《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》59.勇者、神すら殺す

黒幕である學園長を、俺と弟は追いつめている。

「奧の手すら使わせてくれないとは……見事ですよ……ユリウス君」

右腕を失い、學園長アリシアは、額に脂汗を浮かべて言う。

「それほどまでの理不盡な強さを持ちながら……なぜ、世界に破滅をもたらそうとしないのです?」

「簡単だ。そんなもんより、弟の長を見守る方が萬倍も楽しいからな」

「兄さん……」

俺は弟の頭をなでる。

ガイアスは笑みを浮かべる。

「……どうやってもあなたは、魔族(わたし)のものとならないのですね」

ゆらりとアリシアが立ち上がる。

「わたしのものにならないのなら、壊してやる……!」

學園長は右手に指をはめる。

その手を自分の心臓に突き立てた。

ザシュッ。

「わが……命を……対価に、顕現せよ……【秩序の神】よ!」

『なにっ、神だと!?』

その瞬間だった。

アリシアのを中心として、立的な魔法陣が出現する。

赤黒く輝くと、魔法陣のなかから、3メートルほどの巨大な骸骨が出現する。

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ただし上半だけだ。

腕は10本。

それぞれに剣や鉈など、10種の異なる武を持つ。

「な、なんて膨大な魔力……立っているだけで……辛い……これが、神……?」

【オロォオオロオオオオオオオオオ!】

「は……ははぁ……! どうだ、これが【秩序の神ホーラ】だぁ……!」

アリシアがその場に崩れ落ちながら言う。

「そんな……魔族は神すら使役するなんて……」

「いや、そんな力は持っていなかったな。おそらくさっきの指の効果だろう。【誰か】からもらったんだろうな」

【オロォオロオオオオオオオオオ!】

神ホーラは、大鎌を振り上げる。

回避行を取ろうとする。

だが、突如かなくなった。

「いや、【時間停止】か」

【オロォロロォオオオオオ!】

止まった時間の中で、ホーラの鎌が俺を袈裟に斬る。

ガキィイイイイイイイイン!

時がまたき出す。

「なっ!? ば、ばかな……時間を止めたのに、どうしてける……!」

蟲の息のアリシアが、目をむいて言う。

「え、時間停止対策くらい、事前に用意しておくのは常識だろ?」

「2000年前どんだけ殺伐としてたんだよ、兄さん……」

世界が停止すると同時に、自分の周囲に反魔法の結界が展開するよう組み込んであったのだ。

「よっと」

俺は魔剣を振るう。

スパンッ……!

神ホーラが、一刀両斷される。

「やったか!?」

【オロォオオオオオオオ!】

ホーラのが、まるで逆再生するかのように、元通りになる。

「そんな……!」

「はっはー! ホーラは時間と秩序を司る……! いくらユリウスの攻撃が強力だろうと、時間を戻せばダメージがゼロだぁ!」

アリシアが勝ち誇った笑みを浮かべる。

魔族は生命力が段違いなので、瀕死の重傷を負ってもしばらく生きているのだ。

【オロォロロォオオオオオオオ!】

ホーラは10の武で、俺めがけて、目にもとまらぬ斬撃を放つ。

ガキンぐしゃっバゴンッずばんっドガンッ!

「ホーラの持つ武はすべて【神】! 一撃で相手を即死させる武だ! この速度で、この手數。かわせるわけがなぁい!」

ぐぉ……! とホーラが武を持ち上げる。

10の武が、また俺めがけて振り下ろされる。

「死ねぇえええええええ!」

俺は魔剣を構えて、【攻撃反(パリィ)】を放つ。

パリィイイイイイイイイイイン!

「なっ、なにぃいいいいいい!?」

ホーラの武をすべて弾き返す。

バランスを崩した秩序の神は、仰向けに倒れる。

ずずぅううううんッ…………!

「そ、そんな馬鹿なことがあるか!? 神による神速の連続攻撃を、一度のパリィで弾き返すなど!?」

「え、たった腕10本程度で何言ってるんだ? 腕が100本や1000本のやつ、神には普通にいるだろ?」

愕然とした表のアリシア。

「す、すでに神との戦闘経験があるというのか……!」

「もちろん。倒し方も心得ているよ」

倒れている神に向かって、俺はゆっくりと歩く。

「は、はんっ! 馬鹿馬鹿しい! 神を倒すことなど不可能! なぜなら!」

「神は神にしか殺せない。けれど神は人間を殺せるからだろ?」

「なっ……!?」

驚愕するアリシア。

「あ、あり得ない! 勇者がいかに強かろうと、おまえはただの人間だ! 神を殺すことなど不可能だ!」

一方でガイアスは、確信めいた表で言う。

「馬鹿だね、學園長。兄さんに、敗北の二文字はないんだよ。だよね?」

「おうよ。【霊裝展開】」

その瞬間だ。

カッ……!

聖なるが、天井を突き破って、俺に降り注ぐ。

まばゆいは俺のを照らし、服と髪のを変化させる。

學生服から、タキシードのような純白の裝に。

髪のは長くび、日のごとく輝く。

「な、なんだその姿はぁああああ!?」

『これぞ【霊裝】をに纏った、勇者ユージーンの真の姿だ』

俺のは浮いている。

神格化した俺は、この世界を縛る重力の枷から外れたのだ。

「殺せぇえええ! ホーラぁあああ!」

【オロォオオオオオオオ!】

神が大鎌を振り上げる。

こりもせず時間を停止させる。

だが魔法陣は展開させない。

必要ないからだ。

ゴオォオオオオオオオオオ!

空間を削り取るような強烈な一撃を放ってくる。

俺はその軌道を完璧に見切り、人差し指を立てる。

鎌は俺の指めがけて、まるで吸い込まれるかのように振り下ろされる。

ビタッ……!

「な、なんだ今のは!? まるで未來を予知してたかようだ!」

「ああ、【予知の霊】の力を使わせて貰った」

霊!?」

「霊裝は人ので神の姿になる技。世界に存在する霊と一化することで、俺のは今神と同等となった」

俺のには今、數多くの霊たちが宿っている。

「俺は9999の霊と契約している。おのおの特殊な力を持っていて、彼らの力をすべて使えるんだ」

「は……はは……もうなんでもありかよ、兄さん……」

俺は右手を前に突き出す。

「終わりにしよう」

コォオオオオオオオオオオオ!

俺のから聖なるが噴出する。

それは俺の右手に宿り、純白のる剣へと変化する。

「く、くそおぉおおお! 殺せぇええ!」

ホーラが10ある武を合させて、超巨大な鎌を作る。

俺は剣を構えて、祝詞(のりと)を唱える。

霊よ、悪鬼滅殺の刃となりて、祓(はら)え給(たま)い、清め給(たま)え」

俺はの剣を両手で構えて、天に掲げる。

ゴォオオオオオオオオオオオオ!

それは強大なの柱となって、地上をあまねく照らす。

「【神滅天剣】」

ズバァアアアアアアアアアアアアン!

黃金の巨大な波となりて、前方へ向かって出される。

のエネルギーをそのまま凝したかのような一撃は、あらゆるものを滅する刃。

直線上にいた神は無論、アリシアすらも飲み込む。

さらには地下ダンジョンにいたすべての敵を消し飛ばし、もっと言えばダンジョンすらも消滅させる。

は突如として消える。

すると、壊れた壁や天井は、何事もなかったかのように元通りになった。

『破壊と創造、ふたつの屬を持つ最終奧義だ。殺す必要のないものはこうして再生される。まこと、見事な奧義だ勇者よ』

すべてを終えた俺は、霊裝を解く。

後ろで腰を抜かしている弟の元へ行く。

「立てるか?」

「……ちょっと、無理」

俺は弟をお姫様抱っこする。

普段は嫌がるのだが、今日ばかりはおとなしくしていた。

「なんかもう……次元の違う強さだね、兄さん」

「え、こんなの普通だろ?」

ガイアスは俺を見上げると、苦笑していう。

「やっとわかったよ。勇者神(にいさん)からすれば、これが普通なんだね」

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