《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》112.勇者、張する弟をはげます

翌日、10月1日。

今日から対校戦が行われる。

場所は【帝國闘技場】という、帝都一大きな闘技場だ。

開會式は正午からだというのに、朝からかなりの観客が集まっている。

俺たち王立のメンバーは、控え室にいた。

「あにうえー、まだー?」

ソファに寢そべりながら、ミカエルが尋ねてくる。

俺の膝に顎を乗せて、足をパタパタとさせていた。

「もうちょっとだから待ってな」

「早くバトルしたいですー!」

「初日は開會式とエキシビションだけらしいから、バトルは明日以降だな」

「えきしびしょん? なんですそれ食べれるです?」

正面に座るエリーゼが説明する。

「本番前の、勝敗にカウントされない試合のことだよ。お試し試合みたいなもの」

「へー、そんなことしてなにになるです?」

「まぁ試合盛り上げるためのイベントやな。こいつらやるやん、明日から楽しみや! みたいな。ま、前座やな」

俺たちは和やかに會話している。

一方で、ガイアスは立ち上がって、そわそわとしている。

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「負けてもいーならあんま頑張らなくて良いです?」

「そうでもない。エキシビジョンは他のチームにプレッシャーをかける意味合いもあるからな。重要だ」

ガイアスは部屋の周りを歩き回っている。

「がいあす、なにしてるです? トイレ行きたいです?」

「……うるさい」

「あ、わかった張してるですね」

「……ち、違うよ。トイレだよ」

弟は部屋から出て行く。

「ミカ、どいてくれ。俺もちょっとトイレ」

「わかったです」

よいしょ、と立ち上がって、ミカエルはエリーゼの膝のうえに乗る。

「ミカたんあっさり退いたなぁー」

「ぼくは空気読める弟です。あにうえとがいあすの月を邪魔はしないです」

「ミカちゃん偉いね!」

俺はミカエルの頭をなでて、仲間たちのもとを離れる。

弟の気配を辿って、俺は闘技場の外に出る。

闘技場の観客席へと、大勢の人が流れていく。

その人並みをくぐり抜けて、俺は一直線に弟の元へいく。

闘技場は大きなスポーツ公園の中にあった。

ちょっとした森林浴のできる森があり、ガイアスはそこにいた。

「よっ」

「……當然のようにボクの気配を辿ってくるのやめてよ。兄さんはボクのストーカーなの?」

「まさか。おまえの兄貴だよ」

俺が弟に近づき、頭をなでる。

ガイアスは無言でされるがままになっている。

張してんだろ?」

「うん……」

ぽつりとつぶやくガイアスの表は、こわばっていた。

仲間達がパワーアップしたとは言え、相手は悪魔に転生者。

負けるかも知れない、という不安を拭いきれないのだろう。

「……ぼくらが負けたら、悪魔か転生者、どっちかに聖杯が取られちゃう」

ダンタリオンもカズマも悪いヤツらとは思えなかったが。

まあその背後にいるやつらが善人かはわからんからな。

「なんとしても勝たないと……勝たなきゃ、いけないんだ……」

気負うのは仕方ないとは言え、このままじゃいかんな。

「えい」

俺はガイアスの脇腹を、くすぐる。

「うひゃあっ!」

「おお、意外と可い聲だすなおまえ」

弟が俺から離れると、顔を真っ赤にして突きを放つ。

「いきなり変なことすんなよばかーーー!」

俺はその突きを正面からけ止める。

ズドォオオオオオオオオオオオオン!

その余波で、俺の後ろの森が吹っ飛び、更地になった。

創生魔法で森を戻す。

「良い突き放つようになったじゃねえか。さすが俺の弟だ。うんうん」

「もうっ! 兄さんのばかっ! びっくりしたじゃないか!」

「いやほら、和ませようと思って。そんな怒るなよ」

もうっ、とガイアスがそっぽ向く。

「弟よ、不安になる気持ちはわかる。けどな、もう勝負は始まってる。リーダーの不安は伝染する。人前で気持ちを表に出すのは良くない」

「……わかってるよ」

俺は弟を抱き寄せ、よしよしと頭をなでる。

「辛くなったらいつでも愚癡聞いてやるからさ。チームメイトの前では、どっしり構えてろよ」

「……うん。わかった」

俺が離れようとすると、ぐい、とくっついてきた。

「どうした?」

「……別に」

「そうかい。もっとかい。よしよし、甘えん坊だなおまえ」

わしゃわしゃ、と俺はガイアスをなでる。

「ねえ兄さん。昨日のことなんだけど……」

「おう、なんだ?」

「兄さんって……ヘンリエッタと結婚するの?」

「え。なにそれ? 初耳なんだが」

きょとん、とした顔をして、しかしガイアスは笑う。

「だよね! うんうん、兄さんはそうでなくっちゃね!」

俺から離れると、ガイアスは満面の笑みを浮かべる。

スキップしながら、俺から離れていく。

「ほら兄さん! なにやってるんだ早く行こうよ!」

「お、おう……」

ちょっとびっくりするくらい、弟が元気になりすぎてた。

「1人で悩んでたボクがバカみたいだった! そうだよね、この樸念仁が誰かと付き合うとかありえないよねー!」

スキップする弟とともに、俺は控え室に戻る。

「あ、がいあす帰ってきたです」

「ミカ、心配かけてごめん。もう大丈夫だから!」

チームメイトを見渡して、ガイアスが力強く言う。

「さすがユリウスはんや。弟の機嫌の取り方よーく知っとるで」

「よかったぁ……ガイアス君元気になって!」

じっ……とミカエルがガイアスを見上げる。

「なんだよ」

「ちゅーでもしたです?」

ガイアスは無言で、義弟にヘッドロックをかける。

「あにうえ! ずるい! ちゅーするなんて!」

「ばかっ! ち、違うよ!」

ひょいっ、とミカエルがガイアスから逃れると、俺の腰にしがみつく。

「がいあすばっかずるいです! ぼくも-!」

「せやなぁ、うちもちゅーしてほしーかなーって♡」

「わ、わたしもほしいかなって!」

ニコニコしながら、みんなが俺の元へ集まってくる。

「はいはいどいてどいて。そろそろ開會式だから」

「「「えー……」」」

不満そうに、仲間達がつぶやく。

「獨占です?」「ほんまめんどくさいカノジョやで」「誰がカノジョだ誰が!」

「ほらほら、みんな。ユニフォームに著替えなって」

「「「はーい!」」」

學生服とはまた異なる趣の、白いユニフォームをにつける。

制服と違ってに富む素材になっている。

「兄さんの作ってくれた運著、とってもきやすいよ」

「ほんま服まで作れるとか、萬能すぎて怖いわぁ」

「あにうえはなんでもできてすごいですー!」

俺たちはそろいのユニフォームをにつけて、部屋を出る。

ちょうど、他のチーム達も場するところだった。

「やぁガイアス君! 正々堂々と闘おう!」

カズマが白い歯を見せていう。

「うん、よろしくね」

「腐腐腐……試合前に……良き絡み……見せて……いただきました……♡」

ダンタリオンがをくねらせる。

「おまえまたのぞいてたのかよ!」

最後に銀髪の青年が言う。

「や、やぁ君たちぃ。逃げずによ、よく來たじゃないか!」

「う、うん……そっちこそ。偉いよ、アンチ」

四校の主將(キャプテン)が先頭に立ち、俺たちは闘技場へと向かう。

さぁ、対校戦スタートだ。

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