《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》65.勇者、理事長から頭を下げられる

授業を終えて、俺はガイアスと屋敷へ帰ってきた。

メイドのシャルロットが俺たちを出迎える。

「ユリウス様、お客様が來ていらっしゃいます」

「客? 誰だろう……?」

「ユリウスぅうううう! た、大変だぞぉおおおおおお!」

2階から親父とお袋が、大汗かきながら、俺たちの元へやってきた。

「よくやったぁユリウスぅう!」

「ほんと! あなたはこの家に幸福しかもたらさない幸運神ね!」

わけわからん二人を無視して、シャルロットが言う。

「客人は応接間でございます。ガイアス様にもお會いしたいとのことでした」

俺たちはメイドとともに、応接間へと移する。

ドアを開けた、そのときだ。

「【あにうえ】~!」

小柄な男の子が、俺に抱きついてきたのだ。

長い髪に、い見た目。

「ミカエルじゃないか」

「……あにうえってなんだよ。兄さんはボクの兄さんだぞ!」

ガイアスがミカエルを引き剝がす。

「おまえ何しに來たの?」

「兄上があにうえに用事があるらしいです」

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「こらこらミカエル。ユリウス殿に失禮ですよぉ」

応接室のソファに座っていたのは、長の男だった。

白いスーツにシルクハット。

そして白いマントという、妙な出で立ちだ。

年齢はわからん。

垂れ目くらいで他に特徴はない。

「あんた、誰だ?」

男は俺の前で、慇懃に頭を下げる。

「ワタシは【ルシフェル=フォン=グラハム】。グラハム公爵家の當主でミカエルの兄でございます」

「ぐ、グラハム卿だって!?」

ガイアスが目をむいてぶ。

「なんだそれ?」

「【帝國】の超大貴族だよ。歴史のある名家で、全國に有名な商會をいくつも抱えてるすごい大金持ちさ」

帝國ってなんだろ?

この國は王國制度だから、別の國かな?

「そして君らの通う學園の【理事長】でもあります。以後おみしりおきを」

常に張り付いたような笑みを浮かべながら、ルシフェル理事長は言う。

「お會いできて栄ですよぉ。……ユージーン殿」

「俺の報は筒抜けなのね」

考えてみれば學園長が正を知っていたのだから、上司であるこいつが知らないわけないか。

「何の用事だ?」

「あなたに謝罪とお願いがありまして。さ、立ち話も何ですしお座りください」

ここ俺の家なんだが……まあいいや。

「先日は學園長が君に大変なご無禮を働いたこと、まずは謝罪させてください」

アリシアが魔族と通しており、俺に襲いかかってきた件をいっているのだろう。

「あんたはアリシアが魔族だって知ってたのか?」

「全くの初耳でした。ワタシを悪人に仕立て上げるなんて、酷い教育者もいたものです」

ふぅ、とルシフェルは首を振る。

弟は額に青筋を立て、聲を荒らげる。

「ふざけるな! 學園長はアンタが魔族と通じてるって言ってたんだよ! 無関係なわけないだろ!」

だがルシフェル理事長は気圧されることなく続ける。

「ワタシと彼は全くの無関係です」

「どの口が……! あんたが一番怪しいんだよ!」

「おやぁ? 証拠が何かおありですかぁ?」

ぐぬっ、とガイアスがをかみしめる。

「今後あなた方の學園はワタシが直々に面倒見ることになりました。學園の秩序と平和は責任を持って守りますゆえご安心を」

全く安心できないが、まあそれはいい。

「で、お願いっていうのはなんだよ?」

理事長は立ち上がると、俺の前で深々と頭を下げる。

「ユリウス殿。単刀直に言いましょう。そこの愚弟、ミカエルを君の家の養子にしていただけないでしょうか?」

「はぁ!? よ、養子ぃ!?」

「あにうえ、こいつウルサいです」

ミカエルが無垢なる笑みを俺に向ける。

「考えていただけないでしょうか?」

「え、普通に斷る」

「「ちょぉっと待ったぁああああ!」」

ドアが開いて、両親がやってくる。

「ユリウスよ! 考え直すのだ! これは希代のビッグチャンスだぞ!?」

「そうよ! グラハム家との太いパイプがあれば、この家のさらなる繁栄は確約されたも同然!」

「しかもユリウスを養子によこせではなく向こうから申し出ている! こちらに利しかない!」

俺は転移魔法を使って、アホ両親を別室に飛ばす。

「……どう見ても怪しいだろ」

學園長程度の魔族が、神の力を手にできるわけがない。

手引きしていた人がいる。

それがこいつだと、非常にしっくりくる。

「疑う気持ちは十分に理解できます。さすがユリウス殿、両親と違いご賢明であらせる」

「馬鹿なこと言ってないでさっさと帰れ」

「それは困ります。是が非でも、わが弟をあなたの家に置きたいのですがぁ」

「そりゃなんでだよ?」

「こちらに利のある取引だからですよぉ。ユリウス殿という希に見る逸材と太い繋がりがあれば、グラハムの家も安泰というものですしねぇ」

一切真実を告げていない、ぺらっぺらな言葉だった。

「ミカエルには悪いけど斷るよ」

「がーん、です。しょっくぅ~……です」

「ははっ! 殘念だったね! 兄さんの弟はボクだけで十分なんだよっ!」

ルシフェル理事長は俺の耳元に、口を近づけていう。

「【ユリウス】の捜索のお手伝いをさせていただく、という條件を付け加えるならどうです?」

「……ほぅ」

「我が家は大きな商會を持っております。國外問わず膨大な量の報がってきます。人員を割き有益な報をピックアップさせます。さらには一般人が読めない書、立ち止の歴史的建造もグラハムの権力で……」

「わかった。提案に乗る」

ルシフェルはニマニマと笑う。

「そうおっしゃられると信じておりました。さすがユリウス殿」

「おまえが怪しいのは承知済みだ。勇者神に真正面からケンカを売る馬鹿でもないこともな」

「當然。史上最強のあなた様に挑むことなど自殺行為に等しい。逆らっている學園長をはじめとした魔族に魔神、神達は、馬鹿としか言い様がないですねぇ」

こいつは力の差を理解してる。

なくとも、表面上は協力関係を崩そうとはしないだろう。

ならば有効活用させて貰おうじゃないか。

「あにうえっ! 今日からぼくは、あにうえの弟なのですかっ!」

「おう、よろしくなミカエル」

「いやったぁ~♡」

むぎゅーっとミカエルが俺の腕にしがみつく。

「……兄さん、いいのかよ?」

理事長と手を組むことに対して、弟は懐疑的なのだろう。

「え、まあ怪しいところはあるけど、利點も多いからな」

「そうじゃなくって! ……その、ボクだけの兄さんじゃなくなるの、嫌じゃないの?」

「え、ぜんぜん」

ガイアスはとたんに不機嫌な顔になると立ち上がって出て行く。

「ばかっ!」

バタンッ!

「あの人なにを怒ってるです?」

「思春期なんだろ」

「おお! なるほど、あにうえは知りです! あにうえ♡ あにうえ~♡」

えへへとミカエルは笑って、俺にぎゅーっと抱きついてくる。

「ではワタシはこれで失禮します。ユリウス殿にご迷をかけないようにするのだぞ、愚弟よ」

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