《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》63.勇者、理事長の弟が転校してくる

弟の転移魔法で、俺は學園の裏庭へ一瞬で飛んだ。

ガイアスの腕では、まだ室への転移ができないのだ。

「うっし、じゃ教室いくか」

俺はガイアスの首の後ろに、腕を回す。

ぐいーと俺を押しのける。

「どうした?」

「……何度も言ってるけど、學園では不必要にベタベタしないでよね」

ふんっ、とガイアスはそっぽ向いて、先を歩く。

俺はその後ろをついてく。

「なんでだよー」

「恥ずかしいからだよ。わかるでしょ?」

「え、さっぱりわかんないんだけど?」

「……もういいよ。鈍兄さん」

ガイアスとともに、正面玄関へと回る。

「……おい見ろよ、化け兄弟だ」

「……ほんとだ、今日も兄弟そろって怖ぇえ」

生徒達全員が、俺たちに注目を集めている。

「はぁ~……」

「ん? どうした弟よ?」

「いや、ボクもすっかり兄さんと同じカテゴリーに分類されてるんだなって……」

「いいじゃないか。兄弟なんだし、おそろいで結構なことだろ?」

ややあって、俺たちは教室へとやってきた。

「おはよう、ユリウス君っ」

「おはよーさーん♡ 旦那様っ♡」

窓際の席に座っていると、ふたりが俺に聲をかけてくる。

ハーフエルフのエリーゼ。

極東の皇サクラ。

「おっす、ふたりとも夏服似合ってるぜ」

子も今日から薄著になっていた。

ミニスカートに半袖シャツ。

サマーベスト。

「えへへっ♡ ユリウス君もとっても似合ってるよ!」

「ほんま何を著てもあんたは様になるなぁ♡ かっこええわぁ♡」

左右に彼たちが座り、むぎゅーっと腕にひっつく。

「……ちょっとさ、うるさいよ君たち」

俺の前の席に座っているのは、弟のガイアスだ。

「おお、すまんすまん」

「兄さんに注意したんじゃないよ。……そこのやかましいふたりにしたの」

弟は骨に嫌そうな顔を、ふたりに向ける。

「そんなに騒いでないもんっ」

「あんた自分が人前じゃ恥ずかしくて、お兄さんにベタベタできないストレスを、うちらにぶつけるのやめてくれへん?」

「なっ!? へ、へ、変なこというなよ! 馬鹿!」

ガイアスが顔を真っ赤にしてぶ。

「素直になればええのに。このブラコン」

「誰がブラコンだよ!」

と、そのときだった。

キーン、コーン、カーン、コーン……。

「始業の鐘だ。ほら、みんな席に著けよ、怒られるぞ」

サクラとガイアスがにらみ合い、それぞれ席に著く。

ガラッ。

り口のドアから、擔任の先生。

その後ろに、見かけない【男子生徒】がいた。

「……ねえちょっと形じゃない?」

「……髪のなっが。顔ちっさ。まつげながっ。の子みたーい」

先生は黒板の前に立って言う。

「おはようみなさん。今日はまず転校生を紹介します」

「「「転校生?」」」

ガイアスは不審そうな顔で首をかしげる。

「……こんな1學期もあとしで終わる時期に?」

そのときだった。

「へぇ、あなたがユリウスさんですかー」

弟の頭の上に、転校生がしゃがんで座っていたのだ。

「なっ!? い、いつの間に!? どけよ!」

ガイアスが手で払う。

ふっ……と煙のように、転校生が消えた。

機の上に座り、俺と鼻先がくっつくくらい近くに居た。

「おっす、俺ユリウス。いい【地】使うなぁおまえ」

の奧義の一つだ。

相手に一瞬で近づくスキル。

「へえ、地使ったってわかったんですか。意外とやりますね、あなた」

ニッ……と転校生が笑う。

「ぼ、ボクでも目できが追えなかった……こいつ……何者なんだ……?」

「おっと失敬。名乗ってませんでしたね」

よいしょ、と転校生が機から降りる。

「初めまして、ぼくは【ミカエル】。【ミカエル=フォン=グラハム】です。どうぞよろしく」

にゅっ、とミカエルが手をばす。

「よろしく。しかしおまえ小さいな、本當に同級生(ため)か?」

「外見上は10歳です。ですが【兄上】があなたと同じクラスでいいって。飛び級ってやつらしいです」

「ふーん……兄上って?」

「理事長やってるです」

なんと、こいつ理事長の弟なのか。

「ゆ、ユリウス君に近づく男がまた……!」

エリーゼがなんか頭を抱えていた。

「え、じゃあ理事長も【天使】なのか?」

「「「へ……? て、天使?」」」

エリーゼ達が、ぽかんとした顔になる。

飄々とした態度を取っていたミカエルだったが、真面目な顔つきになる。

「へぇ……あなた、ぼくが天使だって、よく気づきましたね。最上級の隠蔽魔法つかっていたのに」

「え、その程度で隠してたつもりだったの? てっきりオープンにしてるもんだと思ってた」

2000年前じゃ隠蔽からの騙し討ちなんて日常茶飯事だった。

それを見破る魔眼を外出時に発するのは常識だ。

「……面白い。あなた、とてもいいです」

ミカエルは楽しそうに……口の端をつり上げる。

「兄上に聞いていたとおりです。あなた、本の強さをお持ちのようです。面白い、実に、面白い」

バサッ……! とミカエルが白い6枚の翼を広げる。

「ユリウスさん、ぼくと決闘をお願いするです。あなたの強さ、計らせてほしいです」

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