《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》66.わがまま王の破滅~その4~
転生勇者ユリウスが、理事長グラハム家と協定を結んだ。
それから數日後。
王城の、王ヒストリアの私室にて。
「ふぅー……暑いわ。ちょっとメイド、もっと涼しくならないの?」
ベッドに橫たわるのは、パジャマを著た王だ。
メイド達がウチワを扇いでいる。
「申し訳ございません。これで一杯です」
「ったく役に立たないわね! もう良いわ! あんたクビ! さっさと出て行きなさい!」
メイドが肩をすぼめて、部屋を出て行く。
「ふん……! ほんと忌々しいわ。毎日暑くてたまらない……」
さて、ヒストリアの現狀はどうなっているのか。
父親から、最後のチャンスだと言われ、魔眼によるガイアスの魅了作戦が行われた。
しかし、失敗。
本來ならペナルティとして國外へ追放処分されるところだった。
ところが學園の地下で、ヒストリアは學園長の【魔甲蟲】に襲われた。
もっともガイアスがその場で2000匹のモンスターを瞬殺したので、ケガはなかった。
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しかしモンスターの大軍が出た! と騒いだ結果、【ヒストリア王は神を病んでしまった】と周囲に誤解されてしまう。
それはそうだろう。
誰もモンスターを見ていないのだから。
耐えがたい侮辱に激しい怒りを覚えたものの、ヒストリアはこれを好機と捕らえた。
「心を病んだってことにすれば、療養って大義名分がり立つものね」
ヒストリアは橫になり、笑みを浮かべる。
「頭がおかしいって思われるのは癪だけど、アタシにとっては、王としてこの城に居続けることが1番大事だから。……もうあの兄弟には二度と関わらないでおこう」
言うまでもなく、カーライル兄弟のことである。
「お父様もさすがに諦めたでしょう。なにをあんなに固執してるのかしら。有力貴族なんて他にもいるじゃない。……ま、もうアタシにはどーでもいいけどねっ」
と、そのときだった。
「ヒストリアの馬鹿娘はいるかぁあ!」
バンッ!
「お、お父様……」
國王が肩を怒らせながら、ヒストリアのもとへやってくる。
「と、突然どうしたの? アタシまだ心を病んでて、人に會える狀態ではありません……」
「やかましい!」
バシッ!
「な、なにをなさるのですか……」
「黙れ! 親に口答えするな! 頭すっからかんの馬鹿娘が!」
バシッ! バシッ! バシッ!
しばらく暴力を振るわれた後、父親がヒストリアの髪のを摑み、ベッドから引きずり下ろす。
「ヒストリア。今すぐユリウスの元へ行って、【魅了の魔眼】を使ってこい!」
「はぁ!?」
父の口からまたユリウスの名前が出た。
もう勘弁してしかった。
「ど、どうしたのですいきなり……?」
「帝國の有力貴族【グラハム】家が、ユリウスの家に養子を送ったのだ」
「は、はぁ……それがなにか?」
「愚か者! ほんとうに貴様は頭に脳が詰まってないな! この低脳クズめ!」
たかが自分を生ませただけの老害に、なぜこうも侮辱されなきゃいけないのか。
ヒストリアは今すぐにでもつかみかかる気持ちを……グッと抑える。
自分の処遇を決めるのは、父親である國王だ。
彼の不興を買えば即刻、城から追い出されるだろう。
「よいか、極東だけでなく、ついに帝國までもが、カーライル家を引き抜こうとき出したのだ」
今回のことを、國王は帝國側の買収行為だと解釈したらしい。
「もはや一刻の猶予もない! ユリウスは渡さぬ! 絶対にだ!」
「し、しかし魅了の魔眼を使えば、ただのり人形になってしまいますよ?」
「致し方あるまい。大事なのはカーライル家とのパイプを保つこと。ユリウスを他の國に取られるくらいなら、言わぬ人形に変えてでも手元に置かねば。その後お前が男子を産めば全て解決よ」
くくく……と國王が邪悪に笑う。
その瞳に理は宿っていない。
あるのはカーライル家、大貴族を取られまいという、妄執のみだ。
ヒストリアは父親を、初めて恐ろしいとじた。
「さっさと著替えてユリウスのいる學園へ行け。押したおしてでも魔眼を使うのだ。できなければ斬首だ!」
「そ、そんなぁ……む、無理です。學園には行きたくありません……」
あの學園でのヒストリアは、【婚約者に捨てられた慘めで可そうな】扱いされているのだ。
「はっ! 貴様がどう思われようがどうでもいい! ことは國家存亡の危機なのだぞ! ユリウスを手にれることと比較すれば、貴様のちんけなプライドなんてミジンコみたいなものだろう!」
「そ、そんな……実の娘を、ミジンコ呼ばわりするなんて……」
「貴様なんぞ顔が多整っているだけの、頭空っぽ格ドブスの屑ではないか。ミジンコと同列に扱ってもらえるだけ謝しろ」
……ここまで、実の父から馬鹿にされなければいけないなんて。
ヒストリアは殺意を覚えていた。
父に?
否、こうなってしまった全ての元兇……【ユリウス=フォン=カーライル】にだ。
「ユリウスを誰かに取られる前になんとかするのだ! 良いな!」
國王は最後に、娘につばを吐きかけて出て行く。
怒りで肩をふるわせながらつぶやく。
「……ええ、わかりましたよお父様。他國に取られる前にどうにかすればいいんでしょ?」
ヒストリアは部屋の隅に移。
壁に掛けてあった【電話】を使って、メイドを呼び出す。
「およびですか、王殿下?」
「【天導(てんどう)教會】に使者を送りなさい」
「て、天導(てんどう)教會……ですか。あの悪魔退治のスペシャリストである最強の【聖騎士】を呼んで、いったい何をするのです?」
「【悪魔に取り憑かれた男】を殺して貰うだけよ。ユリウスっていう悪魔をね」
考えてみれば不思議だった。
ユリウスは數ヶ月前まで、ヒストリアにぞっこんだったのだ。
しかしある日を境に、人が変わった。
突然、前れもなく。
まるで何かに憑依されたように。
「ユリウスは悪魔に取り憑かれたのよ。だから人が変わったのね。ほら、言い訳はたつでしょう?」
「し、しかし……天導教會は【虛偽を絶対に許さない】清廉潔白な孤高の集団です。もし私のために聖騎士を利用したとバレればヒストリア様に不幸が……」
「うっさいわね! メイド風がアタシに口答えするんじゃない!」
結局のところ、父親が懸念してるのは、ユリウスが別のものの手に渡ることなのだ。
ならば殺してしまえば誰のものにもならない。
國王もさすがに諦めるだろう。
そうすれば今までの作戦失敗も帳消しになるはずだ。
「待ってなさいユリウス。最強の聖騎士集団が、あなたを殺しに向かうから」
にまり……とヒストリアが笑う。
「あなたがちょっとばかし強くなったところで、天導教會の聖騎士が負けるわけがない。絶対に。何があっても。天地がひっくり返ろうが、ユリウス、あなたは聖騎士には勝てないのよぉ!」
……このとき王は理解していなかった。
ユリウスにとりついた【悪魔(ゆうしゃ)】が、彼の予想を遙かに上回る、史上最強の【化け】であることを。
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