《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》119.わがまま王の破滅~その5~

転生勇者ユリウス達が、対校戦の初日を終えた。

一方その頃。

帝國闘技場の片隅、とある廊下にて。

「はぁ……! はぁ……! はぁ……!

フードと仮面をかぶったが、廊下の壁にもたれかかる。

荒い呼吸を繰り返している様から、かなり疲弊していることがわかった。

は【アスモデウス】。

東部連邦の代表選手のひとり……と、周りは思っている。

「くそ……! あの落ちこぼれの兄! またアタシの邪魔をしやがって!」

アスモデウスが、地面を悔しそうに何度も叩く。

「もうしであいつらを! 殺せたのに! くそっ! くそっ! くそぉ!」

からは、蟲でできた手が生えて、廊下をめちゃくちゃに毆り飛ばす。

そのとき、はじきとんだ廊下の破片が、アスモデウスの仮面にぶつかる。

カラン……と乾いた音。

そこにいたのは……【元王ヒストリア】だった。

「カーライルの忌み子め! どこまでアタシの邪魔をすれば気が済むのよぉおお!」

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ヒストリアは怒り狂う。

とてもじゃないが、元王だと言われても信じないだろう。

「こうなったら……ユリウス共々王立のメンバーをぶっ殺してやるわ……! 試合なんて関係ない!」

から蟲でできた手が生える。

無數のそれらを、王立の控え室へと殺到させようとした……そのときだ。

「だめよぉ……子犬ちゃん♡」

蟲の手が、ばらけてきた。

そこにいたのは、妖艶な雰囲気を醸し出す、絶世のだ。

「あ……あぁ……」

ぺたん、とヒストリアがそのばにしゃがみ込む。

「ふぇ、フェレス……」

メフィスト・フェレス。

の主人である、大悪魔だ。

こつ、こつ……とヒールをならしながら、フェレスが近づいてくる。

ガクガクガク、とヒストリアはカラダを抱いて震えた。

「一回戦、ご苦労様、子犬ちゃん♡」

フェレスが微笑む。

それだけで、ヒストリアはそのばに跪いて、けなくなった。

のカラダと魂には、恐怖が刻まれている。

このを怒らせたら、どうなるか……わかっている。

「あなたに與えた大悪魔アスモデウスの力、きちんと使いこなせているみたいね。ちゃあんと特訓の果が出ているわ♡」

「…………あぁ、あぁ、あ、」

突如脳にあふれ出る、過去の映像。

暗い地下牢。

そこには無數の蟲たちであふれている。

ヒストリアは手足を縛られて、蟲の海へと投げれられる。

襲いかかる蟲たちに、ヒストリアはも心も犯される……。

「おげぇええええええええええ!」

ボタボタ……とヒストリアは吐瀉する。

そこに混じっているのは、無數の蟲たちだ。

アスモデウスは蟲の王。そ

その1匹1匹が悪魔。

その力を手にれるためには、カラダを蟲に適合できるようにしなければならなかった。

晝夜問わず蟲たちをれる。

いやだ、助けてとんでも……誰も助けに來てくれない。

なぜなら彼は、ツキに見放され、悪魔に魅られたから。

「ゲホッ……ゴホッ……う、ぐげぇ……」

「うふ♡ 可い……可いわ……あなたのその苦痛にゆがんだ顔……♡」

フェレスが恍惚の表でつぶやく。

ヒストリアのでる。

管の中まで蟲が走っている。

ぼこっと隆起し、管に沿って蟲が走る姿を、外からでもわかる。

蟲にカラダを犯され、ヒストリアの髪のは真っ白に変している。

左目はもう使いものにならず、見えていない。

「最高に素敵よその顔♡ 前のドブスな顔よりも、よっぽど魅力的だわぁ……♡」

「ふ、ざ……けるなぁあああああ!」

ヒストリアにとって、自分の貌は、彼にとって最も大切なだった。

それを侮辱され、ヒストリアは激昂。

蟲の手を発させ、フェレスを食い殺そうとする。

フェレスは微笑んで、自分を見下ろしてくる。

蟲たちは雲散霧消する。

「そ、そんな……! どうして……?」

「大悪魔(そのちから)がわたしが分け與えた力だからに決まってるじゃない」

大悪魔はヒストリアのクビを、ガッ……! と摑む。

「カハッ……!」

「ヒストリア。わたしの可い子犬ちゃん♡ 命令通りガイアスたちを始末しようとした。それは良い。けれど……」

ぎゅぅうううう! と力をさらに込める。

「ユリウス様まで傷つけようとしたのは、どういう了見かしら?」

「た、だずげ……で……」

口からぶくぶく、と泡が出る。

じょぼぼ……と失してしまう。

「わたしたちの目的は、あくまで大悪魔ユリウス様をこちら引きれること。邪魔な仲間達を消す、それがわたしの命令だったはずよね?」

なのに……とフェレスが続ける。

「命令に背きユリウス様を殺すなんて、分をわきまえなさい。あなたは犬よ。わたしの忠実なる奴隷。主の命令に逆らったら……どうなるか、思いださせてあげようかしら」

笑顔のフェレスの手には、黒いムカデが

握られていた。

それを顔の近く、耳ののそばまで持って行く。

「嫌だ! それは嫌だ! 嫌! 嫌! 嫌ぁああああああああああ!」

パッ……とフェレスが手を離す。

ムカデが、ヒストリアの耳ののなかにろうとした……そのときだ。

パシッ……!

「おやめ……ください……フェレス……様」

長い髪をたらした、ダンタリオンがそこにいた。

の長い髪のび、ムカデと、そしてフェレスの腕を摑んでいる。

髪のがぎゅぅううううっと、フェレスの腕を強くしめつける。

パッ、と手を離し、ヒストリアが解放される。

倒れ伏す前に、ダンタリオンは髪ので、ヒストリアをキャッチ。

自分のそばに引き寄せる。

「なにをするの、ダンタリオン?」

「それくらいに……してあげて……ください。ヒストリアには……わたくしから……よく注意……しておきますので」

ヒストリアを優しく地面に下ろす。

「必要ないわダンタリオン。犬のしつけはわたしの仕事よ? 犬2號であるあなたはすっこんでいなさい」

微笑をたたえたまま、フェレスが言う。

だが隠しきれない怒りの闘気(オーラ)が出ていた。

悪魔の持つ負の闘気(オーラ)。

それを呪いという。

呪いの力がほとばしり、ヒストリアに押し寄せる。

ダンタリオンは彼の前に立ち、髪のを広げてバリアを作る。

バシッ……!

フェレスの呪いを消し飛ばし、ダンタリオンは言う。

「ヒストリアは……犬では……ありません。チームの……一員……です」

「へぇ、わたしに逆らうの?」

「反旗を……翻す……つもりは……ありません。代表選手……ひとり……いなくなる。チームが……不利になる……あなたの【もう一つの目的】も……達できなくなる」

ふたりがにらみ合う。

ややあって、フェレスは微笑む。

「その犬の処罰は、あなたに任せるわダンタリオン。じゃあね」

ひらひら、とフェレスが手を振る。

「明日の試合も頑張ってね」

「かしこまり……ました……【學園長】」

東部連邦の學園長、メフィスト・フェレス。

悪魔の笑みを浮かべながら、音もなく消えていった。

「…………」

倒れ伏すヒストリアに、ダンタリオンが向き合う。

すっ……と彼が手をばす。

「大丈……夫?」

「…………」

ヒストリアは、ダンタリオンに手をばす。

そして……。

バシッ……!

「悪魔ごときが、アタシに同するんじゃないわよ!」

ふらふらと立ち上がり、ヒストリアは1人で歩き出す。

だがまだフェレスによるダメージで、上手く歩けない。

けつまづき、転びそうになる。

ふわり、とダンタリオンは髪ので、抱き留める。

るんじゃないわよ! 気持ち悪いのよあんた!」

バシッ、とダンタリオンの長い髪のを払う。

「だいたい、どうして助けたりしたの!? アタシ頼んでないんだけど!?」

「助ける……わ。だって……わたくしは……チームの……リーダー……だから」

髪ので表は見えない。

けれど、ヒストリアは、彼が笑っているように見えた。

「困ってる……メンバー……助け合う……それが……チーム……だから」

「うるさいうるさいうるさぁあああい!」

ヒストリアは蟲の塊を、ダンタリオンめがけて放つ。

バシッ、と彼が髪のけ止める。

「誰が仲間だ!? アタシをあんたたち気持ちの悪い悪魔たちと一緒にするな! そもそもチームの一員になったつもりは頭ない! あのに命令されて仕方なく! 學園に転校して、選手になったんだ!」

ここまでの辛い日々が想起される。

王家を追放。

蟲倉に突っ込まれもだえ苦しむ日々。

対抗戦に參加するべくフェレスの學園に無理やり學される。

悪魔達の中に混じって過ごす日々……。

代表選手になるべく特訓、特訓、特訓……。

「アタシは! あんたたち気持ちの悪い悪魔と違って正常なの! アタシの前から消え去れ異常者!」

「…………」

ダンタリオンはヒストリアの暴言に、何も言い返さなかった。

近づいてきて……そして、ハンカチを手にとる。

ハンカチで、ヒストリアの目元を拭う。

「なにすんのよ……」

「泣いてる……から」

らないでって言ってるだろ!」

ダンタリオンの手を払う。

のハンカチを、ぐしゃっ、と踏みつける。

「たった數ヶ月一緒にいただけでもうリーダー面なの!? ふざけないでよ! アタシはあんたのチームのメンバーなんて思ってない! あんたら悪魔と同列になったとも思ってない! もう関わらないで!」

そう言い放つと、ヒストリアはダンタリオンのそばを離れる。

「くそっ! くそっ! 最悪! もうほんと最悪よ!」

悪魔に利用され、を悪魔に犯され……悪魔に、同された。

ヒストリアは悪魔を見下す。

悪魔は皆異形の姿をしている。

それを隠すための、マントと仮面。

姿を隠さねば人間社會に溶け込めない、悪魔とは恐ろしくもしかし不憫な生きだ。

そんな下等生と一緒にしてしくない、というのがヒストリアの意見だ。

「ちくしょう……! 覚えてなさい……アタシをげるやつら、全員に復讐してやる! アタシは! アタシ1人で……復讐してやる!」

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