《【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔の探求をしたいだけなのに~》06
「畏まりました。そのようにお伝えしておきましょう」
ガウスは頷きながら返答した。
「よし! それじゃ、朝食も食べたことだしそろそろ出かけるよ」
エインズは立ち上がり、軽く叩きながらパンツのシワをばす。
「これからどちらまで行かれるのですか?」
「うーん。決めてないけど、どこかいい所はない?」
「いい、所ですか……。魔の探求も兼ねているのでしたら」
「王都が良いのでは?」
橫で控えていたソフィアが答えた。
「王都? なにかあるの?」
「はい。王都には魔學院がございまして、魔法の腕に覚えがある者や、魔師を志している者が集まる地でございます」
王宮もありサンティア王國で一番栄えている地にございます、とソフィアは結んだ。
「魔學院! いいね、それ。そんな素晴らしいところがあったのか。僕もそこに行って學んでみたいな! ああ、こんなことならもっと早く森を出て、その魔學院に通っていればよかった……」
「いえ、エインズ様が學べることがあるとは、……到底思えませんが」
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今更、魔神と稱されるエインズが何を學ぶというのだ。逆に教えを乞いたいほどであるとソフィアは思った。
「ありがとうガウス団長。これからとりあえず王都に向かってみるよ。王都の……?」
「王都キルク、です。案にソフィアを付けましょう」
「え、1人で大丈夫だから」
ソフィアの緒不安定なところを見たエインズは、同行を許したくない。
「ソフィアがいれば、何かとキルクでも融通が効きましょう。それに旅の資金に困らないよう、援助も致しましょう」
「ええぇ!? お金までもらっちゃっていいの? さっきまで怪しい人って疑われてたのに、この変わり様、怖いんだけど?」
「そ、それは本當に失禮しました。ですが、この寫本のおかげで、私たちはかな生活が送れています。言うならば果報酬と思って頂ければ」
「……まあ、シリカに「私は姉だ。姉の威厳がどうのこうの」と、無理難題を押し付けられたりして馬車馬のように魔法を書き記していたのも事実だし。それに無一文だからお金に困っていたのも事実だったしね。ありがたくけ取っておくよ」
死んだ目をして、シリカからの仕打ちを思い返すエインズ。
そんなエインズを見て、ガウスとソフィアが「「(まさか聖人シリカ様がそんな暴なことを)」」と想像もつかない様子である。
「よし、善は急げだ。ソフィア、すぐに準備してくれよ。この一分一秒で魔法は進化しているんだから。僕たちも取り殘されないようにしないと」
「はい! すぐに準備します!」
「うん。外の空気でも吸いながら待ってるよ」
エインズは先にドアを開け、外に出て行った。
ソフィアも準備をして、ガウスと軽く今後について話をした後、エインズのもとまで駆けつける。
「よし、ソフィア。僕にとっては數年ぶりの外の街だ! 文化も魔法も思う存分に満喫しようじゃないか!」
義足を軽快に鳴らしながら歩きだす。
ジャケットの空の右腕と長く腰まで流れる銀髪を風に揺らめかせる。
「は、はい!」
ソフィアもその背中を追って歩き出した。
謎多き魔師、魔神『銀雪のアインズ』が王都キルクに向けて旅立った。
エインズはソフィアを連れて旅立つ。
とりあえず、騎士団本部に向かう道中に見かけた店を散策した。
気になっていた店を十分に満喫した後、徒歩にて王都に向かう。
「それにしてもガウス団長が言ってたように、実際ソフィアって王都で々と融通利くの?」
橫に並んで歩くソフィアに尋ねる。
「そうですね、『私』がというわけではなく、『銀雪騎士団』がといった方が正確ですかね」
「どうして?」
「銀雪騎士団は魔導書や『銀雪のアインズ』様のおかげで魔法の知識やその処理に長けた者が多くいます。ですので、魔獣討伐や他國との爭いにおいて貴重な戦力として重寶されるのです。それもあって、王都での『銀雪騎士団』に所屬する騎士は融通が効くのです」
「なるほどね。……って、『銀雪のアインズ』って誰?」
エインズとしては初めて耳にする単語だ。
そして、騎士団と同じ「銀雪」という言葉も含まれており、「様」をつけて呼ばれていることからとても偉い人なのだろうと推測した。
「……あっ。えっと、とても偉大な魔師の方です。魔神とも稱されていて、知らない人はいないほど有名な方です」
「へえ。そんなすごい魔師がいるんだね。やっぱり世界は広いもんだ。僕も會って、教えを乞いたいものだね」
エインズは帯剣していた剣を手に、前を遮る木の枝を切りながら進む。
ソフィアはその橫で、エインズに真実を伝えられないもどかしさにため息をついた。
旅経つ前に、ガウスから言われたのだ。現在、エインズは魔の探求に行き詰っているが故に気分転換を兼ねた旅。余計なことに思念してほしくないのだ。
「恐らくエインズ様はお會いなれないと思いますよ」
だって、本人なのだから。
「はあ。僕程度の魔師では會ってもくれないのか……」
そうとは知らず、エインズは一人落ち込む。
ソフィアもこのまま話を続けていても好転するとは思えなかったため、話題を変える。
「エインズ様、ふと疑問に思ったのですが」
「うん? なんだい?」
「エインズ様は魔師ですよね。どうして帯剣なさっているのですか?」
ソフィアが話している間もエインズは剣を振っている。
しかも振りが素人のそれではない。しっかりと剣をにつけた者による磨き抜かれた振りなのだ。
剣に研鑚を積んでいるソフィアである。枝を斬っているエインズの振りを見ただけである程度の技量は測れる。
「(流派は違いますが、私と同格、もしくは……)」
「ああ、これね。魔師といっても剣の便利さも理解しているからね。魔法が得意だからといって、剣を疎かにはしないよ。それにをかすことは魔にもつながるからね」
「そういうものなのですか。騎士であり剣士である私にはあまり理解できないところです」
銀雪騎士団として、魔法に関して知識や対処法を知っている。しかし剣が魔につながるとはソフィアも初耳だ。
「いい所にいたじゃないか」
エインズが目を向けた先には、大型のアーマーベアがいた。
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