《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》96.勇者、友達と宿題をする

無雙剣セイバーが、弟に修行を付けることになった。

1週間後。

8月も下旬に差し掛かったころ。

「ユリウスはん、來たでぇ」

俺の屋敷に、エリーゼとサクラがやってきた。

「わーい! えりちゃん、あそぼーですー!」

義弟ミカエルが、エリーゼに抱きつく。

「あとでねミカちゃん。わたしたち今日、宿題しにきたの」

「しゅくだい? なんですそれ?」

「夏休みの宿題や。學園から出されたやろ?」

手提げバッグには、教科書や計算ドリルがぎっしりとっている。

「ぼくこれ學校に全部置いてきたです」

「あかんやん! 取ってこないと」

「あ、じゃあわたしちょっと転移(テレポート)して取って來るよ!」

「ぼくもいくー! えりちゃんとー!」

エリーゼは義弟と手をつないで、転移魔法で消えた。

「うーん……なぁユリウスはん。確か転移って、めちゃめちゃ高度な魔法やなかったっけ?」

「え、そんなことないだろ。ガイアスもエリーゼもみんな使えるし」

「う、うーん……そう、やな。うん、これが普通やね」

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そのときだった。

「おや、わが創造主。お客様ですか?」

執事服を著た紫髪の男子、セイバーが、俺に近づいてきた。

「おうよ。友達のサクラ」

「初めましてお嬢様。私はセイバーと申します。以後、お見知りおきを」

にこやかに笑いながら、セイバーが腰を折る。

「なんやユリウスはん、また新しい男ハーレムに加えたん? あんたも好きやねー」

「え、何の話?」

くすくす、とサクラが上品に笑う。

「で、ガイアスはなんで気絶しとるん?」

地面にガイアスが汗びっしょりで倒れている。

その足を、セイバーがぞんざいに持っていた。

「夜通しでし激しくしたら、へばってしまいまして」

「おいおいやばいやん。ユリウスはん、あんたの弟もどっちもいけるん? 斷兄弟やん」

「え、夜を通して、ぶっ続けに修行することくらい、普通だろ」

「あ、そういうことなん。もー、誤解させんといてよ。気ぃ遣うところやったやーん」

何の気を使うんだろう?

ややあって。

同好會メンバーは、俺の部屋に集まって、宿題をしていた。

「この部屋とっても涼しくて、過ごしやすいね!」

エリーゼが快適そうに目を細めて言う。

今は8月。

外はうだるような暑さだ。

しかし部屋のなかはひんやりしている。

「氷の魔法でも使っとるん?」

「え、部屋のなかだけ季節を冬にしてるだけだぞ?」

「あ、そっか。結界と時空間魔法を応用してるんだね! すごい!」

「なるほどなぁ、魔力を結界で巡回させることで、ない魔力でこないことできるわけか。さすがユリウスはんやなぁ」

おおー、と子チームが心したようにうなずく。

「えりちゃんたち、あにうえ化してるです?」

涼しい室で、俺たちは宿題をサクサクと勧める。

「このクッキーおいしいね!」

エリーゼが間食のクッキーを、ぱくぱくと食べる。

「ユリウスはんお菓子まで作れるんやなぁ。ほんま完璧超人やで。すごいわぁ」

その後も俺たちは作業を進める。

サラサラ。

かりかり。

カリカリカリ。

「え? あ、あれ……?」

「どないしたん、エリーゼ?」

顔で、エリーゼが言う。

「宿題……もう終わっちゃった」

「おー! 早いです! 一緒にあそぼーです!」

俺の膝の上で漫畫を読んでいたミカエルが、エリーゼに飛びつく。

「で、でもおかしいよ? 宿題わたし全く手つかずだったのに」

「うちもや……あない山積みになってた問題集、もう終わったわ。どないなってるん?」

小首をかしげるふたり。

「ユリウスはん、また何かしたん?」

「おう。集中力の上がるクッキーを作ってみたんだ」

間食に食べていたクッキーのことだ。

「だからいつもより集中して作業出來たんだ。すごい……」

「どうやってつくったん?」

「薬草や漢方などを元に、錬金を応用して作った」

「れ、錬金!?」

くわっ、とサクラが目を見張る。

「はるか昔に失われたのひとつやん!」

「やっぱりユリウス君はすごいね!」

賢者エリーは魔法だけでなく錬金もおさめていたのだ。

俺もまた使えるわけである。

「あない山積みの宿題、もーおわってもーた。1時間も経ってないとちゃう?」

「これで遊べるです! なにして遊ぶです? ぼくはサバイバルバトルがいいです!」

ニコニコしながら義弟が言う。

「あ、でもまだ自由研究が殘ってるね」

「じゆーけんきゅー? なんですそれ?」

「工作したり、何かについて調べたりして、それらをまとめてレポートを提出するんや」

2000年後はそんなこともさせるのか。

的にどんなことするです?」

「べたなのはお花の観察日記とか、蟲取りして図鑑作ったりかな」

「けどどれも結構手間暇かかるんやわ。どないしようかなぁ」

うーん、とエリーゼたちが首をかしげる。

「あ、じゃあ錬金についてレポート書くのはどうだ?」

「「え、えええええええええ!?」」

ややあって。

ガイアスが俺たちの部屋にってきた。

弟は訓練のあと、自分の部屋で仮眠をとっていたのである。

「兄さん、みんな來てるの?」

「おう。おはようさん」

「「おじゃましてまーす!」」

ガイアスは俺たちの元へやって來る。

「なにしてたの?」

「宿題や。あんたもやるか?」

「ボクは夏休み序盤で全部終わらしたよ」

「ほーん、やるやん」

「どうも。で、何の宿題?」

「自由研究だよ、ガイアス君」

弟はテーブルの上に乗っているものを見て、ピシ……! と固まる。

「じ、自由研究って……みんな、何の研究してたの? なんか、金塊あるんだけど……?」

聲を震わせながら、ガイアスが指さす。

大量の金の塊が載っている。

「え、錬金だけど?」

「錬金!? ロストテクノロジーじゃないか!?」

「ユリウスはんに教わって金作れるようになったんよ」

「金の錬!?」

「あとね、賢者の石、ってやつも作れるようになったんだ!」

「賢者の石!?」

「がいあす何に驚いてるです?」

「全部にだよ!!!!!!!!」

弟が怒りながら、俺たちに言う。

「いったいどこの世界に、金と賢者の石の作り方をレポート提出するやつがいるんだよ!?」

「「「え、ここにいるけど?」」」

「みんなが化け(にいさん)化してるーーーー!?」

「がいあす、おまえがいうなです。バケモノ筆頭です?」

そんなふうに、同好會メンバーたちと楽しく宿題をしたのだった。

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