《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》90.ラファエル、復讐しようとして天界半壊

転生勇者ユリウスにより、ラファエルが倒された、その日の夜。

大天使ラファエルは、天界にいた。

なにもない白い空間にて、ひざまずき、自分の主たる【神】に報告をする。

「パパ。蘇生させてもらってすぐにで悪いんだけど、【終末の神笛】の使用を許可してよ」

それは、天界が保有する、強力な神のひとつだ。

天使が吹くことで発する。

その効果は全人類に、強制的に命を奪う。

世界から人間を一掃する、とてつもなく危険なものだ。

――許可セヌ。

に、主からの命令が下る。

「どうして駄目なのさ! あの大悪魔ユリウスを殺すには、全人類を必ず死に至らしめるこれしかないんだ!」

――不要ナ人間マデモ死ヌ。我ノ本意ニ有ラズ。

「人間なんてこの際まとめて掃除しちゃうおうよ! また作ればいいんだし、簡単だろ!?」

――不許可。立チ去ルガヨイ。

ラファエルは、主の元を追い出される。

ギリ……と歯噛みする。

「くそ! パパの分からずやめ! きっとあの悪魔にびびってやがるんだ! 下等生ごときに、神が何怯えてるんだよぼけが!」

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天界の廊下を歩き、やってきたのは、寶殿だ。

「ラファエル様、いかがいたしましたか?」

見張りの天使が、問うて來る。

「終末の神笛を取りに來た。どきなよ」

「神による許可が無い以上、通すことはできません」

「うるさいよ。【死ね】」

言霊が発し、見張りがその場に崩れ落ちる。

「下級の天使ごときが、ぼくに逆らうからこうなるんだ。ふんっ!」

殿のなかにる。

數々の神が、額縁に飾ってある。

神剣、神盾など、神の力が宿る、神々しいをした武がずらりと並んでいた。

目當ての神は、寶殿の最奧にあった。

神の形をした像。

その1つに、黃金の笛が握られている。

「これが【終末の神笛】。これを吹けば……いくらあのユリウスが強かろうと無意味! なにせ、全人類を滅ぼす笛なのだから!」

狂喜の表で、ラファエルはんだ、そのときだ。

「何をしているのです、ラファエル!」

6枚の翼を生やした、の天使が、寶殿にやってきたのだ。

長くしい髪に、誰もが見とれるほどの貌をそなえた天使。

「【ガヴリール】……ぼくに何の用?」

「その笛をどうするつもりなのです!? まさか使うつもりではありませんね!」

「うるさいなぁガヴリールのがみがみババア。【すっこんでろよ】」

その瞬間、ガヴリールは背後に吹っ飛ばされる。

壁に激突し、ずるりと倒れる。

「だ、駄目です……それを使っては」

「いいじゃん別に。人間なんて何回でも作り直せばいいだし」

「そうじゃない……あなたは、わかっていない。お父様が、その笛を使わない、本當の理由を」

「本當の理由? なにそれ?」

「……あなたは、若い天使だから知らないのです。彼の、勇者ユージーンの、恐ろしさを」

「はぁ? なに言ってるの。ガヴリール。勇者がなんだっていうんだよ。人間である以上、この笛の効果は絶対。やつを死に至らしめることが100パーセントできるんだぜ?」

「それは、傲慢ですよラファエル。あなたはわかっていない。この世の理に収まらない、本の、化けがいることを。あなただって一度負けて思い知らされたでしょう?」

「う、うるさい! ぼくは負けてない! 天使が、人間ごときに、負けるわけにはいかないんだ!」

終末の笛を、ラファエルはくわえる。

「ばいばい、人間(うじむし)ども! 恨むならぼくにさからったユリウスを恨むんだね!」

思い切り、息を吹き込む。

その瞬間、この星をしい笛の音が通り抜ける。

ともすれば鳥のさえずりに聞こえるそれは、しかし死をいざなう死神の旋律。

ラファエルは笛から口を離す。

殿にあった、遠くをみわたせる、鏡の神を手に取る。

「ふふ! はーっはっは! 素晴らしい威力! これぞ神の力だぁ!」

「ああ……そんな……なんてことを……」

鏡に映っているのは、地面に倒れ伏す、人類の姿だ。

地上に存在する人間はすべて、終末の笛の効果により、全滅した。

「勝った! ぼくはユリウスに勝ったんだ! 思い知ったかぁ!」

そのときだった。

「なにをだよ?」

「な!? ゆ、ユリウスぅううううううう!?」

殿に、転生勇者ユリウスが、突如として現れたのだ。

「そんな馬鹿なぁああああああああ! 全人類を滅ぼしたんだぞぉおおおおおおお!?」

「……愚かですね、ラファエル。かの勇者神を、人類に分類するなど」

ユリウスは冷たい表で、腰を抜かすラファエルを見下ろす。

「忠告したよな。狙うなら俺だけにしろって。無関係なひとたちを、巻き込むなって」

「は、はん! お、おまえの言うことなど誰が聞くもんか! それに、ねえ今どんな気持ち? 守るべき人たちを皆殺しにされて?」

「最低の気分だよ」

すっ、とユリウスが手をばす。

魔法陣が展開する。

「ぼ、ぼくを怒らせるのがいけないんだぞ! そのせいで滅んだんだ!」

「なにが?」

「だから人類が……って、なにぃいいいいい!? い、生き返ってるだとぉおおおお!?」

鏡には、さっきまで倒れ伏す全人類がうつっていた。

しかし今、地上の生命は、全員が生き返っている。

「死者蘇生の魔法!? そんな! こんな大量の命を、生き返らせるだなんて!?」

「2000年前は、この星まるごと破壊する敵がごまんといた。勇者(おれ)はそのたび星と生命の全てを治していた」

ユリウスは極大の治癒魔法陣を閉まい、無機質な表のままいう。

「人類すべてを殺した程度で、調子に乗るな、三下(てんし)風が」

その瞬間、ラファエルは失した。

理解したのだ。

「あ……ああ……ば、化けだ……正真正銘の、規格外の、化けなんだ……」

彼我の実力差が、天地、否、銀河のかなたほど離れているということを。

今更理解したところで、もう遅い。

「さて……と。言ったな。二度はないと」

ユリウスの髪が、黒から金髪に変わる。

それは霊裝と呼ばれる技だ。

人ので、神となる最高峰の戦闘技

「おまえらを、皆殺しにすると」

「う、うわぁああああああ!」

ラファエルは立ち上がり、めちゃくちゃなフォームで、毆りかかろうとする。

ユリウスはその手にの剣を、聖剣を出現させる。

神々しいが刃に集い、巨大なの剣へと変わる。

振り上げた聖剣を、ユリウスは一回転させた。

ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアン!

高エネルギーのの斬撃は、周囲に拡散する。

それは寶殿にあった神をすべて破壊した。

さらに、寶殿は倒壊。

破壊のはさらに広がり、天界中の建すべてを消し飛ばす。

天界を支える白雲はすべて消え去り、天使や神は足場を失う。

「は……はひ……はひぃ……」

あまねくを破壊しつくしたというのに、しかし、天使ラファエルは生きていた。

それだけではない、天使も、神すらも、誰も死んでいなかったのだ。

空中に浮かぶ天使たちは、呆然と、聖剣を持つユリウスを見上げる。

「これでわかったか? 俺はいつでもお前らを皆殺しにできる」

全員を殺すことは容易いと、あえて誰も殺さないことで、ユリウスは自分の言葉が本當であると証明したのだ。

「俺を殺そうとするなら好きにしろ。いつでも相手してやる」

ただし……とユリウスが続ける。

「人々の平和をおびやかすやつらには、誰であろうと、俺は容赦しないからな」

ごく靜かに、彼は言った。

だがその言葉は、天界に、地上に住まう神々すべてに、行き渡る。

ラファエルは、再起不能になるほどの、強烈な恐怖を魂に刻み込まれた。

彼だけでない。

天使、神々、そのすべて。

程度は異なるが、ユリウスという、人類最強の存在(きょうい)を、はっきりと認識した。

「ユリウス=フォン=カーライル……絶対的な強者よ。さすが……人ので、神になった存在は、格が違います。ああ、なんと素晴らしい……」

ガヴリールだけは熱っぽくそうつぶやく。

「要件はそれだけだ。そんじゃな」

彼は転移の魔法を発させると、何事もなかったかのように消える。

天界のあった場所には、驚くほどの靜けさだけが殘った。

あたかも、黒い暴風が、通り過ぎたように。

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