《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》116.勇者、徒競走に參加する

翌日、帝國闘技場にて。

『それではこれより、第一種目【1000メートル走】を開始しまぁす!』

理事長の聲が闘技場中に響く。

どうやら風魔法を応用し、聲を反響させているようだ。

『この種目の參加人數は1名でぇす! 各學園の代表者はグラウンドに集合してくださぁい!』

事前の打ち合わせ通り、俺が先鋒を務めることにした。

初戦は確実に點を取ってリードしておきたいそうだ。

「や、やぁユリウス君! よくきたね、怖気づいて國に帰らずにきたことをほめてあげよかなっ」

グラウンドには帝國からアンチが出てきた。

「おまえもよく逃げずに來たな」

「……君にも聞こえるだろう、この大歓聲が」

闘技場からは多くの帝都の民たちが、アンチたちに聲援を送っている。

都民だけじゃない、帝國學園の他の代表選手たちも、彼に期待のまなざしを向けていた。

「民の期待を背負っているボクは、敵前逃亡などという無様はさらさないのだよ」

ふんっ、とアンチがを張る。

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ただの気位の高いバカ貴族(俺の両親とか)とは、彼は別次元の存在のようだ。

「ますます気にったぜ、おまえのことをよ」

「おっ? なんだなんだ、またダンタリオンの姐さんに向けてのサービスかぁ~?」

マントを著た、仮面の男が近づいてくる。

「東部の選手はおまえか、ザガン?」

「おうよ。ま、お手らかに~」

次にガタイのいいはげた男が歩いてくる。

「神聖皇國は拙僧が出場する。よろしく頼むな皆の者」

ニッ、と笑ってタケルが言う。

「タケルがでるんだな。雷神になれるアルトが出るもんだと思ったよ」

徒競走だからな。

「我らには我らの戦略と言うものがあるのだよ。ユリウス、アンチ、それにザガンよ。己が全力を持って競い合おうぞ!」

俺とザガンはうなずく。

アンチは青い顔をして震えていた。

「……大丈夫殺傷はルールでじられてる死なない僕は死なないだから大丈夫、大丈夫ったら大丈夫!」

ややあって。

『ルールを説明しまーす。といっても単純です。君たちにいるその場の外周がちょうど1000メートル。一周してゴールする。それだけです』

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闘技場に走行用のラインが、ぐるりと一周ひかれている。

ここを走れってことか。

『ルールとして止することは、武の持ち込み、魔法の使用、このふたつとなりまぁす』

「や、やったぁ! はっはー! 聞いたかいユリウスぅ! 武も魔法も使っちゃダメだってさ! はー安心。純粋な走力での勝負だよぉ!」

アンチが目に涙を浮かべながら言う。

「うーん、それはどうだろうな?」

「ど、どういうことだい?」

「ま、すぐわかるだろ」

俺たちはスタートラインに立つ。

「悪いけどここで1位を取らせてもらうよ! 僕は足に自信があるんだからね!」

「そうか。ならアドバイスだ。振り返らずにまっすぐ走れ。決して振り返るな、いいな?」

「はぁ……? まあいいけど」

俺たちはスタートの構えを取る。

『それではぁ、位置について。よぉい……』

パンッ! と銃聲が響いた、その直後だった。

「わが拳に宿れ【巖神將(スサノオ)】!」

神聖皇國の坊主タケルが、拳を大きく振り上げる。

地面に思い切り叩き付けると、グラウンド全が揺れた。

「なっ!? なんだね今のは!?」

「止まるな。いけ」

「くっ!」

アンチはふらつきながらも走り出す。

俺はその場にとどまり、次の変化を待った。

グラウンドの土が盛り上がり、それは巖の領域(フィールド)を作り出す。

が小高い連なった山へと変化した。

「どうなってるんだねぇええ! 理事長! 反則だろぉ!?」

『殘念ながら魔法の気配は知できませぇん。なので認めまぁす』

「じゃあこの現象をどう説明するのだね!?」

『なんか思いっきり毆ったら、グラウンドが山になっちゃっただけではぁ?』

「そんなバカげたことが起きるものか!?」

「え、できるだろ。転生者の力ならな」

にっ、とタケルが好戦的に笑う。

「見抜いていたか。さすがは総大將(カズマ)が一目置く男」

坊主は拳を振り上げて、再び地面をたたく。

地面から巖が盛り上がって、それは見上げるほどの巨腕へと変化した。

「うぎゃあああ! さっそく始まった大怪獣バトルぅううう!」

巖の巨腕は俺めがけて振り下ろされる。

圧倒的な質量からの、超高速の一撃。

パシッ!

俺はその腕を手で押さえて、ぐっ、と握りしめる。

ばきぃいいん! と巖が々になる。

「やるではないか! ではこれはどうだ! ぬぅん!」

今度は地面を連続して叩く。

俺の目の前に、無數の巖の拳が襲い掛かってきた。

そのすべてを俺は見切り、最小限のきでわす。

そのときだ。

ひゅっ……!

死角となっている背後から、腱を狙った斬撃が放たれる。

俺はその場でバク宙して、巖の腕の上に乗っかる。

「ちぇ~、今の避けるか。さっすが化け。全方向に目でもついてるのか~?」

眼下にはナイフを持ったザガンがいる。

刃からはポタポタ……と毒が落ちていた。

「おいぃいいい! 理事長! あいつ普通に武を持ち込んでいるよぉおおおお!?」

『あれは彼のの毒で作ったナイフでぇす。止事項は武の持ち込み、なので競技中に作られたナイフはおっけーでぇす』

「そんな詐欺みたいな真似がゆるされるのかね!? ユリウスが毒で死んだらどうするのかねぇ!?」

『大丈夫ですよぉ、彼は毒ごときでは死にませんからぁ』

ヘビのようなきで、ザガンが俺に近づく。

彼は常に、死角をついて攻撃を放ってきた。

真正面からは決して近づかず、そして無理に急所を狙わないき。

「呪毒(カース・ポイズン)か」

「そそっ、ま、死にはしないけど、半月はけなくなる麻痺毒だけどねぇ」

長い腕から繰り出される、ヘビのような斬撃。

「ぬぅん!」

タケルからは巨巖を利用した、間斷のない強力な打撃。

「ちょっとぉおおお! トラック競技でなに普通にバトルをやってるのかねぇええ!?」

「しかたねーだろ? こいつ足止めしないと、1秒も経たないでゴールしちまうんだからよぉー」

「ならば初手で再起不能にする。基本戦だとは思わぬかね?」

「いや走り給えよ! 1000メートル走なんだから!」

その後も2人相手の攻撃相手に、俺はそのすべてを避ける。

「すごい……あんな息も止まらぬ攻撃の嵐を、すべて避けるなんて……」

「おいこら舊兄上! 1対2は卑怯です!」

応援席から、王立のメンバーが俺を見ている。

『ルールに結託しちゃいけないなんて書いてませんからねぇ』

「この詐欺師! 悪魔! 実は天使のくせに!」

ミカエルがなんだか、サラッと重要事項を言っていたが、まあいい。

「ユリウスはん避けてばっかりや……」

「あんなすごい攻撃を二人同時からけてるんだもん。武も使っちゃダメだし……」

落ち込んだ表のメンバーたち。

だがガイアスが彼たちを注意する。

「暗い顔をしちゃだめだ。仲間がチームメイトを信じなくてどうする?」

「けど……相手は転生者に悪魔やで?」

「だからどうした。こっちは兄さんだぞ?」

メンバーたちの表が明るくなる。

「せやった! 人知を超えた最強の化けユリウスはんやった!」

「そうです! 世の理をすべて砕する破壊者あにうえに不可能はないです!」

「そうだ、兄さんは勝つ。ボクのために、みんなのために!」

俺は笑う。

信じてくれるひとがいるのは、いいもんだ。

チームの期待に応える。

グラウンドに著地する。

転生者と悪魔が、俺の命を取りはしないけど、殺す気でいる。

「もう終わりかね?」

「大人しくギブアップしてくんね? 正直ここまでオレ様自慢の暗殺を避けられっと、かなしぃ~んだけど」

俺はニッと笑う。

「嫌なこった。それよりお前ら、足元に注意してろよ」

しゃがみこんで、俺は地面に片腕をつける。

五指で地面をがしっ、と摑む。

「アンチ、跳べ」

「な、なにを……」

「死ぬぞ?」

「跳びまぁああああああああす!」

アンチが跳んだ瞬間、俺は摑んでいた地面を、放り投げた。

一瞬のことだった。

「ほへ……?」

アンチが、目を丸くする。

彼は空中に居た。

その眼下には……巨大ながあいてる。

「ぐ、グラウンドが消滅したぁああああああああ!?」

彼はしばし滯空すると、の下におから落ちる。

死にはしない。

の直徑はかなりあったけど、深さはさほどだからな。

「よいしょっと」

俺はの下に著地。

呆然とする観客たちに見られながら、の下の(グラウンド)外周を、普通に一周ぐるっと走る。

『1著、王立學園ユリウス君!』

「な、なにが……どうなってるのかね?」

「ほら、アンチ。チャンスだぞ。さっさとゴールしたほうがいいぜ?」

なにがなにやら、という表で、アンチが外周をぐるっと回って戻って來る。

『2著、帝國學園アンチ君!』

「2位だってさ。良かったなぁ」

「いやいやいや! なにが起きてるんだってば! 教え給えよ!? このは!? 皇國と東部の選手は!?」

「え、宇宙にいってるけど?」

「う!? 宇宙だってぇえええ!?」

「おう。グラウンドを摑んで、おまえのいない方に向かって投げ飛ばしただけだ」

あの場において、グラウンドに立っていたのはタケルとザガンだけだ。

地面ごと彼らを宇宙へと投げ飛ばしただけである。

「簡単だろ?」

「どこが!? もういろいろ突っ込みたいよ!?」

「おう、いいぞ」

「グラウンドなくなったのにどうしてゴールになったのだね!?」

「理事長はこの競技を1000メートル走れっていった。グラウンドの上を1000メートル走れなんていってない」

「殺傷は止じゃなかったのかね!? 生で宇宙なんていったら死んでしまうじゃないか!」

「大丈夫だって、生きてるから。なぁ?」

「「おう」」

「なにぃいいいいいいい!?」

俺たちの目の前に、ザガンとタケルがいた。

宇宙からそれぞれの方法で帰ってきたらしい。

「思ったより時間かかったな」

「いやぁ、これは一本取られた! まさか大地を摑んで宙に投げ飛ばすとは!」

「さっすがユリウス。悪魔って呼ばれるのもうなずけるぜぇ~」

けらけら、と俺たちは笑う。

「いやちょっと!? キミら宇宙に吹っ飛んだよね!? なんで生きてるのかね!?」

「「え、これくらいじゃ死なないぞ?」」

「いやぁああああああああああ! 化けたちの大運會ぃいいいいいい!」

結局順位は1位俺、2位アンチ、3位ザガン、4位タケルとなった。

『ちなみにルールにはグラウンドを宇宙に放り投げてはいけないとは書いてありませんのでオーケーでぇす。魔法も武も使ってないのでルールの範疇ですねぇ』

「舊兄上の詐欺っぷりやばいです。そのうち刺されそうです?」

【※読者の皆様へ お願いがあります】

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