《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》150.勇者、トーナメントに參加する
大陸にある4つの學校が競う武の祭典【対校戦】。
參加校は王立學園(俺たち)、帝國學園(アンチ達)、神聖皇國(カズマなど転生者)、そして東部連邦(ダンタリオンなど悪魔)。
3日目。東部連邦は棄権したことで、殘るチームは3つ。
三チームのうち、優勝校には、莫大なエネルギーをめたアイテム【聖杯】が手にる。
帝國にあるグランドにて。
俺たち學生は集められていた。
『はいはーい、いよいよ最終競技ですねぇ~。いやぁ、楽しみですねぇ~』
グラウンド全に響き渡るのは、俺たち學園の理事長、ルシフェルだ。
彼は司會進行役を買って出ている。
『さてこの競技で決著が付きます。現在の順位は、1位・帝國學園、2位・神聖皇國、そして3位が王立學園ですねぇ』
競技ごとにポイントが割り振られている。
それで順位が決定している。
「え!? ちょ、ちょっと待ちなよ!」
俺の可い弟ガイアスが、聲を荒らげる。
「ボクらは1位だったでしょう!?」
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『そうなんですが、先ほど順位の変がありましてねぇ』
「順位の変?」
『王立の生徒がこのコロシアムの建を破壊した、との報告がっておりまぁす』
「なに? だれだ、そんなことやったのは?」
はて、と俺は首をかしげる。
「兄さんでしょ! もう!」
「え、そうだっけ?」
すると帝國の生徒、アンチがやれやれとため息をつく。
「きみ、廊下で僕の背中をぶったたいて、それでそのまま壁を破壊したじゃないか」
「おー、あったねそんなことも」
はぁ……とガイアス達がため息をつく。
「すまん、俺のせいで」
「ま、いいけどさ」「あにうえがやらかすのはいつもどーりです?」「むしろ今まで大人しくて逆に心配やったわ」「大丈夫だよユリウスくん!」
王立のメンバー達、ガイアス・ミカエル・サクラ、そしてエリーゼが許してくれた。
みんなやらしい奴らばっかりで良かったぜ。
『さてユリウスくんがやらかした分のポイントをマイナスした結果、順位が変わったんですよぉ』
「……あれ? 僕たち、今1位……?」
アンチがグラウンドの上部に取り付けられているスコアボードを見て、呆然とつぶやく。
「さすがアンチ様……!」
帝國のメンバーであり、アンチの嫁ノットが、目を輝かせていう。
「わたしたちが1位になれたのも……すべてアンチ様の計畫だったのですね!」
「は?」
するとノットに追隨するように、殘りのメンバー(兼嫁たち。4つ子らしいい)が、みな心したように言う。
「さすがですアンチ様!」「ユリウス様がやらかすことまで計算済みなんて!」「すごすごます!」
嫁達の発現を聞いて、グラウンドに見に來ていた帝國の観客達が沸き立つ。
「え、ええー……」
アンチは汗をかきながら困していた。
「良かったじゃんアンチ。ほら、いつものように答えてやんなよ」
俺はアンチの肩をぽんぽんと叩く。
「ユリウス……ありがとう」
アンチが小聲でつぶやく。
「はて、なぜお禮を言ってるんだ?」
「……君、僕に気を遣って、わざと建を壊したんだろう?」
なるほど、とガイアスがうなずく。
「この3校のなかで一番弱いのは帝國。このままじゃ優勝レースに食い込めない。だから兄さんはペナルティでポイントを減らして、アンチたちが勝てる確率を高めたってわけか」
「おー! あにうえ知將ですー! さすがあにうえ~!」
末っ子の天使ミカエルが、俺の背中にしがみつく。
すりすりと頬ずりをしてきたので、そのふわふわの髪のをでてやった。
「でもなんでそんなことするです?」
「ま、友達に気を遣ったんでしょ。兄さん、超がつくほど鈍だけど……誰よりも優しいからさ」
うーん、さすが俺の弟。
全てお見通しだったってわけか。
「我が友ユリウス。本當に、謝するよ」
「いいって。俺は聖杯が悪い奴に渡らなきゃいいからさ。別におまえらが優勝してもらってぜんぜんいいし」
そもそもの目的は、聖杯という超高エネルギーを、転生者という未知の存在や、悪魔に渡らないようにしよう、というものだったからな。
アンチが手にしてくれれば、それはそれでいい。
今、もっとも聖杯を渡したくないのは、神聖皇國だ。
「…………」
リーダーのカズマが、黙って目を閉じている。
彼は本當に良い奴だ。
だが、3日目、彼らはいつもと様子が違った。
ミカエルを、すわ殺そうとした。
だがそれには理由があった。誰かに、無理やらそうやらされていたのである。
今、皇國が優勝してしまったら、カズマをっている黒幕に聖杯が渡る。
それだけは阻止したい。
逆に言えば、それを阻止できればいいんだ。
「なるほどね。……わかった、僕らも微力ながら協力を……」
『はいはいちゅうもーく。それじゃ、ワタシが最終競技の説明をしますよ~』
「舊兄上はほんとKYです。100年くらい黙っててほしーです」
ミカエルは理事長の弟。
だがあんまり仲が良くないらしい。
『では最終競技を発表しましょう。じゃーじゃん! 【トーナメント】でぇす!』
「「「「トーナメント?」」」」
『今、學校は3チームありますねぇ。そのうちチーム同士でトーナメントバトルを行ってもらいます』
學校対抗のトーナメントか。
あれ? でも3チームあるけど、トーナメントできるのか?
『1位のチームはシードとなりまぁす。よって帝國は決勝戦進出でぇす!』
「「「おおおおおおおおおお! すごい! さすが皇帝の息子だぁ!」」」
観客がアンチに惜しみないコールを送る。
「あーんち!」「あーんち!」「あーんち!」
一方でアンチは「自分のラッキーが怖すぎる……」とつぶやいた後、さらりと髪のをはらって言う。
「ま、當然だね。このアンチ=フォン=マデューカス。皇帝の第一皇子に、見えない未來はないのだよ」
「「「おおおおおおおおおお!」」」
その姿を見て、心したように弟が言う。
「なんか、凄いよね逆に」
「え、あいつは最初からすげーヤツだぞ」
ややあって。
『とゆーことで、まずは王立學園と神聖皇國とでチーム対抗のバトルを行ってもらいます。勝った方が帝國と戦い、そして最終的に勝利したチームが聖杯ゲットということになりまぁす』
「チーム対抗って……的にどうするんだ?」
『チームはそれぞれ先鋒、次鋒、中堅、副將、大將を選出し、1対1を5回やってもらいます。勝ち星3つ取ったチームの勝ちですね』
「あれ、でも皇國は4人しかいないぞ?」
神聖皇國は、前の試合でひとり落して4人になっている。
一方で俺たちは5人フルメンバーだ。
『皇國は二度、同じ人が戦ってもらいまぁす』
「なるほど……それで帳を合わせる訳か」
ともあれ、俺たちは最後の競技、トーナメントバトルに挑む。
最初の敵は神聖皇國。
カズマのいる、転生者達のチームだ。
「なんとしても、勝たないとね。兄さん」
帝國では神聖皇國に勝てない。
俺たちがここでカズマ達を下す必要がある。
「大丈夫……かな」
不安げな弟に、俺は笑ってみせる。
「勝てるさ。俺たちならな」
こうして、最終競技がスタートするのだった。
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