし、ガイアスは微塵も揺していなかった。

「そのセリフ、そっくり返すよ。君が、20倍になったところで、本の化けには勝てないんだから」

そのときだった。

ヒュンッ……!

「よっ、ガイアス。迎えに來たぜ」

黒髪の年が、突如として出現したのだ。

「おまえよく拐されるなぁ。お姫様みたいだな」

「だ、誰が姫だ! 妙なこと言うな馬鹿兄貴!」

「はは、すまんすまん」

この巨大魔族を前にして、黒髪の年は実にリラックスとしていた。

『この我を無視するとは良い度だなぁ! 死ねぇい!』

超巨大な腕が、黒髪年めがけて振り下ろされる。

ゴギィ……!

『勝った! 今確実に、骨が折れる音がした!』

「君のだよ」

『ほへ……?』

バキッ! バキバキバキバキッ!

アルファーの全の骨は、年を毆っただけですべて砕骨折したのだ。

『うぎゃぁあああ!』

「兄さんの魔力の鎧を、その程度の膂力で打ち破れるわけないだろ」

『く、このぉおおおおお!』

アルファーは無理矢理立ち上がろうとする。

「うるせぇ」

年は魔族めがけて、離れたところから、デコピンを打った。

ビゴォオオオオオオオオオオオオ!

『こ、これは【闘気砲】。否! さっきの何百倍の威力!? よもや失われし【究極闘気砲(アルティメット・キャノン)】か!?』

「え、ただのデコピンだけど?」

『そんな馬鹿なぁああああ!』

衝撃波はアルファーを飲み込み、祭壇の壁をぶち破る。

ダンジョンの壁を何百と貫き、外との連絡通路を作ってしまった。

「こんな化けとボクを間違えるなんて、バカな魔族もいたもんだよ」

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