《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》62.勇者、クズ両親を見捨て弟と登校する

弟と朝練をした後。

自室にて。

「よし、學校行くか」

俺は白いブレザーを羽織る。

コンコン……。

「どうぞー」

「兄さん、そろそろ時間だよ……って、なんでブレザー著てるの? 今日から夏服だよ」

ガイアスは半袖の青いシャツにスラックス。

ノーネクタイという、涼しげな格好をしている。

「おお、そういうのあるのか。ええっと……どこに……」

「まったくもう。ほら兄さん、こっちのタンスの中でしょ?」

ガイアスが半袖のシャツを取ってきてくれる。

「おう、悪いな」

パサッ!

「もう! ジャケットを床に放り投げるなよ! しわになるだろ!」

弟はジャケットを拾って、ハンガーにかける。

「……兄さん、また遅くまで読書してたの?」

ハンガーラックのそばに、機がある。

その上には書が山積されていた。

「まぁな。ユリウスの手がかりがないか調べてるんだけど……これがなかなか」

勇者神ユージーンである俺は、このユリウス=フォン=カーライルに転生した。

元いたユリウスがどこへいってしまったのか。

それを調べようとしてるのだ。

「魔法の達人だった魔王も、転生のを詳しくは知らないんでしょ? なら簡単には見つからないよ」

ガイアスは俺に近づき、至近距離まで顔を寄せてくる。

「だからそんな、クマができるまで調べしなくていいからさ」

『そうだぞ勇者よ。せっかく転生したのだ。焦らず、2度目の人生を謳歌するが良い』

そうはいっても、なんとかしてやりたいんだよな。

「ところで弟よ、顔が近いぞ。なんだ、ご褒のチューでもしてほしいのか?」

「ばっ、ばっ、馬鹿じゃないの!? 変なこと言うなよアホっ!」

弟が顔を真っ赤にして揺する。

俺は肩にポンと手を置く。

「そんじゃ學校行くか」

俺たちは玄関までやってくる。

「やぁやぁユリウスぅ! おはよう!」

「今日も凜々しいわぁ! 夏服も最高に似合ってる!」

両親が気持ちの悪い聲と笑顔で、俺たちに近づいてきた。

「なんのようだ?」

「用事がなければ聲をかけちゃいけないなんて、そんなさみしいじゃないか!」

「そうよぉ! わたくしたち【3人】、家族じゃない?」

ガイアスが表を曇らせ、うつむく。

俺はどうにも両親を好きになれない。

弟にこんな悲しい顔させるしな。

「いこうぜ。こんな奴らほっといて」

俺はガイアスの首の後ろに腕を回し、その場を離れようとする。

「な、なんで怒ってるのだユリウスよ! 金か? そうか! お小遣いをやろう!」

親父が懐から財布を取り出す。

「俺はいらん。弟にあげてくれ」

「ふんっ! こんな出來損ないにやる金は1ゴールドたりともないわ! それよりほら、ユリウス。好きなだけ金をやるぞぉ?」

俺はため息をつく。

それだけで、親父は凄まじい勢いで吹っ飛んだ。

「うげぇ……!」

「あなたっ!」

加減したのでケガは負ってないだろうが、いちおう回復魔法をかける。

「……なんで回復してあげるの?」

弟が小首をかしげる。

「あんなのでもお前の両親だからな。お前に悪いと思ってよ」

俺は弟の頭をわしわしとなでる。

「わからん……ユリウスよ。おぬしは何に怒っているのだ……?」

「そうよ! あんな絞りかすの弟よりも、もっと両親を大切にしなさいよ!」

おふくろを、俺はにらみつける。

それだけで、彼は失神した。

親父はガクガク……と震えながら、失してる。

「あんたらこそ、弟をちゃんと大事にしろよ。前みたいにさ」

転生前、両親はガイアスをひいきしていた。

しかし転生後のユリウスの方が優れているとわかると、手のひらを返してきたのである。

「朝から気分を害しちまったな。すまんな」

「別に……兄さんは何も悪くないじゃん。かばってくれてありがと」

微笑む弟とともに、俺はその場を後にする。

「なぜだぁ……ユリウスは、あんなに両親に好かれたがったのにぃ~……」

けない聲を上げる親父に俺はハッキリと言う。

「弟(かぞく)から好かれてるから、もう十分だ」

「……もう。兄さんの、ばかっ」

俺たちは屋敷の外に出て、弟の転移魔法で、學園へと向かうのだった。

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