《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》88.S級冒険者、勇者パーティの強さに驚く

転生勇者ユリウスたちのパーティが、Sランクに認定されてから、數日後。

彼らが拠點とするカシクザキの街から、南西に下った田舎町【ミョーコゥ】にて。

「くそっ! なんて強いんだ……この【九頭(ナインヘッド)バジリスク】は!」

Sランク冒険者パーティ【黃昏の竜】。

そのリーダー、【マッケーヌ】。

彼が見上げる先にいるのは、9つの頭を持った、紫の【大蛇】だ。

「シャォオオオオオオオオオオオ!」

「九頭バジリスク……SSランクのこの化け、よもやここまで強いとは!」

マッケーヌはギリっと歯がみする。

Sランクパーティ、総勢20組が徒黨を組んで、この化けの討伐に挑んでいた。

だが數日かけても、9つの頭を持つ大蛇には、傷一つつけることができない。

「シャオォオオオオオオオオ!」

「來るぞ! 毒のブレスだ! 総員、防勢!」

マッケーヌの指示に従い、聖職者系の冒険者達が、防魔法を使う。

ぶしゅぅうううううううううう!

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超高度の毒ガスが、バジリスクから放たれる。

「ぐぁああああ!」「目が! 目がぁあ!」

しかし最高峰の防魔法を用いても、バジリスクの毒ガスを完全には防げない。

あるものは失明し、あるものは泡を吹いて失神した。

「マッケーヌ! もう壊滅寸前です! 撤退しましょう!」

仲間の一人が、そんな弱気な発言をする。

「バカヤロウ! おれたちはSランク冒険者! 最高峰の強者だぞ!? おめおめと引き下がれるか!」

「しかしもうけるものはほとんど居ません! 援軍の要請をしたけど果たしていつになることか……」

「うるさい黙れ! この腰抜けめ! こうなったらおれだけでも! うぉおおおおおおおおお!」

マッケーヌが剣を抜き、バジリスクに特攻する。

スキルを使い、高く跳躍。

「死ねぇえええええええええ!」

彼の剣が、バジリスクの首を斬ろうとする。

ボシュッ……!

「くそっ! 剣が溶けやがった! 毒のが邪魔しやがる!」

九頭バジリスクは、つねに猛毒ので覆われている。

このせいで攻撃は全く通じない。

逆にれると即死級のダメージを喰らう。

厄介極まる敵だった。

「シャォオオオオオオオオオ!」

マッケーヌめがけて、バジリスクの頭の一つが、突っ込んでくる。

「マッケーヌ! 避けろぉ!」

「ひぃいいいい! し、死ぬぅうううう! もう駄目だぁあああああああ!」

と、そのときだった。

パシッ……!

「ふぇ……?」

「あんた、大丈夫か?」

空中に、突如として黒髪の年が現れたのだ。

そのに輝くのは、Sランク冒険者のみがつけることを許される、白銀のギルド証(バッジ)。

「おまえは! ま、まさか新進気鋭のパーティ【黒の暴風】の! ユリウス!」

年ユリウスは、當然のように、バジリスクを素手でけ止めている。

「即死級の毒をけても、平然としてるなんて!」

「え、こんな毒ぜんぜんたいしたことないだろ?」

驚愕するマッケーヌを、ユリウスは脇に抱える。

しゅんっ……! と一瞬でユリウス達は消えると、遠く離れた場所へ移していた。

「今のは転移魔法!? いにしえに失われた魔法の一つじゃないか!」

「え、こんなの一般教養だろ? なぁみんな?」

そこには、4人のたちがいた。

「おお! 【黒の暴風】だ!」

「ダンジョンを短期間で100個クリアっていう、あの勇者パーティ!」

倒れ伏す冒険者達が、黒の暴風のメンバー達に、明るい表を向ける。

「ガイアスよ、なんでパーティ名が黒の暴風なんだ?」

「そりゃ兄さんがいるパーティだからね」

うんうん、と仲間達がうなずいている。

「まあいいや。指示をくれよリーダー?」

ガイアスが狀況を把握し、即座に指示を出す。

「ミカエル、エリーゼはケガ人の治療。ボクとサクラはこの人達を街まで運ぶ。兄さんは……あいつをさっさと倒して」

ガイアスの指示に、ユリウスがうなずく。

「さ、さっさと倒すって……おい無茶を言うな! やめておけ!」

マッケーヌはユリウスの肩を摑む。

「Sランク冒険者達が20組で數日かかっても無傷な相手だぞ!? おまえ一人で何ができるっていうんだよ! 勝てるわけがない! 逃げるぞ!」

「負け犬の遠吠えです? みっともないです」

「何を……って、えええええ!? ぜ、全員治ってるだとぉおおおお!?」

小柄な年、そしてエルフのによる治癒魔法は、毒で負傷した冒険者達を、ものの一瞬で治療していた。

「う、ける……毒で溶けた右腕が戻ってる!」

「潰れた目が元通りになった! また目が見えるようになったよぉ!」

歓聲を上げる一方で、ガイアスは的確に指示をする。

「総員、彼の使い魔の背中に乗って!」

「なんだこのデカい化けは!」

「こんな強そうな使い魔はじめてみたぞ!」

黒髪の使い魔に、他の冒険者達がぞろぞろと乗る。

「兄さん、ボクらはこれで街に戻るから。後はよろしくね」

「おうよ。ちゃっちゃと終わらせてすぐに帰るからさ。そんな心配そうな顔すんなって」

ユリウスは笑うと、ガイアスのほっぺをむにむにとつねる。

「いつもに気を遣ってくれてありがとな。してるぜ?」

「ば、ばかっ。もう、変なこと言うなよ……あほぉ……」

「むー、がいあすデレデレです。むかつくです」

ミカエルとエリーゼは、ガイアスの転移魔法で、一瞬で消えた。

「転移魔法を、こいつも使うだと!? どうなってやがるんだ!?」

「え、いちおうパーティメンバー全員使えるけど?」

「は、は、はったりだ! そんな規格外のパーティ、聞いたことないぞ!?」

「まあまあ。ほら、ちょっと下がってな。俺、あいつ倒してくるから」

そう言って、ユリウスは黒い魔剣を手に、ゆっくりと歩き出す。

まるで散歩に行くような気軽さで、猛毒を使う恐るべき大蛇のもとへ向かう。

「おいやめておけ! 死ぬぞ!」

「平気だって、大げさだなぁおまえ」

マッケーヌの忠告を聞かず、ユリウスは巨大蛇のもとへやってくる。

そこで気づいた。

「震えてる……九頭バジリスクが、怯えてるだと!?」

そう、先ほどからこの大蛇は、一歩もその場からけないでいた。

こちらの出方をうかがっているのかと思ったが、違う。

目の前の、黒髪の年を、恐れているのだ。

現に彼が近づくたびに、悲鳴を上げて、を震わせている。

「なんだ……いったい、なんだというのだ……?」

「無益な殺生はしない主義だが、ま、ケガ人を出してる以上、放置はできんな」

「しゃ、シャオォオオオオオオオオ!」

9つの頭が、いっせいに、ユリウスに襲いかかる。

「逃げろ! その毒牙も即死の溶解毒が含まれてるんだぞぉおおおおおおお!」

パリィイイイイイイイイイン!

ユリウスが振るった黒い魔剣は、バジリスクの頭を弾き返した。

それだけではない。

恐るべきパワーを持って、バジリスク達は大空へと舞う。

そのまま落ちてくることはなかった。

遙か彼方へと飛んでいき、やがて戻ることはなかったのである。

「あれ? そんなに強く攻撃反(パリィ)してなかったんだけど……弱い個だったのかな?」

あまりにも、あっさりと敵を倒した。

その規格外の強さに、マッケーヌが呆然とした表を向ける。

「なんだ……おまえは、いや、おまえたちは……いったい?」

「え、普通の學生冒険者だけど?」

「あにうえー!」

6枚の翼を生やした年が、頭上で手を振る。

ばさり! と翼を広げると、る粒子が降り注ぐ。

それはバジリスクとの戦闘によって、傷付いた大地を瞬時に元通りにした。

「お掃除したです! ほめてほめてっ」

「おう、偉い偉い」

よしよし、とユリウスが天使の頭をなでる。

まるで子供扱いだ。

「て、天使を従える……だと? そんなおまえ……普通なわけ、ないだろぉおおおおおお!」

かくして、未曾有の危機を、勇者パーティたちがあっさり解決したのだった。

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