《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》147.勇者、晝食を取る

他校の生徒達との競技大會【対校戦】。

3日間にわたる戦いも、いよいよ最終日。

午前の部【寶探し】を終えた俺たちは、晝食を取っていた。

帝國闘技場の控え室にて。

俺たちはテーブルを囲んでいる。

「ふぁにふふぇー。ふぉふふぉふぁふふぁふふぃふぇふふぇふぁー」

義弟の天使ミカエルが、もふもふとサンドイッチを頬張りながら言う。

「ミカ、口にれたまましゃべるな。何言ってるかさっぱりわからないだろ」

やれやれ、と首を振るのは、金髪の年、弟のガイアスだ。

「おう、ちゃんとおまえの活躍、見てたぞ」

「ふぁーい! やっふぁー!」

もふもふと口をかしながら、義弟が両手を挙げる。

「兄さん、ミカの言ってたこと聞こえてたの」

「おう、相手の思考を読んだからな」

「ナチュラルに頭の中のぞかないでよ……って、まさかボクの思考も読んでないよね!?」

「え、なんで焦っているんだよおまえ?」

フンッ! とそっぽ向くガイアス。

そこへ、長が、俺たちの元へやってくる。

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「皆さん、お茶がりましたよ♡」

「おう、ダンタリオン。悪いな」

黒髪、長、メリハリのあるボディが特徴的な、彼はダンタリオン。

もともと他校の選手であったが、ゆえあって今は俺の嫁だ。

ちなみに悪魔だったのだが、いろいろあって今はただの人間になっている。

テーブルの上に人數分のお茶を置く。

「さぁ、ミカさん、お茶ですよ。苦くないミルクティーでございます」

「ふぁーい!」

義弟はダンタリオンからティーカップをけ取り、ごくごくと飲み干す。

「ありがとー、あねうえ~!」

ミカエルはすっかりダンタリオンになついている。

抱きついて、そのかなに頬ずりする。

「うんうん、仲良きことは良いことだ」

「ぼくあにうえとも仲良い~!」

バッ……! とミカエルが今度は俺に抱きついてくる。

「ちょっとミカ! 離れろよ。兄さんが晝飯食えなくて困ってるだろ!」

ぐいぐい、とガイアスが引き剝がそうとする。

「べつにこまってなさそーです。がいあすは誰かがあにうえと仲良くしよーとすると、すーぐ怒るです。嫉妬です?」

「ち・が・う・バカ! もう! 離れろ~!」

「いーやー!」

もみくちゃになっている俺たちを見て、ダンタリオンが「腐腐腐……♡」と笑う。

「ああ……しき兄弟……♡ すばらしいです……♡ 今日のおかずにしますね♡」

「何にする気だよ! もうっ!」

その様子を見守っているのが、エルフのエリーゼと、極東の姫さまサクラだ。

「ダンタリオンはんもすっかりウチらの仲間りってじやなー」

「そうだねー……」

「ええの? エリーゼ? ライバル増えてんで?」

「友達が幸せそうだから、いっかなって」

エリーゼは特にダンタリオンと仲が良い。

この対校戦を経て、おのおのの絆と、そして新しい仲間との関係を築いていた。

「ところでユリウスさん……その……どう、ですか? お晝飯……」

もじもじとダンタリオンがをよじって言う。

「おう、すげー味い」

「ほ、本當ですかっ。やった♡」

晝飯はダンタリオンの作ったクラブハウスサンドだった。

「すごい短時間で作ったな。やるなぁ」

「も、もったいないお言葉です……あなたに喜んで貰えて……うれしいです……♡」

はにかむダンタリオンを見て、ガイアスが俺の手の甲を、ぎゅーっとつねってきた。

「え、どうしたおまえ?」

「べ・つ・に! ふん!」

そっぽを向くガイアスを、エリーゼ達が生暖かい眼で見やる。

「いつものやなー」「がいあすはなぜ素直になれないです?」「照れやなんやで」「なるほどツンデレヒロインです?」

「ボクは! じゃ! ない!」

ややあって。

「晝休みを挾んで、いよいよ午後の部。泣いても笑っても最後だ。気を引き締めていこう」

チームリーダーであるガイアスが、俺たちを見渡していう。

「現場を整理しよう。1位の學校には優勝トロフィーとして、膨大な魔力をめた優勝カップ【聖杯】が與えられる。今は帝國が所有しているけど、他校に渡られると困る」

「悪用されると困るからな」

「そう。東部連邦、神聖皇國は転生者だったり悪魔だったりを選手に出している。何を考えてるのかわからないからね」

「けど東部連邦はリタイアしたです?」

3日目午前の競技で、リーダーのダンタリオンが戦う力を失った。

そのほかダメージが大きく、試合続行が困難となって、大會を辭退。

王立、帝國、神聖皇國の3チームで、優勝爭いをする。

「1位は今のところボクたちだ。このまま首位をキープして終わりたい。2位が帝國、3位は神聖皇國の順だね」

「あんちはやる男です。よーちゅーいです」

「それと一番警戒すべきは神聖皇國だ。全員が転生者だし。特にカズマは尋常じゃないレベルで……強いからね。兄さんと良い勝負していたし」

全員が張の面持ちになる。

「え、なにそんな怖い顔してるんだ、おまえら?」

「いや……ユリウスはん並の化けや思うと、當たったときに怖いなー思ってな」

「だいじょーぶ! あにうえがなんとかしてくれる! ね! あにうえ!」

「おうよ。ただ……午後の試合がどうなるかわからん。俺以外がカズマと當たったときは、無理するな」

俺はガイアスを見やる。

「いいな? 絶対無茶はするな」

「な、なんでボクだけに言うのさ……」

「おまえ、負けん気が強いからな。無理しそうで心配だ」

「ぼ、ボクのこと心配してくれるのっ」

「え、當たり前だろ」

だって俺の大事な弟だからな。

「そ、そっかそっか……ははっ! もー! 兄さんは臆病者だなー!」

その様子を、サクラたちが生暖かい眼で見守る。

骨やん」「メスです?」「腐腐腐……♡ よきよき♡ 脳薔薇フォルダーに保存せねばっ!」

「何変なこと言ってるんだよおまら!」

「「「ごめんなさーい」」」

まったく、とガイアスが吐息をつく。

なさすぎるんだよみんな」

「いいじゃんか。あんま気負っても仕方ないしよ」

「ま……そうだね」

と、そのときだった。

『そろそろ午後の部を始めますよぉ~。生徒はグラウンドに集合してくださぁい』

「あ、舊兄上が空気を読まずに會話に割ってってきたです」

「みかやん、理事長相変わらず嫌いなんやなー」

ミカエルの本當の兄は、理事長ルシフェルだ

「皆様、客席から応援しておりますね」

「えー! あねうえも一緒にいこーよー」

いやいや、とミカエルがダンタリオンの腰にしがみついて言う。

「ミカさん、わたくしはリタイアした他校の生徒ですゆえ」

「だってさ。ほらミカいくよ」

「ちぇー……」

ぞろぞろ、と王立の生徒達が外へ出ていく。

「あの……ユリウスさん」

「ん? どうしたダンタリオン」

俺は振り返って、彼を見やる。

すぐ近くにダンタリオンの顔があり、ちゅ……と額にキスをしてきた。

「ご武運を」

「おう、さんきゅー」

微笑むダンタリオンにあいさつをして、俺は部屋を出る。

「…………」

ぎゅーっと弟が、脇腹をつねってきた。

「え、なにしてるのおまえ?」

「べ・つ・に! 仲が大変よろしいことですね!」

ふんだ! とそっぽ向いてガイアスは進んでいく。

「ダンタリオンはん、やばいな。正妻の貫祿ばりばりやん。エリーゼはん、まけたらいかんでー」

「そ、そうだね……が、がんばる!」

「ぼくもー!」

気合いをれ直した俺たちは、いよいよ最後の競技に挑むのだった。

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