《【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、學園で無自覚に無雙する〜》155.ガイアスVSカズマ
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ガイアス=フォン=カーライル。
転生勇者ユリウスの雙子の弟。
彼は今、対抗戦の最終試合に臨んでいる。
相手は神聖皇國の対象……カズマ。
彼は転生者だ。
尋常じゃない力を持っており、あのユリウスに近い力を持っている。
正直、ユリウス以外太刀打ちできる相手ではない。
それでもガイアスは試合に臨む。
兄から託された。
この試合を勝て、と。
ガイアスは試合會場の中央に向かう。
彼らが行うのは、1対1の戦い。
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対抗戦の今のルールは、5対5の試合。
先に3勝すれば勝ち。
だがすでにエリーゼとサクラは負けている。
義弟ミカエルが勝利したが、未だ劣勢を強いられている。
自分が、勝たねば負けてしまう。
負ければ、対抗戦の商品である、聖杯が敵の手に落ちる。
星杯。強大な力をめたアイテム。
神聖皇國の校長は、それを使って悪事を働こうとしている。
なんとしても、勝たねばならない。
このカズマを……本気の転生者を打ち倒して。
「やぁカズマ。ごめんね、兄さんじゃなくて、ボクが相手することになって」
ガイアスの目の前には、一人の大男が立っている。
カズマ。
彼は異世界よりこの世界へと渡ってきた、転生者だ。
ユリウスもそうだが、転生者は皆、特別な力を持っている。
カズマもまた、異次元の剣、そして炎をる力を持っている。
彼の背中には、1本の野太刀。
一方でガイアスは腰に2本の片手剣を攜えている。
彼の持つ野太刀とくらべると、なんと小さく、そして細く、頼りなく見えるのだろう。
だが、これが自分の武だ。
ユリウスからもらった、最高にして最強の……無雙剣。
「…………」
カズマの表は暗い。
彼はいつも笑っていた。
どんなときでも笑っていた。
不正を許さず、友のために怒る、いいやつだった。
だが……変わってしまった。
兄ユリウスによると、呪いをかけられているらしい。
しかも、家族を人質に取られてるとのこと。
それをなんとかするために、兄は裏でいている。
だがそれを口にすることは、できない。
計畫は裏に遂行されているのだから。
「悪いけど……勝たせてもらうよ」
「…………」
ゆらり、とカズマが野太刀を抜く。
魔力を込めてるわけじゃないのに、その刃は赤く輝いている。
炎……ではない、熱だ。
ガイアスにはわかる。
恐るべき熱を、あの刃はめている。
まともにかち合えばどんな敵も一刀両斷できるだろう。
「行けるな、セイバー」
『無論です、マスター』
ガイアスは2本の剣を抜いて構える。
右手に炎の刃、左手に、氷の刃。
二屬の雙剣、それが、兄のつくりし無雙の剣。
『それではぁ……試合……開始ぃ!』
理事長ルシフェルの合図とともに、戦端が開かれる。
ガイアスは闘気《オーラ》を使いを極限まで強化する。
をめ、一気にカズマの背後を取る。
「シッ……!」
ガイアスは雙剣による一撃を放つ。
それは瞬きするよりも速い斬撃。
がきぃいいいいいいいいん!
「素手でけ止めるとか……! 化けかよ!」
カズマは野太刀を持ってない手で、ガイアスの雙剣をけ止める。
腕が……しびれた。
なんだこの堅さは……! とガイアスは驚愕する。
鉄なんてものではない。
神威鉄《オリハルコン》……いや、それ以上の堅さを持つ。
「ぬぅん……!」
カズマが手に力を込める。
刃を砕くつもりだ。
ガイアスは剣を引き抜こうとする……。
だが……!
「うごか……ない!」
世界樹につきささったかのごとく、刃が引き抜けない。
ばきんぃいん! と音とともに、ガイアスの雙剣の刃が砕ける。
「がいあすー!」
大けがを負ったミカエルが、を起こし、ガイアスを心配そうに見ている。
だが……ガイアスは笑った。
そんな顔するな、と。
「なにっ!?」
カズマは驚愕する。
折れたはずの刀。
だが鍔のあたりから、新しい氷と炎の刃が生える。
「せやぁあああああああああああああ!」
ガイアスはそのまま連撃を放つ。
炎、氷の目にもとまらぬ舞。
カズマは勢をととのえようと、代しようとする。
だが……。
「ぬっ!」
がきっ! とカズマの下半が一瞬で凍り付く。
「遅い! せやぁあああああああああああ!」
ガイアスはあらかじめトラップを張っていたのだ。
地面に氷の魔力をためておき、踏んだ瞬間に発した。
けない間にガイアスが、右手の炎の剣でカズマに斬りかかる。
野太刀とぶつかり合う。
がきぃいいいいいいいいいいん!
「なっ!?」
カズマが驚愕する。
彼の持つ刃は、超高溫のもの。
れたをすべて溶解させるほどの熱量をめていた。
だがそれと互角に、ガイアスは打ち合っている。
がきんっ! ぎんっ! きんっ! きんっ!
「悪いねカズマ。ボクだって鍛えてきたんだ……」
最初に刃を折らしたのは、わざとだ。
ガイアスのこの無雙剣は、持ち主の魔力を吸って刃が形される。
魔力量が多ければ多いほど、度が濃ければそれだけ、固い刃が生される。
ガイアスは一度相手に折らせることで、剣は折れるのだと、油斷させた。
二度目のときは、それ以上の強度の刃を生して、野太刀を防いだのだ。
なぜそうしたのか?
意表を突くためである。
「セイバー!」
いつの間にかガイアスの氷の剣がない。
カズマの死角から、長の執事服を著た男が現れる。
「破ぁ……!」
掌底による一撃。
カズマは一瞬よろける。
セイバーは剣の神。
人間の姿になることが可能なのだ。
カズマの意識が左手から離れた一瞬をついて、ガイアスは人間に戻しておいた。
そして完璧な不意打ちをかましたのだ。
「戻れ、セイバー! いくぞ……!」
ガイアスは両手の剣を天に掲げてぶ。
「【霊裝展開】!」
霊裝。それは、霊など、霊的存在と一化することで、神に等しい力を得る……超技能。
カズマをはじめとした、転生者達。
そして兄が使える、剣の究極奧義。
霊裝。
かつてガイアスは、完全なる霊裝を會得できていなかった。
だが……そこにいたのは。
右半に赤いを、左半に青いをまとった、ガイアスの姿。
「ガイアス君!」
「完全な霊裝を……會得してたんやな!」
「やるです、がいあすー!」
エリーゼ達が驚愕する。
ユリウスと同じ領域に、ガイアスが到達したと言うことだから。
彼らは知っている。
ガイアスは、いつも転生勇者たるユリウスの何歩の後ろを歩いていたのだと。
だが、いつの間にか、ユリウスと同じ高みにまで上り詰めたのだ。
「まだ……あの人には遠くおよばない……けど! 同じステージには立てた!」
勢が崩れている、今がチャンス。
ガイアスの手には1本の長剣が握られている。
七の……オーロラの輝きをめたこの剣。
それは、すべてを消滅させる刃。
「いくぞカズマ! せやぁああああああああああああああああああああ!」
ガイアスは……を超える。
常人達の視界から消えた。
恐ろしい速度で、カズマに連撃をかます。
カズマはそのすべてを野太刀でけてる……だが。
「! 見てみぃ! 野太刀が削れてるで!」
すべてを溶解させるはずの、カズマの野太刀が、徐々にすり減っているのだ。
がぉん! がぉん! という不思議な音とともに、會場の地面が削れていく。
「! 見て! 結界が! 観客達を守る、ルシフェル理事長が張ってくださった結界が削れている!」
恐るべき結界をすらも削り取る……否。
消し去るほどの威力を持った刃。
あれこそが、ガイアスが到達した一つの境地。
「これが極の剣……アウロラ・カリバーだぁああああああああああ!」
ガイアスが高速の剣をとめて、最大の一撃を放つ。
恐ろしいまでのしいオーロラの斬撃が、カズマに直撃する。
どごぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!
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