《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》68.聖騎士団、壊滅する

転生勇者ユリウスが、聖騎士ヘンリエッタを撃退した、その翌日。

王都某所。

天導(てんどう)教會。

純白の間には、円卓が置いてあった。

その椅子は13。

1つは空席となっていた。

「まったくさぁ、ヘンリエッタも馬鹿げた報告してくれるよねぇ」

聖騎士の1人、小柄な年ナインが言う。

「學園にいたのは規格外の大悪魔? しかも何もしないだけで負けたとかさぁ~さすがに噓でしょ」

「そうだべ。きっと負けたのが恥ずかしくて、過剰評価してるだけだべ」

太った男トゥエルブが小馬鹿にしたように笑う。

「われら神に選ばれし聖騎士【13使徒】。我らが敗北することなどあってはならん。ヘンリエッタの恥さらしめ」

神経質そうな男、トゥーがため息をつく。

そう、彼らこそ天導教會最強の騎士たちだ。

現在、ヘンリエッタだけが欠席している。

「それで、あの負けたザコの馬鹿はどこにいるっしょ?」

軽薄そうな男スリーが言う。

「部屋に引きこもっていますわ。なにやら心に深刻なダメージを喰らったそうです。心配ですわ」

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長い髪のフォーが言う。

「はっ! 聖騎士のくせに負けたあんなゴミに、同の余地なんてないっすよぉ~?」

「全くもってその通り。しかも負けた言い訳までするとは。聖騎士失格! 即刻クビにするべきと、【上】に報告すべきである!」

ファイブとシックスが、うんうんと同意する。

「そもそも悪魔ごときになーに遅れ取ってるんだよ?」

「なにが『アレは地獄から來た真の悪魔だ。理を外れた力を持つ。挑んではいけない』だよ。ヘンリエッタはおおげさなんだよ」

と、全員がこの場にいない彼のことを非難していた、そのときだ。

「みな、靜粛に」

円卓に座り、腕を組んでいた男が小さくつぶやく。

それだけで、殘り11人の騎士達が黙った。

「ヘンリエッタが敗北したことは事実。相手は相當な強さであると考えた方が良い」

「リーダー! あんた、あの腰抜けババアの言うこと信じるのか?」

リーダーたる騎士【ファースト】は、靜かにうなずく。

「天に仕える我らが同胞が、虛偽の申告でみなを混させるとは思えない」

「で、では……どうすると?」

ファーストは立ち上がる。

「みなで総攻撃を仕掛けるぞ。なに、いくら強いと言っても、所詮力を合わせた我ら最強の聖騎士たちにはかなうまい」

……騎士達が余裕でいられたのは、そのときまでだった。

ガチャン……と、部屋のドアが開いたのである。

「邪魔してすまんな。俺、ユリウス」

「「「なっ!? なにぃいい!?」」」

聖騎士は全員が、驚愕の表を浮かべる。

そこにいたのは、ヘンリエッタから報告のあった黒髪の年。

大悪魔ユリウスだ。

「そんな馬鹿な! この部屋は神聖なる結界が張ってあり、聖騎士以外立ちれないはずだぞ!?」

「え、あんな紙みたいなのが結界だったの?」

「しかもこの教會部は聖なる領域! 神の許可なくることはできない! まして悪魔は強力な神聖魔法により消し飛ぶはず!」

「え、普通にってこれたけど?」

ざわ……ざわ……。

聖騎士達は、全に汗をかいていた。

彼らは皆、並ぶものの居ない猛者ばかり。

それでも……今の目の前に居る大悪魔には勝てない。

本能が……そう訴えていた。

「う、うわぁああああああああ!」

「サーティ! 待て! 早まるな!」

最年の聖騎士が、ユリウスめがけて攻撃を仕掛ける。

騎士達は全員、【神】と呼ばれる、神から授かった最強の武を持っている。

「ぼ、ぼくの【天の機関銃(マシンガン)】! くらえぇええ!」

ズガガガガガガガガガ!

1秒に凄まじい數の、銀の弾丸が出される。

ユリウスはそれを至近距離でけた。

「え、なにこれ? ツボ押しマッサージ?」

「う、うわぁああああああ!」

ズガガガガガガガガガ!

ユリウスは銃弾の雨をけても、ものともしていなかった。

「このぉ! 化けものめ!」

「天にその命を返しなさい!」

天の槍、そして天の斧を持ったふたりが、息の合ったコンビネーションで斬りかかる。

ガキィイイイイイイイイイン!

2人の武は、相手に屆く前に弾かれた。

「何が起きてるんだ!?」

「え、あ、すまん。魔力の鎧きたままじゃ失禮だったか?」

とぼけた表で、悪魔が邪悪に笑いかける。

「ひぃいいいいい! 怖いよぉおおお! ママぁあああああああ!」

その笑みを見ただけで、まだい聖騎士は泣き出してしまった。

「ど、どうするリーダー! このままじゃ俺ら壊滅だぞ!」

「…………」

「リーダー!」

ファーストは恐怖でけないでいた。

彼はこの騎士の中で、誰よりも強い。

だからこそ、相手の規格外の強さを、わかってしまったのだ。

「か、勝てない……ヘンリエッタの言ったとおりだった。こいつは……この世の理の外に存在する、地獄よりやってきた破壊と死の大悪魔なのだ……」

するとユリウスは、ファーストに近づいてくる。

殘りの騎士達は、武を放り投げて、慘めに泣きながら逃げていった。

「あんたヘンリエッタの知り合いか?」

ファーストは、その場に平伏した。

話しかけられただけで、伝わってくる。

圧倒的なまでの、死。

「申し訳ございません! ヘンリエッタは、貴方様に楯突いたは! ここにはおりませんぅうう!」

ファーストにできることは、必死になって命乞いをすることだった。

それほどまでに、この男からは、圧倒的な破壊の力をじる。

気分を害せば……死ぬ!

「え、なんでそんな大仰に謝ってるの? ……まあいいや。これ、返しておいて」

ユリウスはどこからか、黃金の剣と盾、そして鎧を取り出す。

「い、今それをどこから……?」

「え、【異空間】に収納していただけだけど?」

「な、なるほどぉ! さすがは大悪魔さま! いにしえに滅びた異空間魔法をお使いになさるとはぁ! いやさすがだぁ!」

もはやファーストに、先ほどまであった余裕はない。

今は必死でびを売り、この場を生き抜く。

ただそれだけを考えていた。

「これ、あの人に返しておいて。壊しちゃったから、新しく作り直したって」

「なっ!? じ、神を破壊!? そして作った!?」

「え、簡単だろ。何驚いてるんだよおまえ?」

ファーストは戦慄した。

この破壊神は……神の武すら容易く破壊創造が可能なほど規格外なのだ。

「じゃ、ちゃんと返しておいてね」

「ははー! この命に代えましてもぉお!」

もう駄目だ。

こいつに逆らったら死ぬ。

今は一秒でも早く、この場からこの暗黒大邪神が立ち去ることを祈るのみ。

「あ、そうだ」

ピタリと立ち止まり、ユリウスはこちらにやってくる。

「あんたヘンリエッタの同僚だろ? 伝えておいてくれ。……次はないからな」

次はない。

つまり、お前らの命はない……と。

ファーストは恐怖し、気絶した。

「俺、人混みが苦手なんだよ。王都に來るの面倒だから、もう次はを置いていっても屆けないからな……って、どうしたの?」

ぶくぶくと泡を吹いて、ファーストは仰向けに寢ている。

「疲れてるのかな? そっとしとこ。じゃあなぁ」

かくして、聖騎士最強の13使徒は壊滅したのだった。

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