《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》151.勇者、嫁から敵の事を聞く

対校戦最終日、トーナメント。

俺たち王立と、神聖皇國とのバトル。

始まる前に、出場順番を考える時間が與えられた。

俺たちは一度、控え室に戻る。

「ユリウス様」

部屋で待っていたのは、ロングの黒髪に、白のダンタリオン。

元は東部連邦の主將(キャプテン)にて、悪魔だった彼

々あって今は人間に転生し、俺の嫁になっている。

「あ、あねうえです。あねうえ~」

義弟ミカエルが、笑顔でダンタリオンのに飛びつく。

のそのかなにミカエルが顔をうずめて、ぐりぐりする。

ダンタリオンは嫌がらずに、義弟のふわふわとした髪のをなで回す。

「こらミカ! やめろよ! に失禮だろうっ!」

「がいあすはかたぶつです?」

べりっ、とガイアスが義弟を引き剝がす。

「すまない」

「いえ、遠慮せず。わたくしたち家族ではありませんか。ね、ミカエルさん?」

「おー! あねうえわかってるー!」

やれやれ、と弟がため息をつく。

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うんうん、仲がよくって大変結構だ。

「それでダンタリオン。どうしたんだ。まさか俺がしくって會いに來たのかい?」

冗談で言ったつもりだった。

「……………………」

かぁ……とダンタリオンが耳の先まで赤く染める。

「兄さん、聞いてて恥ずかしいんですけど?」

げしげし、とガイアスが俺の足を蹴る。

「がいあす、やきもちです?」

「違う」

「あねうえに嫉妬とかそれもう完全にめすのそれです?」

「ち・が・う!」

ぐにーっと、ガイアスが義弟のほっぺたをばす。

「……申し訳ございません。おいやでしたか?」

「え、なんで? 全然嫌じゃないし、むしろお前と會えてうれしいよ」

「まぁ……」

顔を真っ赤にして、ダンタリオンが口元を隠す。

「……わたくしも、あなた様に會えてうれしいです」

「おうそうか。じゃんじゃん會いに來て良いんだぞ。家族だしな」

みるみるうちにダンタリオンの顔が赤くなっていく。

「え、どうした? 熱でもあるのか?」

「「「はぁ~……」」」

エリーゼとサクラ、そしてガイアスがため息をつく。

「兄さんってやつは」「ユリウスはんってやつは」「ユリウス君らしいね」

苦笑する三人。

「え、なに? なんなの?」

「はいはい。ところでダンタリオン。何か用事があったんじゃないの?」

ガイアスが言うと、ダンタリオンが気を取り直したように言う。

「そうです。わたくし、聞いてしまったのです」

「聞いた? 何を?」

ダンタリオンは一転して、真面目な顔で言う。

「神聖皇國の學園長が、カズマさんたちを脅しているのを」

が聞いたことを、俺たちに共有する。

「ユリウスさんたちを応援しに行こうと、控え室の廊下を歩いているときでした。皇國の學園長が生徒達を集めて、何かを話していました」

気になって聞き耳を立ててみたらしい。

「……結論から言いますと、皇國の學園長は、カズマさんたちに【呪い】をかけております」

「呪い……だって……?」

ガイアスが目を丸くする。

……やはりか、という思いの方が強かった。

「ダンタリオン。元悪魔のお前から見て、カズマ達のかけられている呪いは、どの程度のものかわかるな?」

「ええ。あれは、【服従の呪い】。者の命令を破れば、命を落とす強力な呪でございます」

「なんやの……それ……じゃ、じゃあ……カズマ達は、學園長に無理矢理言うことを聞かされてるっちゅーわけか!」

サクラが憤る。

王立のメンバー達には皆、同様に怒りの表が浮かんでいた。

「……どうりで。あの気の良い彼らが、急に態度を変えたから、おかしいって思ったんだ」

最終戦の前、カズマは話しかけようとしたミカエルを殺そうとした。

あれはやはり本心じゃなかったのだ。

……なんて野郎だ。

「かずまにひでーことする、あいてがゆるせないです!」

「……ルシフェル學園長に報告しよう。さすがに看過できないよ」

「いや、ダメだ」

俺が首を振ると、みんなが目を剝く。

「なんでだい、兄さん」

「服従の呪いの厄介なところは、【者すら呪いが解除できない】ところにある。問い詰めたところで皇國の學園長が解除できない。最悪とぼけられる」

そして呪いを発させ、カズマたちが死ぬ危険がある。

「そんな……じゃ、じゃあもうかずまは、しぬしかないです? ……悲しいです」

落ち込むミカエルの肩を、ダンタリオンが優しく叩く。

「大丈夫ですよミカエルさん」

「でも……」

「わたくしたちには、不可能を可能にする殿方がいるではありませんか。ね、ユリウスさん?」

ダンタリオンのらかな視線と、みなの期待のまなざしが向く。

「ああ、俺に任せろ」

メンバー達の表が明るくなる。

「確かに兄さんならなんとかできる……そうだよね」

「あたりまえです! あにうえを、だれとおもってるんです? あにうえですぞ!」

「ミカやん何言ってるんかわからんけど……ま言いたいことはわかるで」

俺は皆の顔を見てうなずく。

「よし。じゃあ皆に協力してもらいたいことがある。耳を貸してくれ」

メンバー達に俺の立案した【作戦】を伝える。

なるほど、とみんながうなずく。

「よし、兄さんの案でいこう。異論ないね?」

「「「もちろん!」」」

ややあって。

『はいそれでは、試合をはじめますよぉ~。グラウンドに集まってくだぁさぁい~』

ルシフェル學園長のアナウンスが聞こえる。

俺たちは部屋を出る。

「ユリウスさん」

一人殘ったダンタリオンが、しだけ、不安げな表で見上げてくる。

「そんな顔すんなって。人が臺無しだぜ」

「……おやめください。恥ずかしいです」

「え、何が?」

「……もう」

一歩ダンタリオンがでて、俺の頬を両手で包む。

軽いキスをして、微笑む。

「ご武運を」

「おうよ。んじゃ、いってきます」

振り返ると、不機嫌そうな顔のガイアスが俺をにらんでいた。

「どうした?」

「別に」

「いや別にってことはないだろ」

「べ・つ・に! ふんだ!」

ガイアスが俺の足を蹴って、先に走っていく。

「あにうえ……ぼく最近思うです。がいあすは、あねうえです?」

「何言ってんだお前?」

まあ何はともあれ、俺たちは試合に挑むのだった。

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