《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》139.王VSダンタリオン
転生勇者ユリウス達が、寶探しをしている、一方その頃。
王ヒストリア……だったものは、天空の城の屋上にいた。
「…………」
一見すると普通の姿見える彼。
しかしそのには、いくつもの悪魔を宿している。
「ヒストリア!」
そこへやってきたのは、東部連邦の主將ダンタリオンだ。
一人たたずむヒストリアの元へと、ダンタリオンが駆けつける。
「心配したんですよ!? 今までどこにいたのですかっ!」
彼は王の肩を摑み、ホッ……と安堵の吐息をつく。
ヒストリアは一昨日の二日目から行方をくらましていた。
三日目にも姿が見えず心配していたのである。
「でも……良かった。フェレス校長に酷いことされてませんこと……?」
ぴくっ、ヒストリがかすかに反応を示す。
「でも無事で何よりでした。さぁ、參りましょう。今からでも遅くない、チームのみんなあなたを待っていますよ」
優しく微笑みかけるダンタリオン。
しかし、ヒストリアはうつむき、その場からかない。
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「……うそよ」
ぽつり、とつぶやいた言葉に、ダンタリオンは笑顔で首を振る。
「噓ではありませんわ。みんな本當にあなたのことを心配している。そう……ユリウス様だってあなたのを案じておりましたわ」
ぎり、とヒストリアが歯がみする。
「ユリウス……」
「そうです、あなたのお友達の彼もまた、あなたの帰りを待っていますわ」
ダンタリオンが手を差しべる。
一緒に帰ろうという意思表示だ。
だが……ヒストリアはその手を払った。
「ユリウス……ユリウスユリウスユリウスぅううううう!」
がりがり、とヒストリアが自分の頭皮をかく。
「あいつさえいなければ! あいつがいなきゃ! 今頃アタシは幸せになれてたんだ! あの! あの悪魔の! くそがぁあああああああああああああ!」
怒気とともに彼のから、莫大な量の魔力と呪力(マイナスの闘気)が吹き荒れる。
荒れ狂う力の波に、ダンタリオンはその場で立っているのさえやっとだ。
『さぁ、ヒストリアちゃん。あなたの役割を果たしなさい』
脳裏に大悪魔フェレスの聲が響く。
「う、ぐ、ああぁあああああああああ!」
ヒストリアの中からが噴き出す。
それは人間のものではない……黒いだった。
吹き出た大量のは、すべての大悪魔から絞った黒。
そのすべてがヒストリアのにまとわりついてくる。
「ヒストリア! その力はいけません!」
ダンタリオンが急いで彼の肩を摑む。
ボッ……! と彼の右腕が吹き飛ぶ。
「!?」
跳躍して距離を取る。
そしてダンタリオンは気づく。
「! 失った腕が……再生しない……!」
悪魔は人間と違い、凄まじいまでの再生能力を持つ。
どれだけ致命傷を負っても、どれほどを損傷しようとも、命あり限りは再生する。
……だが、ヒストリアからの謎の攻撃によるダメージは、再生しなかった。
『殺す殺す殺す! 全てを殺す! 抹殺する! あのユリウスも! アタシを馬鹿にしたやつら全員! ぐちゃぐちゃに殺してやるぅうううううううう!』
そこにいたのは、黒いの鎧を纏うヒストリアの姿だった。
その鎧は、よく見れば悪魔達の顔が集結したものだった。
「ソロモンの悪魔を、無理矢理押し詰められている……!」
悪魔をそのに宿すということは、耐えがたい苦痛をけることになる。
それが約70近くの悪魔全てを押し詰められたらどうなるか……?
想像を絶する苦痛がヒストリアを襲っていた。
「校長! どうして!? どうして彼こんなにも酷いことするのですか!?」
ダンタリオンが周囲を見渡しぶ。
どうせどこかでこの様子を見ている、フェレスに対して。
『決まってるじゃない、悪魔のがしかったからよ』
「それはあなたの都合でしょう!? この子が何をしたというのですか!」
『べつに何もしてないわ。近くに使えそうな駒があったら使っただけ。誰でも良かったのよ』
「なら……ならかわりにわたくしでも良かったではありませんか! この子は! わたくしと違って普通のの子です! まだやり直せるチャンスがあるのです!」
ふぅ、とフェレスがけだるげにため息をつく。
『試合前ならいざしらず、今は無理ね』
「どうしてですか!?」
『おまえの心が、満足してしまっているからよ』
ボッ……! と、ダンタリオンの左足が吹き飛ぶ。
『悪魔のの原材料は、決して満たすことのできない。何かがしいと思うその心。おまえは、ユリウス様と出會ったことで、心が満たされてしまった。としては不適格よ』
またしても再生がおこらず、その場に膝をつく。
「なにあの……手……?」
異形化したヒストリアの背後からは、無數の漆黒の手が生えていた。
手は1本ごとに違う見た目をしている。
ある手は尖端が竜の腕となっていた。
ある手は尖端が聖なる剣となっていた。
『変幻自在、千変萬化の手。どんなものにも変化可能だし、どこにでも屆く魔手よ。はぁ、素敵♡』
手の1本にダンタリオンは注目する。
「退魔の魔力……なるほど、悪魔を滅ぼす剣を手に宿してるのですね」
悪魔は悪魔でしか原則的に倒せない。
だが例外もある。
魔を滅する最強の剣。
それは、かつて最強の勇者ユージーンが使っていた、聖剣に他ならない。
ヒストリアの手の1本が……否、無數の手すべてが聖剣に変わっていた。
『ダンタリオン、命じるわ。ヒストリアとともに城に殘っている生徒全員を殺しなさい』
これは最後通告だと、ダンタリオンは悟った。
校長からのミッションを、のらりくらりとかわし続けてきた。
けれど今日で対校戦は最終日。
もう、先延ばしすることは……できない。
『なにもユリウス様を殺せと言っているのではないのです。おまえのする男以外を皆殺しにするだけ。ほら、簡単でしょう?』
ダンタリオンはふらつきながらも、立ち上がる。
「……お斷り、ですわ」
『……は? 今なんて?』
「斷ると言ったのです!」
彼のから呪力が吹き荒れる。
うちにめていた悪魔の真の力を解放する。
可憐な乙は、下半が蜘蛛の、巨大な化けへと変化する。
「ここにいる人たちは、みなわたくしの大事なお友達! 誰一人として傷つけさせません!」
『……バカな子まさかこの數日で友にでも芽生えたの? 悪魔の分際で』
「友達を! 大事に思うことの何が悪いのですか!」
彼のは異形の化け。
「こんなにも醜い姿をさらしても……あの人はしいと言ってくれた! 他の皆さんだって、悪魔のわたくしを疎まずけれてくれた!」
以前は、この姿をさらすことが怖かった。
けれどもう、彼は自分の本當の姿を恥じも隠しもしない。
「わたくしは、大事なお友達も! 大切なチームメイト達も、みんな守って見せます! その中にはヒストリア! あなたも含まれているのです!」
ダンタリオンの優しさにれても、ヒストリアが改心するそぶりは見せない。
取り込んだ悪魔達を制できず、獣のようにんでいる。
『ヒストリア……殺しなさい。あの愚かな悪魔を』
「わたくしは絶対に! 誰の命も諦めたりしない!」
ふたりの大悪魔が、激突する。
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「不遇職【鑑定士】が実は最強だった〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無雙する〜」
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