《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》142.勇者、ダンタリオンを転生させる

天空の城の屋上にて。

俺の腕の中で、死にゆこうとしていくダンタリオンを見下ろす。

「約束を果たすって……どういうことなの、ユリウスくん?」

王立のメンバー・エリーゼが涙目で俺を見上げてくる。

俺は彼の頭をなでていう。

「ダンタリオンを生まれ変わらせる、今ここで」

「悪魔を……転生させる、ということですか? 無茶……です」

「そういうことだ」

ダンタリオンは目を丸くして、首を振る。

「無茶で……ございます。悪魔は……人間と異なり、魂が存在しません。魂をベースにを回復させる蘇生魔法は使えません」

「知ってる。悪魔は【悪魔の力】を核にして、人間などの【】を用いて作り上げるもの。悪魔の力も奪われ、というがこうして崩壊している以上、蘇生は不可能のだろうな」

「では……どうするのですか?」

「え、蘇生は不可能だけど、生き返らせる方法、あるだろ?」

俺は彼を橫たわらせる。

「【転生の】を使う」

「!? そ、それって、魔王が使ったって言う、超高難易度の儀式魔法だよね?」

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「ああ。それを今ここでやる。最短最速で」

パンッ……! との前で柏手を打つ。

式は頭の中で構築し、必要とされる膨大な量の魔力は、契約している魔王ヴェノムザードから拝借する。

『無茶じゃ、勇者よ』

「ヴェノムザード、どうしたよ?」

俺が倒した魔王は、今俺と従魔契約している。

『わし生涯何度も試して、あの一度しか……功しなかったじゃぞ?」

「ああ。それがどうした。その一度をここで功をさせれば良いだけの問題だろ」

「でも……」

俺は笑って、ダンタリオンに言う。

「俺を信じてくれ。おまえを失いたくないんだ」

「…………わかりました。あなた様に、を委ねます」

それきり、彼は何も言ってこなくなった。

「ユリウスくん……」

「大丈夫だ、問題ない」

空気が振する、から凄い勢いで魔力が吸い取られていく。

式の複雑さに目をむく。

『一度見ただけで式を理解するとは。見事じゃぞ、勇者よ』

俺のにいる魔王が、驚嘆したように言う。

『しかし功難易度は恐ろしく低いぞ』

「ゼロじゃないなら大丈夫さ」

超高度の魔法陣が展開する。

莫大な量の魔力がダンタリオンに流れ込んでくる。

「転生ののコツは、強い思いだ。それには答えてくれる。ダンタリオン、おまえは何をむ?」

「わたくしは……わたくしは!」

ぎゅっ、とダンタリオンが強く目を閉じて、ぶ。

「皆さんと、ユリウス様と、ずっとずっと幸せに暮らしたい!」

の祈りが、を完させる。

そうだ。あのときも俺は、平穏に暮らすことを強くんだ。

大魔法が発する。

それは青白いの柱となって、天を貫いた。

まばゆいがいつまでも周囲を照らし、しかしフッ……と唐突に消える。

その場には、何も殘っていなかった。

「そんな……儀式は、失敗だったの?」

『勇者の時のように、別の時間軸に飛んだ可能もあるのぅ』

「いや、問題ねえよ。ほら」

俺は空を見上げる。

遙か上空から、誰かがゆっくりと降りてくる。

それは、の化とも思えるほど、しいだった。

高い長、艶やかな黒髪に、白い

起伏に富んだは、まるで彫刻のようだ。

「ダンタリオンさん!」

の彼が、ゆっくりと降りてくる。

俺は真下でけ止めて、創生魔法で布を作り出し、彼にかける。

「………………え?」

「よっ、おはようさん」

俺のの中で、彼が目を覚ます。

「うそ……わたくし……生きてるの、ですか?」

「おうよ。生まれ変わったみたいだな。どうやら人間に。そうんだのか?」

じわ……とダンタリオンが目に涙をためる。

「はい……わたくし……あなた様と、一緒に、人間として……いたいと。あなた様の……子供を……生みたいと……」

「悪魔と人間の間には子供が生まれないからな……【基本的】に」

俺はダンタリオンの涙を、指で拭ってやる。

「ちゃんと約束守ってくれよな」

「え……?」

「生まれ変わったら、嫁にしてくれって、おまえ言ってたろ?」

「あ……」

かぁ、と彼が頬を赤くする。

「でも……あれは……」

「なんだ、噓だったのか?」

ぎゅっ、とダンタリオンはをかんで、ふるふると首を振る。

「わたくしを……お嫁さんに、してくれますか?」

潤んだ目で、不安げな表になっていた彼に俺は笑いかける。

「おう、うちに來い」

は花が咲いたように笑うと、大きくうなずいた。

「はいっ!」

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