《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》126.義弟、兄の力を借りて無雙する
転生勇者ユリウス達は、対校戦2日目、午後の部に挑んでいた。
五種競技の1つめ、【撃】。
「あにうえー! みてるー!」
グラウンドに集められたのは、各校の代表選手。
王立ミカエル。
帝國ノット(子生徒)。
神聖皇國タケル。
東部連邦アモン。
「おー、見てるぞー。がんばれなー」
兄ユリウスが、観客席から義弟を応援する。
わさわさ、とミカエルは翼をかす。
「きょーのぼくは、ひと味違うです! あにうえの熱いやつがちゅーにゅーされてるです!」
ふすー、とミカエルがやる気に満ちあふれた表で言う。
「腐腐腐……♡ 弟に注がれる……兄の白くて熱いヤツですね……ユリ×ミカですね……♡」
「君はどんなときでもそのスタンスなんだね……」
ガイアスがため息をつき、ダンタリオンはでへへとだらしのない表で言う。
「あれは単に、平均化したことによって、兄さんのステータスをもらいけてパワーアップした、って意味だと思うよ」
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今回の競技では、選手の力を合計した後に均等化される。
王立では、ユリウスが頭1つ飛び抜けている。
平均かられた余剰分の力が、今、義弟に注がれている次第だ。
「ミカ! わかってるな!」
「だいじょーぶ! 手は抜かないです!」
ガイアスは不安げな表になる。
「どうした弟よ?」
「いや……兄さんの力って桁外れだからさ。ミカ、コントロールできるか不安で」
ユリウスは笑いかけると、弟の頭をなでる。
「心配すんな。あいつは俺たちの弟だぜ?」
「うん……そうだね。ミカを信じよう」
カーライル兄弟のやりとりを、ダンタリオンは手を合わせて拝んでいた。
「尊い……尊い……」
それはさておき。
『撃のルールを説明しまぁす。と言ってもオーソドックスな【クレー撃】ですねぇ』
クレーと呼ばれる素焼きの皿を打ち壊していく競技である。
「よ、良かった……競技は普通だ。ノット! 勝ち目はあるよ! がんばるんだ!」
「はいっ、アンチ様!」
理事長が説明を続ける。
『ルールはシンプルです。飛び出るクレーを撃ち、そのうち落とした數で実技點、撃技の高さで蕓點がつきまぁす』
銃はライフルタイプのものが生徒達に配られる。
『それは魔力を弾丸として撃ち出しまぁす。使い方はこめると発する、シンプルですねぇ』
「舊兄上にしてはわかりやすい説明です」
ミカエルたちはライフル片手に、一列に並ぶ。
『それではクレーを出しますので、各自魔法弾で撃ってくだぁい。3ラウンドやります』
「わかりにくくなったです。ダメダメです?」
『クレーを3回打ち上げるという意味ですよぉ、ミカエルくん』
「なんだわかりやすい説明、やればできるです?」
生徒達がライフルを構える。
『では行きますよぉ……よぉい、はじめ!』
グラウンドの地面に、魔法陣が出現。
そこから皿(クレー)が出される。
「なっ!? なんだねこの數はぁあああああああああ!」
軽く1000を超えている。
空中に浮かぶ無數の皿を前に、アンチが目をむいていた。
「ちょっと理事長! 通常は1度に3枚でしょう!?」
『いつまでも常識の枠組みに収まっていると、長できませんからねぇ』
「何をちょっといい話風にしてるのかね!?」
一方で選手達は冷靜にクレーを打ち落とそうとする。
「アンチ様が……頑張っている! わたしもがんばらないと!」
ノットはライフルを構える。
「よーし、ぼくもがんばるぞー!」
ミカエルはライフルを片手で持つ。
フォームはメチャクチャ。
だが、銃口に集まる魔力量は、尋常ではなかった。
「兄さん!」「おう」
ガイアスとユリウスは、會場に強固な結界を張る。
「ちょ、君たち!? 何をしているのかね!?」
「ちょっとヤバいかもだからな」
ミカエルが魔力を最大限まで込める。
その間、生徒達はクレーを順調に割っていた。
「よーし! 充填かんりょー! いきますよー……」
ちゃっ、とミカエルが銃口をクレーの群れに向ける。
「どーん!」
その瞬間、會場を凄まじいが包んだ。
あまりに巨大なの柱、それはミカエルの放った魔力弾だ。
魔力を込めすぎたせいで、威力がバグっているのだ。
ユリウスとガイアスの二重結界が闘技場部を守っていたので、魔力弾は頭上へと跳んでいった。
だがそれは弾なんて言葉ではすまされない。
極太のレーザー。
レーザーは殘っていたクレーを、すべて焼き盡くした。
「ふぅー……。ちょい疲れたです」
その場にいた全員が、唖然呆然としている。
「なぁ!? なんだね今のはぁああああああああああ!」
がくんがくん、とアンチがユリウスのぐらを摑んで揺らす。
「平均化によってけ渡された、俺の魔力がちょっと多かったんだな」
「あれがちょっと!? 君のちょっとおかしすぎるよ! スポーツ銃が破壊兵になっていたよぉおおお!」
クレーの打ち落とした枚數が表示される。
ミカエル:959
ノット:16
タケル:15
アモン:10
「あー、全部打ち落とせなかったーちぇー」
「いやいやいや! 一撃で950近く吹き飛ばして何で不満げなのかね!?」
外野からのアンチのつっこみに、ミカエルが首をかしげていう。
「え、あにうえなら1000枚全部割っていたからです?」
「この化け兄弟ガァああアアアアアア!」
殘り3校の生徒達は、今のですっかり戦意をそがれていた。
「アンチさま……無理です……こんなの……」
「が、がんばるんだノット! くじけてもいい! でも試合を投げてはいけないよ!」
アンチに勵まされ、ノットは涙をふいて、こくんとうなずく。
『それでは2巡目、出しまーす』
「どーん!」
『はいラスト3巡目いきまーす』
「どーん!」
……その結果、撃の順位は以下の通りとなった。
1位 王立
同列2位 帝國、神聖皇國、東部連邦
『はい、ミカエルくんが圧倒的すぎる力を発揮したせいで、ほかの學園が橫並びになったじですねぇ』
「わーい! 最終的に990枚まで一撃で落とせたです-!」
「ひとりだけ別競技やってたよ君ぃいいいいいいいいいい……!」
「さすがあにうえ! あにうえパワーすごすぎるですー!」
かくして、五種目競技、1種目は、ユリウスの力を借りて超パワーアップした、ミカエルの勝利に終わったのだった。
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