《【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔の探求をしたいだけなのに~》9.5
いつも閲読頂きましてありがとうございます。
今回の容ですが、第2章の0.5話と半分同じ容となっております。
そのため、お晝頃に次話投稿させて頂きます。
引き続き、閲読して頂けると嬉しく思います。
を抱えた年が座っており、そこを通り過ぎる際に年が聲をかけてきた。
「どうか、どうか……。妹を助けて下さい!」
エインズ達は立ち止まり、年を見る。
年は涙を流し切った後で、涙はすでに止まっており、頬には乾いた跡、目元は赤く腫れていた。
ライカが年と腕の中のを見やる。すぐに狀況を理解したのだろうか、を噛んで黙る。
「……ごめんね。今は、助けられない。でも! 向こうの爭いから戻ってきたら……」
戻ってきたら助けてあげられる。しかしライカはその続きを言えなかった。
ただし、それまでに命が殘っているとは思えなかったからだ。
「で、でしたら、ポーションを! 治癒魔法だけでも!」
年は膝を地面にらせて3人ににじり寄る。
Advertisement
「ポーションは、あるには、あるんだけど……」
「どうか、その1本を! ……半分! ひ、ひとくち分だけでも!」
「それは……」
何本かポーションは殘っている。しかしそれは向こうで戦っている騎士たちのために殘しているだ。
「でしたら治癒魔法を!」
「……この傷からすると、かなり高度な治癒魔法じゃないと助けられない。それができるのはサンティア王國でも數人で、ここには……」
ライカは言葉に詰まりながら年に素直に答える。きっと橫にいるエインズならばを救えるかもしれない。しかし彼には、重軽癥合わせて數百の騎士や魔法士の治癒と魔師に対抗してもらいたいのだ。そうなれば魔力の枯渇に繋がってしまうかもしれない。
「ぼ、ぼくは? 僕が魔法をやってみるから! その魔法を教えて下さい!」
「わ、私には……」
「君はその妹を助けたいの?」
エインズが間から口を挾んだ。
「は、はい!」
「どうしても?」
「はい!」
エインズは年をじっと見つめ、その真意を確かめる。
誰にも気づかれない一瞬だけ、エインズの右目が赤くった。
「2人は先に行ってて。ポーションはソフィアに任せるよ」
エインズはアイテムボックスから小さな革袋を取り出し、ソフィアに渡した。
「で、でもそれだと、向こうが」
「僕が行くまで持たせてよ。ポーションはその袋にけっこうな數っているから時間は稼げるはずだよ」
「そんなの……」
「それができないとしても僕はこの年の相手をしてからじゃないとそちらには『行けない』。ソフィア、任せるよ?」
「承知しました」
ソフィアは短く答え、ライカの腕を摑むと喧騒のもとへ足をかした。
年もどうやらエインズの外見を不気味に思っているのか、どこか張していた。
「あなたは、魔法士なのですか?」
「いや、違う。魔法は得意だけど、魔法士じゃない」
「えっと……」
「魔法士じゃなくて、魔師をやっているよ」
そこからエインズは、年に魔法の才能がないので治癒魔法を教えても年には使えないことを説明する。
だが、しかし、
「——、『魔』を扱う素質はいくらかある。だから君に、魔の知識を授けよう」
「それでいもうとは助かる?」
「助けるのは君だ。ただ、助けられるほどの知識と力を與えることを約束しよう」
「ぜひ! いますぐに!」
「この狀況を見る限り、きっと君の妹は死に逝く運命なんだろうね。君はその運命を、その世界に干渉して歪ませることになる。そこには対価が必要だ」
「たいか……」
年は一瞬恐怖をじたが、すぐに決心したような表を作った。
「ちがうちがう。対価に君の命をもらおう! とか言わないよ。悪魔じゃないんだから」
エインズは「悪魔っぽいってよく言われるけど」と空笑いする。
「それじゃなにを?」
「君がこれから扱う代は『魔法』ではなく『魔』だ。誓約を立ててもらう。魔法的センスを持ち合わせない君が立てる誓約はかなり厳しいものになるけど、やめるかい?」
年は、その『誓約』とはなんなのか見當もついていないようである。しかしその目を見る限りにやめるといった答えはないようにエインズはじた。
「君の名前を教えてくれるかな?」
「……リート」
「リート、か。よろしい。では、魔師エインズ=シルベタスが誓約のもと、リートに魔の知識を伝授しよう」
○
その頃、ソフィアと彼に腕を引っ張られながら歩くライカが先を急いでいた。
「だけどいいの? エインズがいないと厳しいわよ、相手は魔師なんだし」
「すでにポーションは頂いております。これで、騎士の皆さんは救えるかと」
「回復しても、すぐにきを拘束する魔法でやられてしまうって言っているのよ」
ライカはソフィアに不満口調で話す。
たしかにライカの言っていることは正しい。仮にエインズから預かったポーションで味方の騎士や魔法士が戦える狀態にまで戻ったとしても、魔師の魔法への突破口が見つからない限り、同じ轍を踏むことになってしまう。
さらに、敵の魔師がまだ見せていないだけで、隠し玉の一つや二つまだ隠しているかもしれないのだ。それを使ってくるとなると戦局はさらに厳しいものになるだろう。
「私は銀雪騎士団の騎士です。エインズ様ほどではありませんが、魔法への知識や対処方法には長けている自信があります」
ソフィアは顔を一切変えずにライカに返す。
ライカも銀雪騎士団の実力については耳にしている。銀雪のアインズの育った地、魔法発祥の地と言われるほど、そこにおける魔法文化はすごいものだ。魔法士の実力はもちろんのこと、騎士団の剣士ですら魔法知識に長けており、対魔法士においても絶大な力を発揮する。
それもこれも、『原典』の副本を大量に管理しており、日々研究が行われると同時にその対処法についても研鑚を積んでいるからせるのだ。
「もちろんソフィアさんには期待しているんだけど……、」
敵の魔法が、果たして銀雪騎士団の騎士一人で対処できる程度の者だとは思えない。
「どうであれ、エインズ様があのように言っているのです。となれば、私はエインズ様に言われた通り、彼が來るまで持ち堪えるのみです」
ソフィアの決意は固い。
ライカは知らないが、ソフィアは知っている。現代の多くの魔法士から崇拝されている『銀雪のアインズ』こそがエインズ本人であることを。
そしてその方からの初めての頼みなのだ。なんとしてもし遂げなければならない。
「……まずは自分が相手の出鼻をくじいてみます。ライカ様にはその魔師がどこにいるのかを教えて頂きたいのです」
「分かったわ。どのみち元々なかった助けだったのだし」
喧騒が段々と近づいてきている。
戦いの熱気がじられ、錆びた鉄の匂いが鼻につく。
「ライカ様、そろそろ抜けますよ」
木々を抜けると、視界いっぱいに戦場が映し出される。
【大切なお願い】
しでも
「面白い!」
「続きが気になる!」
「更新がんばって!」
と、思ってくださったら、
ブックマークと広告下↓の【☆☆☆☆☆】から
ポイントをれて応援して下さるとうれしいです!
TSカリスマライフ! ―カリスマスキルを貰ったので、新しい私は好きに生きることにする。―
【イエス百合、ノーしりあす!】 好きな人を守って死んだ男子高校生が、前世と同じ世界でカリスマ溢れる美少女として転生! 前世の記憶と神様からの恩恵を使って、彼女は前世では出來なかったことを送っていきます。 妹や親友たちに囲まれて幸せな日々を送る、ほんわかユルユル女の子たちのハートフルコメディです。 全編、女の子たち(主人公含めて)が楽しく日々を描いております。 男はほとんど登場しません(ここ大事)。 頭を空っぽにしても読める、楽しい百合を目指しています! 前書き後書きは最新話のみ表示しています。 ※現在一話から読みやすいよう修正中、修正後の話には『第〇〇話』と付けております。 ※小説家になろう様・カクヨム様・アルファポリス様にも投稿しています。
8 158わがまま娘はやんごとない!~年下の天才少女と謎を解いてたら、いつの間にか囲われてたんですけど~
―――― この作品は、ヒロインの女の子のかわいさをお楽しみいただくための作品です。 冴えないけど誠実な主人公が、最強スペックだけど性格が殘念なヒロインに口説きまわされつつ、一緒に正體不明の妖怪「ヌエビト」の正體を明らかにしていきます。 そのため、マイルドな會話と少しのミステリー成分を含んでおります。 謎解き、のじゃ口調、積極的な女の子が苦手な方は、食中毒にご注意の上でお読みください。 大丈夫、死ぬことはありませんから。 ―――― 2017.4/3~4/5 日間ジャンル別推理ランキング1位になりました。 2017.4/5~4/9 週間ジャンル別推理ランキング1位になりました。 2017.12/31 本編完結しました。 第二回モーニングスター大賞「社長賞」頂きました。 本當にありがとうございます! ―――― 表紙のイラストは「ぶわる」様に描いていただきました! 作中の地図はINKERNATE WORLDs(https://inkarnate.com/)様で作成しました。
8 172男女比がおかしい世界に飛ばされました
主人公の禮二がトラックに轢かれてしまい、起きると男女比が1:100という女性の方が多い世界だった。その世界では、男性はとても貴重で目の前に男性がいると、すぐに襲ってしまうほどだ。その世界で禮二は生きて行く....。 基本的には小説家になろうの方で活動しています。(違う作品を出していますが) なので、とても更新が遅いですが、見てくれると嬉しいです。 多分二週間に一回のペースだと思います。……恐らく。………恐らく。早い時と遅い時があります。
8 147異能がある世界で無能は最強を目指す!
異能がある世界で無能の少年は覚醒する
8 84IQと反射神経と運動神経人外がVRMMOやったら!チートだった件
IQと反射神経と運動神経が人外の少年がVRMMORPGをやったら、ヌルゲーになった話
8 189問題が発生したため【人生】を強制終了します。 → 『精霊使いで再起動しました。』
女性だけしかなれない精霊使い達の物語--- ――その國の王となるには、次期王候補者と精霊使いは、四つの屬性の大精霊と大竜神の祝福を受けなければならない。 『ニュースです。昨夜、銀座のビルのテナントの一室で起きた爆発事故で、連絡が取れなくなっていた従業員とみられる男女四人の遺體が発見されました。』 女子大生のハルナはMMORPGにどっぷり浸かった生活を送っていたが、PCパーツ貧乏となり親族のお手伝いで夜のアルバイトへ。不慮の事故により異世界へ転生し、精霊と出會う。 ハルナは失蹤した精霊使いの少女と似ていたため、この世界の事情に取り込まれていくことになる。
8 198