《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》137.勇者、100層ボスを速攻撃破

俺は気づくと、ほの暗い通路にいた。

ぴかぴかと沢のある廊下に天上が、どこまでも続いている。

『各選手転送完了でぇす。これより3時間、君たちは【なにがあろうと】外に出ることができませぇん』

なにがあろうと、ね。

あのにやけづら悪魔が何を考えてるのかは……ま、明白なんだけどさ。

今は試合に集中しておこう。

『それでは……【寶探し】、スタートでぇす!』

と言っても周囲に誰もいないので、始まったはあんまりない。

『兄さん、聞こえる?』

ガイアスから魔法での通信がる。

『兄さんは今最下層にいるよ』

弟は探知魔法で、選手達の位置を把握しているのだ。

「ありゃ、1番下か」

『問題ないでしょ、兄さんなら』

「ま、その通りだな」

俺は魔剣を手にして廊下を進む。

『ボクはエリーゼが近いからすぐ合流する。ミカはサクラが近いから連れてきて』

『『『『了解!』』』』

ガイアスの指示通りに、俺たちはく。

ほどなくして、1階層の俺の元に、王立メンバーがそろう。

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「道中戦闘はあったか?」

「ううん、予想取り、みんな寶を探すことを優先している」

ガイアスはメンバーを見渡していう。

「作戦通り行こう。兄さんとミカは寶探すことに集中。殘りはボクと拠點を築いて籠城。解散!」

俺はミカエルと途中まで一緒に行く。

「あにうえっ、きょーそーしよ! きょーそー!」

「おっ、いいぜ。じゃあどっちがより多く寶取れるか勝負な」

「わーい! 負けないですー! 勝ったらごほーびほしーです?」

「おういいぜ、何が良い?」

んー、とミカエルがしばし考えて、ニコッと笑って言う。

「あにうえを1日、好きにしていい券!」

『ちょっと!? ミカ!? なにへんなこと頼んでいるんだよ!』

ガイアスが通信で、俺たちの會話に割ってる。

『兄さん、駄目って言って!』

「え、別に良いけど」

「わーいやったー」

『腐腐腐……♡ 是非、ミカエル様、がんばってくださいね……♡』

唐突に、ダンタリオンの聲が聞こえてきた。

『なっ!? だ、ダンタリオン……おまえどうして!?』

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驚くガイアス、一方で俺は言う。

「え、通信を傍してたんだろ?」

『さすがユリウス様……お見通しでしたか』

通信魔法は萬能ではない。

魔法で電波を飛ばしているので、その電波を盜み聞きすりゃ良い。

『がんばってくださいまし、ミカエル様。そして……腐腐腐♡ ミカ×ユリ、ありですね♡』

「あんま傍されてっと困るから、そろそろ通信を強制的に切らせてもらうぞ?」

暗號化すれば傍もされにくくなるからな。

『ああ、ユリウス様……。最期に、一言よろしいでしょうか?』

「え、どうした、ダンタリオン」

しの沈黙の後に、言う。

『……この數日間、あなた様のおかげで、とても楽しく日々を送れました』

は泣きそうな聲で言う。

『悪魔としてげられてきて、生きているのも辛い日々。そんなわたくしを闇から救い出してくださったのは、あなた様でございます。ありがとうございます、ユリウス様』

妙なセリフだった。

まるで、別れの挨拶みたいじゃないか。

『わたくしはあなた様に出會えて、とても幸せでした』

「おいおい試合まだ始まったばっかりだぜ。別れの挨拶は試合の後でな」

『……ええ。では、また』

俺は通信を無理矢理切って、暗號化させる。

されると困るからな。

「あにうえ、會話聞かれてたです?」

「ん? ああ」

「通信傍って、超高度なテクニックです。それを見破って、通信を切るなんて、もっともっとすごいです! さすがあにうえー!」

ぴょんっ、とミカエルが俺に抱きついてくる。

「そんじゃミカ。あとでな」

「はいです! 負けないですー!」

義弟は翼を広げて、通路を凄まじいスピードで走っていく。

「そんじゃ、俺は俺の仕事しますかね」

ガイアスに位置報をもらって、俺は【目的地】へと向かう。

「ここか」

俺は天上を見上げる。

「【神意鉄(オリハルコン)】の天井……ね」

魔剣をたずさえ、突きの構えを取る。

「ま、問題ないな」

魔力を剣先に一點集中、そして放つ。

それは黒いビームとなって、オリハルコンの天井をぶち破る。

100階層まで一直線に、巨大なを作る。

「よいしょーっと」

俺は軽くジャンプする。

巨大な神意鉄の城、一番下から、上へと一足飛びでやってきた。

「ん? 先客か?」

「ひぃいいいいいい! って、ユリウスじゃないかね!」

そこにいたのは、帝國學園のアンチだった。

「キミ!? どうやってここへ?」

「え、天井ぶちやぶってジャンプしてやってきたけど?」

「オリハルコンの天井を!? 100階層分ぶち破ったというのかね!?」

「おう。え、何を驚いているの?」

アンチが力したように言う。

「そうだね……キミの常識はずれっぷりは、よーく骨にしみているし今更ね……」

「なんだおまえ、スタート位置が最上階だったのか。運が良いな」

「最悪だよ!? よりによって、【あいつ】が最初の相手なんだから!」

最上階、つまりここは屋上だ。

白い柱がいくつもならび、その先にデカい椅子があった。

そこには見上げるほどの骸骨の巨人がいた。

基本ベースは人間の骨格だが、10000もの腕がついている。

「あんな化けが寶を守ってるなんて!? 聞いてないよ!」

「ありゃ仮想神兵だな。一般人にゃ荷が重い相手だよ」

人が神の形を模してつくった兵だもんな。

「それよりよく逃げなかったじゃん、おまえ」

「あ、あた、當たり前だろ! 100階層のお寶は超高ポイントだ! 取れば一気に有利になる」

なるほど、チームのことを考えて、ここでのポイントを奪取しようとしたわけだ。

「やるじゃん。けどすまんな。あれは、俺のもんだ」

柱のに隠れていたアンチ。

俺も柱のから出る。

『見つけたぞ、愚かなる人種め……』

「ほー、しゃべる知能はあるみたいだな。こりゃそうとうレベルの高い神兵だ」

モンスターもそうだが、知力が高ければ高いほど、強さの等級もあがる。

「む、無茶だ! あんな化け! 絶対に倒せっこない! 逃げるんだ!」

「え、なんで? 倒せば一気にリードできるんだぜ?」

俺は普通に魔剣を手に、すたすたと神兵に近づく。

『ふはははあ! 愚かな人種め! この神に挑むなど2兆年はやぁい!』

「え、神? いやおまえ神の偽だろ?」

ぎしっ、と骸骨神兵が固まる。

『……殺す。貴様は殺すぅううううう!』

「どうしてキミってヤツは! 無自覚に地雷を踏むのかね!?」

「え、なんか怒らせること言ったか俺?」

10000の腕が振り上げられる。

『みよ! 我が手には10000もの寶剣寶刀が握られている! どれも神クラスの超レアな武だ!』

「そうか。まあ、使っているやつがへぼきゃ意味ないな」

『大口をたたくのもここまでだ! 死ねぇええええええええええええええ!』

10000の刃が、雨あられのように降り注ぐ。

俺はそのなかを、普通に歩いて進む。

「なっ!? ど、どうなってるのだね!? 攻撃が全く當たらないなんて!」

「え、普通に相手の攻撃全部見切ってるだけだけど? できるだろ、こんくらい」

「『できるかぁあああああああああ!』」

俺は四方八方から襲ってくる攻撃を、全部避け、時にさばき、骸骨の頭部めがけて走る。

『う、うわぁああああああああ!』

「腕が多いとその分狙いも雑になるだろ……さて」

俺はやつの顔の正面へとやってきた。

空中に立って、魔剣を構える。

『ちくしょぉおおおおおおおおお!』

「悪いな、チームのために、消えてくれ。……【霊裝展開】」

神格化した俺は、魔剣を軽く振る。

それだけで、10000の腕も、でかいやつのも、一瞬で消し飛んだ。

ばらばら、と寶剣たちがその場に墮ちる。

俺は敵のその向こうに置いてあった寶箱を開ける。

紅玉のデカい珠だ。

それを首飾りの中へと治める。

「相変わらず、キミは……この世の理を超えた強さを持ってるんだね」

アンチはしばし呆然としていたが、あきれたように言う。

「俺とやるか?」

「まさか。キミに勝てないとわからないほど、僕は愚かじゃない」

どうやらアンチは、あの骸骨よりも頭が良いようだ。

「がんばれよ、アンチ。俺は先に行くわ」

ふわり、と飛翔する。

アンチは目をパチクリさせる。

「え、ゆ、ユリウス? あの散らばってる寶剣は回収しないのかね?」

あの骸骨のもっていた武は、寶剣、つまりポイントに加算される寶だ。

「おう。俺がさっき回収した寶玉とくらべりゃチンケなもんだしな。好きにしていいぜ」

アンチは目を丸くする。

だが、首を振るった。

「ありがたい申し出だけど、それは斷らせてもらうよ」

「え、なんで?」

彼はを張って、堂々と言う。

「僕は誇り高き皇帝の息子。他人のものを勝手に盜むようなマネは、矜持に反する」

どうやらあの寶剣を拾うことは、プライドに反する行為らしい。

「勝負に負けちまうぞ?」

「だとしても、僕は誇りある行を取って負けたい」

「そっか……おまえ、ほんといいやつだな」

俺は10000の寶剣を回収する。

「アンチ、首飾りかしてくれ」

「? いいけど、何をするのかね」

俺はアンチからけ取った首飾りに、さっき回収した10000の寶剣を移す。

そして、アンチに首飾りを投げて寄越す。

「他人のもん勝手に奪うのは駄目なんだろ。ならこれは、俺からのプレゼント。俺のものを、俺の意思で、おまえにやるんだから……これで文句ないだろ?」

あくまでアンチは、他人に所有権のあるものを、所有者に黙って取ることを許していなかっただけだ。

「敵に塩を送るようなマネをして……ガイアスは怒らないのかね?」

「怒るだろうなぁ。ま、でもいいんだ。あいつは俺の意思を尊重してくれるからよ」

アンチは首飾りを手にして、フッ……と笑う。

「ありがとう、ユリウス。この借りは、きちんと返そう。マデューカスの家名にかけて」

敬禮のポーズを取るアンチ。

「そんな大げさな。単にあげただけだし」

「それでは僕の矜持が許さぬのだよ。いずれ、きちんと返す」

「そっか。じゃ、いずれな」

俺は飛び上がって、いったんガイアスの元へと戻るのだった。

「……ありがとう、誇り高き、いにしえの勇者よ」

【※お知らせ】

別で連載中の「不遇職【鑑定士】が実は最強だった」の書籍版が、10月2日に発売されます!

落ちこぼれの兄が好きな方ならご満足いただける容となってますので、よろしければぜひお手に取ってくださると幸いです!

【作品URL】

https://ncode.syosetu.com/n5242fx/

「不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無雙する〜」

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