《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》125.勇者、午後の試合に挑む
対校戦2日目、午後の部。
俺たちは闘技場のグラウンドに集まっていた。
「あにうえー。そう言えば今順位と得點ってどーなってるです?」
俺に肩車されている義弟が、ぺちぺちと頭をたたいて言う。
「そう言えば、競技に必死でよーおぼえとらんかったわ。どないじやったっけ?」
「え? 1位王立、2位帝國、3位は神聖皇國と東部連邦が同列だぞ」
「「「は……?」」」
「得點の訳は、
王立が1位が3回・失格1回で+4點。
帝國は2位が3回・3位1回で+2點。
皇國は1位1回・3位1回・4位2回で-3點。
東部は2位1回・3位2回・4位1回・失格1回で-3點だな」
ちなみに1位をとると+2、2位で+1、3位で-1、4位で-2點だ。
王立のメンバーが、ぽかんとした顔になる。
「ぜ、全部覚えてるの、兄さん?」
「おう。各種目の順位と試合容も全部覚えてるぞ。秒単位で出來事をそらんじることできるけど……え、みんなもちろん覚えてるだろ?」
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「「「覚えてないよ!」」」
「おー、ひさしぶりに王立がツッコんだです。最近あにうえっててツッコみおろそかだったです?」
はぁーとみんながため息をつく。
「やっぱり兄さんは別格だね。ボクらは目先の試合のことだけでいっぱいいっぱい」
「さすがユリウスくん! いつも余裕があってすごいね!」
うんうん、と心したようにみんながうなずく。
「え、これってすごいことか?」
「あにうえが絶好調にあにうえってるです。さすうえです!」
「なんだよ、さすうえって……」
はあ、とガイアスがため息をつく。
ほどなくして、理事長がグラウンドに降りてくる。
『それではぁ、2日目午後の部を競技を始めまぁす』
各學園の選手達が、グラウンドに整列している。
「兄さん……ヒストリアが」
「ああ、いないな」
彼の姿が見えない。
先頭に立つダンタリオンを見やると、ふるふると首を振った。
「あちこち探したけど行方がわからないって言ってるな」
「は? なんでそこまでわかるの?」
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後ろに立つガイアスが、目を丸くする。
「え? 目を見れば相手の心の聲って聞こえてこない?」
「こないよっ! てゆーか……ふーん、へぇ、すっかり仲良しなみたいだね!」
げしげしっ、とガイアスが俺の足を蹴飛ばす。
「腐腐腐……ガイアス様が……後ろから……ユリウス様を……腐腐腐……♡」
それはさておき。
理事長が種目について説明する。
『午後は【五種競技】を行いまぁす』
「五種競技?」
「あにうえー、ごしゅきょーぎって?」
『それを今からワタシが説明するんですよ、ミカエルくん』
「舊兄上には聞いてないです」
理事長の説明によると、以下の通りだ。
①各校1名ずつ、それぞれ1種の競技に出る。
②競技にはそれぞれ【実技點】と【蕓點】が設置してある。
③五種終わった時點での実技と蕓の合計點で、最終的な順位が決定する。
『概要としてはこんなじでぇす。次に種目を説明しまぁす』
1.撃
2.馬
3.フェンシング
4.スキージャンプ
5.フィギュアスケート
「上4つはわかるやけど、フィギュアスケートに実技點なんてあるん?」
『氷上で戦ってもらいますのでねぇ』
どうやらそれぞれ特殊ルールみたいだな。
『最後に重要なことをお話ししまぁす。この五種競技は【能力が平均化】されまぁす』
「能力の……平均化?」
「あにうえー、平均化ってー?」
『それを今からワタクシが説明を』
「舊版はすっこんでるです?」
「ミカやん理事長のこと嫌いすぎひん?」
こほん、と理事長が咳払いをする。
『この競技では5人の選手の能力値(ステータス)を合計して、均等に割り振った數値が選手の能力値となりまぁす』
「いまいちよくわからないです? 舊は駄目ですね」
『皆さんに魔法の腕をくばりまぁす。これによって魔力や筋力など、個人の能力を數値に変換。それを合計して5で割った數値が、競技でのステータスとなります』
「やっぱりわからんです。これだから古い兄上はいかんです」
俺はミカエルを見て言う。
「ようするに、チームで力をわけあうってこと。高いヤツは低いヤツに力を渡して、みんな平等になるように調整するんだ」
「おー! わかりやすい! さすがあにうえ! 本家は違うです!」
「いや、ミカやん、本當のお兄さんはあっちちゃうの?」
理事長が生徒たちを見渡す。
『これは個人種目を5回やるわけではありませぇん。あくまで複合競技。種目ごとに能力差があってはいけませんからねぇ』
さて、と理事長が言う。
『30分後に第1種目の【撃】をはじめまぁす。それまでは各校作戦を練ってくださいねぇ』
王立は話し合った結果。
「まずはぼくー! ぼくが【撃】! ぼくが1番だからねー!」
ぴょんぴょん、とミカエルがジャンプして言う。
「ミカちゃん、張り切ってるね! どうして?」
「最近ぼく、活躍できてないです。がいあすばっかり味しいとこもってくです。あにうえに褒められて……羨ましい!」
「別にそんなことないだろ……」
ガイアスがため息をついて言う。
「最初はぼく! 頑張ってあにうえに褒めてもらうです! おー! です!」
「そっか。よし、ミカ頑張れ」
わしゃわしゃ、と義弟の頭をなでる。
「うん! ぼくがんばるです! がんばったらごほーびほしーです!」
「ちょっ、図々しいよ。兄さん、駄目って言って」
「え、別に良いけど?」
ぱぁ、と義弟が笑顔になる。
「やったー! じゃあごーびに【ちゅー】してほしーです!」
「はぁあああああああ!?」
ガイアスが素っ頓狂な聲を上げる。
「ふざ……ふざけんなよ! なにそんなバカなことお願いしてるんだよ! 兄さん言ってやって!」
「え、別に良いけど」
「わーいやったー! あにうえ大好きー!」
ミカエルが俺に抱きついてくる。
ガイアスはギリギリ……と歯がみする。
「ふーん、へー、ふーん」
「だからおまえ、何怒ってるんだよ」
「べ・つ・に! ふんだっ! ボクにはしたことないくせに!」
「「「え?」」」
ぬっ……とガイアスの背後に、ダンタリオンが出現する。
「ガイアス様……素直に……なってください……」
「急に背後に立つなよ! びっくりするだろ!?」
ぱっ、とダンタリオンが離れる。
でへへ、とだらしのない顔で言う。
「失禮……濃厚な……腐のオーラを……じ取って……つい……」
「なんだよ腐のオーラって、てゆーか作戦會議中なんだから離れろよ」
「ガイアス様……意固地になるのは……よくありませんよ?」
「そりゃ……まあ……」
「力を抜いて……リラックスすれば……痛くありませんので……」
「何の話してるんだよおまえはぁ!?」
ぐいぐい、とダンタリオンをガイアスが押す。
一方で、帝國のメンバー達が、暗い顔をしていた。
「アンチ様……ごめんなさい……」
「どうしたのかね、君たち?」
銀髪の青年、アンチの周りには、他の帝國のメンバーである子生徒達が集まっている。
「わたしたち、アンチ様の足手まといですから……」
「能力値が平均化されてしまったら、アンチ様のステータスが下がってしまいます」
「ただでさえ相手は強敵揃いなのに……私たちのせいで、アンチ様に迷をかけてしまうことになります……」
たしかにあのメンツのなかで言うなら、アンチが1番高い。
平均化のあおりをけるのは、彼ひとりだろう。
「君たち、何を暗い顔しているのだね?」
「「「「え……?」」」」
真面目な顔で、帝國のメンバー達を見渡す。
「僕は君たちを足手まといと思ったこと、一度もないよ」
「し、しかし……今のままでは負けてしまいます」
「そうしたら、私たちのせいで負けたのに、皇帝の息子であるアンチ様が一番非難されてしまいます」
ふう、とアンチがため息をついて言う。
「バカなことを言うんじゃあないよ君たち。いいかい? 僕はチームのリーダーだ。君たちの落ち度はすなわち、僕の全責任だ」
「「「「そんなこと……」」」」
「チームの功はみんなで分かち合い、チームの失敗はリーダーが責任を負う。組織の上に立つ人間とは、そういうものを言うんだよ」
だから、とアンチが力強く言う。
「負けることは恥じゃない。あの化けたち相手に逃げずに立ち向かっている、君たちの勇気に僕は敬意を表する。さすが、誇り高き帝國のメンバーだ」
「「「「アンチ様……!」」」」
子生徒たちが涙を流して、アンチに抱きつく。
「みんな、見せてやろう。我ら帝國の、誇りをに戦う姿を!」
「「「「はいッ……!」」」」
アンチの激勵で、やる気をなくしていた生徒達が、元気でたようだ。
「さすがアンチ、見事なリーダーっぷりじゃないか」
「フッ……と、當然さ。ぼ、僕はいずれ帝國を背負って立つ男だか、だか、だからね……」
よく見ると、アンチの膝が震えていた。
部下の前では、張を隠していたのだろう。
なんだかんだ言って責任も強いし、のあるこいつを、俺は気にっている。
「アンチ、ちょい後ろ向け」
「? なにかね?」
「てい」
ズブッ……と俺はアンチの肩に指を突き刺した。
「いったぁあああああああああい!」
彼がびっくりするほど大きな聲を上げて飛び上がる。
「何をするのかね何を!?」
「張をほぐしてやろうと思って。ツボを押したんだ」
「まったく……って、あれ? たしかに張が解けたよ。それに、なんか妙にが軽いような……」
くるくる、とアンチが肩を回す。
ま、これくらいなら不正にはならんだろう。
「すまないね、ユリウス。張をほぐしてくれて。禮を言うよ」
「気にすんな。萬全の狀態でお互い戦わないと意味ないだろ?」
フッ……とアンチがかっこつけて言う。
「當然だね。手心を加えるんじゃあないよ。それは僕らに対する侮辱にあたるからね」
「おうよ。誰が相手でも全力で戦うよ」
「し、しかし殺すのはなしだからね。全力と言っても殺さない程度でだからねほんとお願いするよ君ぃ!」
かくして、対校戦2日目、午後の部の競技がスタートするのだった。
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