《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》95.勇者、剣神と手合わせする

弟に新しい剣を作った。

翌朝。

俺たちの屋敷、その庭にて。

弟と彼の剣、無雙剣【セイバー】が相対していた。

「じゃ、1本勝負。模擬戦な」

金髪の年ガイアスが、2本の木刀を構える。

一方で、執事服の青年セイバーは、木刀を1本持っている。

「勝ったらボクに従えよ、セイバー」

「良いでしょう。ただし、あなたが私に本當に勝てたらの話ですが」

ガイアスは無雙剣から認められていない。

この模擬戦で勝って、主人としての証明をしようとしているのだ。

「生まれたばっかりの剣にボクが負けるものか。ボクはこの數ヶ月、兄さんに手ほどきをけてるんだから」

ガイアスは鬼神化を発する。

弟のから、莫大な量の魔力と闘気が吹き荒れる。

一方でセイバーは、重心を低くして構える。

「居合いの構えか」

「ご存じでしたか。さすがは我が創造主」

セイバーは居合いのポーズを取ったまま、微だにしない。

「くっ! なんだこの……プレッシャーは!」

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ガイアスはぶわっ、と大量の汗をかく。

はぁ、はぁ、と荒い呼吸を繰り返す。

「わかる……間合いにれば……殺される……!」

「ほぅ。そのくらいを見抜ける目は持っているのですね。評価をやや上方に修正してあげましょう」

涼しい顔で、セイバーが言う。

一方でガイアスは、その場からけないでいた。

こうとしないセイバー。

けないガイアス。

彼らの実力差が、如実に出ている。

「……くそっ! せやぁ!」

ガイアスは覚悟を決め、彼の間合いにる。

その瞬間。

ピシッ……!

ガイアスの全に、切り傷が刻まれる。

傷は淺い。

だが無數に皮だけを切られている。

「これが真剣勝負でしたら、あなたは9999回死んでいましたね」

「ハァッ……! はぁ……! はぁ……! はぁ……!」

ガイアスはその場に膝をつく。

どの傷も致命傷ではない。

手加減されたのだ。

「まったく……見えなかった……ボクは……いったいなにをされたんだ……?」

倒れ伏すガイアスに、俺は近づく。

治癒魔法を施して、皮の傷を治す。

「セイバーの居合抜きをけたんだ。ただ剎那の間に9999回、斬られてた」

「さすがは我が創造主。あの攻撃を見切るとは。恐るべき視力でございます」

弟は呆然と、セイバーを見上げる。

「それに引き換え、ただの一振りも目で捕らえられないとは。偉大なるユリウス様の弟とは思えないほどの弱さです」

「くそっ! チクショウ!」

悔しそうに、ガイアスが歯がみする。

「今すぐカーライルの名字を捨てた方が賢明です。あなたの弱さはユリウス様の評判まで落としかねません」

「セイバー。言い過ぎだ」

「申し訳ございません」

俺はガイアスの頭を、ぽんっ、となでる。

「泣くな」

「……泣いてない」

ぐいっ、とガイアスが目元を拭う。

燃えるような闘志を、瞳に宿らせていた。

「ほぅ。【無限居合い】を見て、剣の道を斷念しないのですね」

「もちろんだ。ボクの目標は、おまえ程度で終わらない」

ガイアスが俺を真っ直ぐにみて言う。

「ボクが目指すのは遙かなる高み。兄さんに並び立つ剣士に……ボクはなるんだ!」

自分の足で立って、木刀をセイバーに向ける。

「この程度じゃくじけない!」

「……なるほど。澄んだ瞳をしている」

セイバーは微笑をたたえる。

「良いでしょう。明日から特別に稽古をつけてあげます」

「偉そうにしやがって。まあ、つけさせてやるよ」

「人間風が。偉大なる創造主に名と神格をもらった私に対してなんたる態度。明日からは徹底的に調教してあげましょう」

「ほざけ、武が」

弟がセイバーと楽しく會話している。

「うんうん、仲良きことはよいことだ」

「「仲良くない!」」

それはさておき。

「我が創造主。お願い申し上げたいことがあります」

セイバーが俺の前に跪いて言う。

「おう。なんだ?」

「ぜひ、一度手合わせ願えませんでしょうか?」

どうやら俺とも戦いたいらしいな。

「私も武蕓家の端くれ。強者と手を合わせてみたいのです」

「いいぜ? やろうか」

今度は、セイバーは俺と手合わせすることになった。

「それじゃ……1本勝負。はじめ!」

ガイアスの號令で、勝負がはじまる。

彼はまた、居合いの構えを取る。

研ぎ澄まされた、良い闘気(オーラ)だ。

「よーし、いくぞ」

俺は木刀を手に、普通に彼に近づく。

「すごい……あのプレッシャーの中、平然と相手に近づいているなんて……」

普通に歩いて間合いを詰める。

セイバーの程にる。

彼の神速の居合いが放たれる。

剎那の間に、9999度の斬撃。

俺は剣の腹で、それをすべてけ流した。

1秒にも満たない間のやりとり。

俺の周囲には、地面に無數の切り傷ができている。

「お見事でございます、創造主よ。我が剣をいとも容易くかわしてみせるとは」

「そりゃどうも。というか、これで終わりか? そんなわけないだろ?」

ニッ……! とセイバーが笑う。

額から膨大な汗をかいて、を震わせていた。

「ああ……! これぞ私がもとめていたもの! 絶対的強者との手合わせ……心が震えます!」

「よーし、來い。気が済むまで付き合ってやるよ」

その瞬間、セイバーが消える。

「セイバーも兄さんも消えた!?」

ガキンッ!

ががががっ!

キンキンっ!

がきぃいいいいんん!

ががっ! がきがきっ!

キンキンキンキンキン!

「見えない……! 兄さんもセイバーも、早すぎて目で追えないよ! 何が起きているんだよっ!」

「イヤァアアアアアアアア!」

セイバーが空中で、全全霊を込めた、居合いを放つ。

それは空間を斷裂するほどの、強烈な一撃だ。

「ほいっと」

俺はセイバーの剣を、攻撃反(パリィ)。

パリィイイイイイイイイイン!

「ぐっ……!」

セイバーは背後に吹っ飛ぶ。

「やったか!?」

「まだ……まだぁ!」

彼は頭が下に向いているという、非常に不安定な勢を取りながら、再度居合いを放つ。

斬撃は剎那の早さで飛翔し、俺の首を斬ろうとする。

大地をバターのように切り裂く一撃。

俺は彼と全く同じ勢で、全く同じ居合いを放つ。

ズバンッ……!

セイバーの斬撃を飲み込み、彼の右腕を吹き飛ばす。

それどころかぼんやりと浮かんでいた月を両斷した。

空中で勢を崩し、セイバーが墜落してくる。

俺は彼の真下に移し、け止める。

「ナイスファイト」

「手合わせ……謝いたします……」

地面に下ろして、治癒魔法で腕を元通りにする。

服いたしました。次元の違う強さに、私はに打ち震えております。やはり、我が主はあなたがふさわしい……」

うっとりとした表で、セイバーがつぶやく。

「私はあなたの従者となりとうございます」

「駄目だ。おまえは弟の相棒になるんだ」

「しかし今の彼では力不足です」

「ああ、今はな」

戦いが終わった後も、ガイアスは何かを考え込んでいる。

ぶつぶつ……と何かをつぶやきながら、木刀を振るっている。

「ユリウス様は、あのものに期待なされているのですね」

「おまえはあんま期待してないっぽいな」

「恐れながら。彼は所詮私に遠く及びません」

「さて、どうだろうな。なぁ、弟よ。【できる】か?」

こくり、とガイアスがうなずく。

「セイバー。見てやってくれ。あいつの強さを」

「……?」

ガイアスはその場で、腰を下ろす。

居合いの構えを取る。

「ふぅー……。せやぁあああ!」

剎那の間に、ガイアスが9999回の居合いを放つ。

そのうちの一撃が、離れた場所にいる、セイバーの頬を斬った。

「…………」

セイバーは、驚愕の表を浮かべる。

「信じられない……一度見ただけで、わが居合いを完全にマスターするなんて……」

「これでしは期待してくれるか?」

実に、楽しそうな笑顔を浮かべる。

「ええ。これは……本當に調教のしがいのある相手(おもちゃ)を得ました。ユリウス様には謝いたします」

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