《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》100.勇者、弟とともに神々と戦う
俺が神々の封印を破ってから、數分後。
天界にて。
俺たちは霊裝をまとって、神々と相対していた。
ガイアスの霊裝は、まだ不完全だ。
左右の腕に、赤と蒼の手甲がはめられている。
服や髪はそのままだ。
完全に霊裝をまとえば、神格化にともなって外見と服裝も変化する。
「早く兄さんみたいに、ちゃんとした霊裝を手にれたいよ」
「大丈夫だ、すぐできるようになるよ。俺が保証する」
「兄さんに言われると、すっごく安心するよ。……さて、と」
俺たちが見上げる先には、無數の神々。
彼ら全員が、俺たち兄弟の命を狙っている。
「敵が多いね」
「怖いか?」
「まさか。兄さんが居れば何も怖くない」
俺は弟の頭をくしゃっ、となでる。
「とっとと終わらせようぜ。こんなくだらないことに、俺たちの夏休みを邪魔されたくないし」
『ほざけ! 人間風がぁああああああ!』
神の1人が、手を上げる。
頭上から、無數の流星が降り注ぐ。
ガイアスは氷の剣を振る。
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「せやぁああああああ!」
莫大な冷気が、空中に散布される。
流星すらも凍り付かせた。
「兄さん!」
「おうよ!」
ガイアスが氷で足場を作る。
それを駆け上がって、俺はの剣を振るう。
ズバンッ……!
『そんなバカな!? 神気を帯びてもはや目では捉えられないほどのスピードの流星を、消し飛ばしただと!?』
「よそ見はだよ!」
ガイアスが炎剣を激しく燃やしながら、流星を使った神の腹部を切る。
『ふんっ! こんな炎なんて効かぬ……ぐわぁああああああ!』
『愚かなり。我が主の作り出した炎は神すらも焼くのです。侮りましたね』
『ぐ、ぞぉおおお! みなで取り囲んでころせぇええええええええ!』
神々はそれぞれの権能を用いて、俺たちに攻撃してくる。
凄まじい重力の球。
小型の太。
萬の雷。
「弟よ、呼吸を合わせるんだ」
「合技だね、兄さん!」
ガイアスが氷の剣を、俺はの剣を、地面に突き刺す。
地面から四方に、氷の障壁が即座に出現。
氷壁のなかから、俺の作った聖なるが放出される。
は神々の攻撃を破壊。
その余波をガイアスの氷が防ぐ。
『なんと強固なる防壁なのだ!? 神の攻撃を防ぐだと……あってはならぬ! ならんのだぁあああああああ!』
「バカな人たちだね」
ガイアスが地を使って、神の背後を取る。
「君らを見てるとイラつくよ。自分の弱さをけれられず、子供のように駄々をこねる。……かつてのボクを見ているようでさ」
ガイアスが雙剣を振るった。
あまりに早い斬撃に、神が対処できなかった。
『ただの人間……ごときに……神が……まける……など……』
「ボクはただの人間じゃない。勇者(にいさん)の、弟だ」
神の1人を、ガイアスが撃破する。
「よくやった、弟よ!」
俺はそのあいだ、周囲を駆け抜けながら、の剣を振るう。
超高速で走り抜け、剣を振り下ろす。
『あ、悪魔だぁ! 黒い悪魔だぁああああああああ!』
『ひぎぃいい! ひぃいいいいいい!』
神々が悲鳴を上げるが、俺は剣を振るう手を休めない。
俺は漆黒の暴風となりて、神々を屠りまくった。
「ふぅ……」
「兄さん……やっぱすごいや。ボクは……ひとり倒すので一杯なのに……」
弟の隣に著地する。
ガイアスは心したようにつぶやく。
「いやいや、ガイアス。おまえこそすごいぞ。數ヶ月で神殺しを達した人間なんて」
「そんなひといないの?」
「いや、俺が1ヶ月でやったから、二人目だな」
「ああそんなことだろうと思ってたよチクショウ」
ぽんぽん、と俺はガイアスの頭をなでる。
不機嫌そうだった弟が笑う。
『よくも……同胞たちを殺したな!』
神の一柱が、俺たちに怒りの矛先を向けてくる。
『神を気まぐれに殺してなんとも思わぬのか!? この神殺しどもめ!』
「え、先に攻撃してきたのあんたらだろ?」
「自分たちのことは棚に上げて、ボクらだけ非難するなんて。神の癖にやってること人間のくず以下だよ」
ガイアスの言葉に、神が顔を真っ赤にする。
『調子に乗るなよ被造どもがぁああ!』
神が手を上げて、ガイアスめがけて天の矛を放つ。
天使の使うそれとは、比べものにならない一撃。
俺がかばおうとすると、ガイアスが自分から前に出る。
「任せて」
「おう」
ガイアスは雙剣をクロスさせて、思い切り切り下ろす。
ズバァアアアンッ!
強力な天の矛を、ガイアスは真正面から打ち破って見せた。
今のガイアスは、小細工抜きで、神と渡り合えるだけの力をつけている……ということだ。
『天の矛を、勇者なりたての小僧が切り伏せただと!? なんだこいつは!? 化けなのか!?』
「違うよ……ただの、化け(にいさん)の弟だ」
天の矛を防ぎきったガイアス。
だが今ので、力を使い切ったらしい。
霊裝が解け、弟はその場にしゃがみ込む。
「よくやった」
「ありがとう……ぐっ! ぐあぁああああああああああ!」
突如として、ガイアスが苦しみだした。
俺は見えていた。
神の一柱が、ガイアスに憑依する姿を。
「く……くくく……どうだユリウス? 最の弟を、果たして切れるかな?」
「神が乗っ取りやがったか」
無雙剣を手に、ガイアスが俺に襲いかかってくる。
「そらそらそら!」
キンキンキンキンキン!
だが弟の攻撃を、俺は聖剣ですべて捌ききる。
「くっ……! 當たらぬ! なぜだ!?」
「そりゃ鍛錬がたりないからだ。弟が強かったのは、あいつがたゆまぬ剣の修練を積んだからだ」
俺は間合いにはいって、ガイアスの無雙剣を弾き飛ばす。
「俺の弟を、なめんじゃねえ」
聖剣を振り上げて、俺はガイアスめがけて切り下ろす。
弟に憑依した神だけを、斬って見せた。
がくん……と弟がその場に崩れる。
俺は肩を貸して、立ち上がらせた。
「すまん、怖かったな」
「まさかでしょ。兄さんに限って、ボクを傷つけるわけないって信じてたしね」
ガイアスは自分の力で立ち上がる。
「さて……と。おい、おまえら」
俺はすぅ……と宙に飛び上がる。
「おまえら……前に言ったよな。狙うなら俺だけにしろって」
右手を前に出す。
すると凄まじいの柱が、俺の目の前に出現。
それは凝していき、黃金の剣へと変貌した。
『や、やめろぉお! きさま我らをなんだと心得る!?』
『神だぞ!? お前らを作った創造主に楯突くつもりかぁ!?』
俺は黃金の剣を手に、構えを取る。
「おまえらが誰かなんて知らん。創造主? いいや違う。おまえらは敵だ」
キィイイイイイイイイイイイン……!
構えた黃金の剣から、強烈なエネルギーがれ出る。
「霊よ、悪鬼滅殺の刃となりて、祓(はら)い給(たま)え、清め給(たま)え」
『ひぃいいいいいい! に、逃げろぉおおおおおおおお!』
神々がいっせいに散っていく。
だが関係ない。
この攻撃範囲は、が屆く範囲全部。
すなわち、この星全だ。
「【神滅天剣】!」
俺の振るった一撃は、黃金の波となり周囲に伝播する。
そのは破壊と再生を司る。
莫大なエネルギーの刃は、俺の敵をすべて焼き殺す。
それ以外のものはいっさい傷つけることのない、最強の慈の刃。
永遠とも思える、まばゆいは……しかし突如として消える。
あとには、何も殘らなかった。
あの場にいた、俺に敵対する気だった神は、消し飛んだ。
「いつもながら……凄まじい技だね、それ」
腰を抜かしている弟が、苦笑しながら言う。
俺は弟の手を引いて立ち上がらせた。
「神は全滅したの?」
「いや、あそこにいたクソくだらない會議に參加してた、敵対神だけだな。全員じゃない」
「それでも、オーバーキルじゃない?」
「これくらいして當然だ。なんせ俺の大事な弟のを乗っ取りやがったんだからな」
「まったく……兄さんのブラコンにも困ったものだよ」
弟は俺に笑いかける。
「お疲れ、兄さん」
「おう、おまえもな、弟よ」
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