《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》60.勇者、弟と和解する

転生勇者ユリウスが、神と學園長を消し飛ばした、その日の夜。

「おやぁ、やられてしまいましたか、學園長」

學園地下に存在する、理事長室にて。

白いスーツに、シルクハットをかぶった、妙な出で立ちの人がいた。

「やはり彼程度では、勇者神の相手は荷が重かったようですねぇ」

その人は、床に落ちていた指を拾い上げる。

それは學園長アリシアが、神を召喚する際に使った指だ。

「とは言え彼はよく働いてくれました。勇者神の強さが2000年後でも健在であることを証明してくれましたからねぇ」

さて、と指を懐に収める。

その人は、理事長室にある、大きな椅子に腰を下ろす。

「これは序章に過ぎません。世界は勇者神を中心に、大きくき出すことでしょう。そして予言通り、世界に破壊をもたらす。あなたはそういう運命にあるのです」

理事長の名札(プレート)を手に取り、ハンカチで表面を拭いながら、実に愉しそうに笑うのだった。

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★☆★

俺がアリシアを撃破した、その日の夜。

弟の部屋を尋ねていた。

「よっ。合はどうだ?」

ガイアスはベッドに半を起こして座っている。

「全然平気だよ。もういても大丈夫だって」

「駄目だ。俺の回復を使っても、おまえはしばらく立つことができなかった。未知の病気かもしれん」

「単に兄さんと神のバトルに腰を抜かしてただけだって。大げさなんだから」

苦笑するガイアスの隣に、俺は座る。

「その……ガイアスよ。すまない」

「何で兄さんが謝るの?」

「……おまえの本當の兄ちゃん、ユリウスを奪ってしまって、すまん」

ガイアスは、俺が勇者神ユージーンであることに気づいていた。

すなわち、俺が本當の兄貴ではないことも、だ。

「謝ることないだろ。別に、にいさ……あなたは故意にやったわけじゃないんだし」

転生については、弟に説明済みだ。

「……恨んでないのか? おまえから、兄ちゃんを奪ったのに?」

「わざとやってない以上、恨むのはお門違いでしょ」

ガイアスは安心させるように微笑む。

その笑みを見て、ホッとした。

「なぁ魔王、元からいたユリウスの意識は、どこにいったんだ?」

『わからん。転生のは不明な點が多い。ユリウスの魂はおまえと一化して消えたのか、あるいはおまえが乗り移ったと同時にどこか別の場所へ弾き飛ばされたのか』

いずれにせよ、俺がこのったことで、もといたユリウスは居なくなってしまったのだ。

彼の人生を奪った責任は、負わねばならない。

「俺、ユリウスを探してみるよ。どこにいってしまったのか、今どうなっているのか、わからないけど」

立ち上がり、俺はガイアスを見下ろしていう。

「お前の本當の兄ちゃん、探してくるからさ。それで許してしい」

俺は部屋を出て行こうとする。

「待ってよ、【兄さん】」

ガイアスが俺を呼び止める。

振り返ると、弟は真剣な表で俺を見ていた。

「ボクとの約束、忘れたの?」

それは、ガイアスが兄(ユリウス)を超える日まで、ずっとそばにいるという約束だ。

「いや、でも……おまえあのとき、俺をユリウスだと思ってたから」

「関係ないよ。あの約束は、あなたと……今目の前に居る兄さんとわしたんだ」

ガイアスは立ち上がって、俺のそばまでやってくる。

「言っただろ? ボクは兄さん(あなた)を超えるって。その目標は今も変わらない。……たとえ、あなたの正が、神を超える存在であっても。中が、ユリウスじゃなくても」

にかっ、とガイアスは笑う。

「ボクはあなたから逃げないよ。だから、兄さんもボクから逃げないで」

言われて、俺は初めて、自覚した。

「ああ、俺……逃げようとしてたんだな。弟から、本當の兄貴を奪ったことに対する、【罪悪】から」

罪の意識をじてしまうのは、目の前のこの弟に対して、おしさを覚えているからだ。

俺の正を知っても、逃げず真っ直ぐに立ち向かってくる。

けなげで可い弟から……兄を奪い、傷つけてしまったことに……申し訳なさを覚えていたのだ。

「あなたの中が勇者神だとしても、今はボクの兄さんだよ。無自覚で人のことを踏み潰してくる、ムカつく人だけど……優しくて、面倒見が良くて……かっこいい」

ガイアスは晴れやかな笑顔を俺に向ける。

「ボク、そんな兄さんのこと、好きだよ」

その瞬間、の痛みが、薄れた気がした。

「あ、あくまでも人としてってことだからね! 勘違いしないでよな!」

「ガイアス……ありがとな」

俺は弟を抱きしめる。

「なっ!? い、いきなり何すんのさ! ばかっ! 離せよっ!」

ガイアスは俺を押しのけて、距離を取る。

「俺も逃げないよ。本以上の兄になれるように……がんばるからさ」

弟に、俺は手をばす。

「不出來な兄をよろしくな、弟よ」

ガイアスはやれやれ、と首を振って、笑顔で言う。

「しょうがないな。よろしくしてあげるよ、兄さん」

俺たちは握手をわし、共に笑い合うのだった。

【※読者の皆さまへ とても大切なお願い】

この話で第4章終了、。

次回から第5章に突、また新しい展開へと突します。

「面白い!」

「続きが気になる!」

「ガイアスもっともっと頑張れ!」

と思ったら、

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つまらなかったら星1つ、素直にじた気持ちで全然かまいません!!!!!!!!

なにとぞ、よろしくお願いします!

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