《【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔の探求をしたいだけなのに~》01
朝食を済ませたソフィアは一旦、支度のため客間に戻った。
整ったなりで朝食を取っていたソフィアに何の支度があるのかと、エインズは訝しんでソフィアの退出していった方を見ていると、リステに注いでもらった紅茶を飲んでいたライカが含みのある笑みを浮かばせる。
「ふふっ。エインズ、きっと後でびっくりするわよ?」
「ええ。素材が良いとちょっと手を加えただけで驚くほどに見違えります」
リステがライカに相槌を打ちながら、テーブル上の空いた食をワゴンに移していく。
「僕が、驚く?」
二人のやり取りに皆目見當もつかないエインズは謎が深まるばかり。
「さてと、わたしもそろそろ準備してキリシヤの所に行かなくちゃ」
ライカはナプキンで口元を拭き、ダイニングを後にする。リステはダイニングから退出する際に、エインズに靜かに會釈をしてライカの後を歩く。
「……なにか分かる?」
「……」
エインズは後ろに控えているメイドに聲をかけてみるが案の定返答はなく、姿勢崩さず靜かに直立していた。
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コーヒーを飲み干したエインズが玄関前の広間の方でソフィアを待っていると、張した様子で聲をかけられた。
「エ、エインズ様。お待たせいたしました」
「うん? 支度はもう済んだ、の……?」
エインズが振り返った先には、上をⅤネックブラウスで包み、引き締まった足首が姿を見せるフレアスカートを下に合わせた淑が立っていた。
「……ソ、ソフィア、なの?」
「へ、変でしょうか。やはり私にはこういった裝いは、に、似合わないですよね」
普段は後ろに括っている長い茶の髪も、今は下ろしている。
下ろした髪で見えないが、ソフィアがその恥ずかしさから耳を真っ赤にしているだろうことはエインズには分かった。
ライカとリステが言っていたのはこれのことか、と珍しく帯剣していないソフィアを見ながらエインズは理解した。
「すごいよソフィア! 似合っているし、ライカよりも品のある淑だよ! どこのお嬢様かと思ったよ」
「ありがとうございます。……恥ずかしいですね」
恥ずかしさが殘っているものの、エインズに褒められたことに満更でもない様子のソフィアの赤面した顔は薄く化粧も施されていた。
「その服はどうしたの?」
皺もない真新しい服を、アインズ領を出発した時に持っていなかった。
「昨日リステさんに連れられて街の方で買って頂きました。どうも私の普段の服裝が見ていて息苦しくなるそうでして……」
エインズとライカが魔學院に出発した後、リステは朝から鍛錬をしようとしていたソフィアを捕まえて洋服屋に連れて行ったそうなのだ。
「本來であれば、今日はエインズ様の護衛としてお供するつもりだったのですが、……腰に剣を差していないと若干の気持ち悪さがあります……」
腰の方に目を落とすソフィア。下ろしている髪が肩から前方に垂れる。
ふとした仕草に年上の魅力が現れる。
「別にいいよ。ただキルクを散策するだけだし。張り詰めた様子よりも、著飾ったらしいソフィアと出かける方がずっと楽しいだろうし」
エインズはソフィアの前を歩いていき、玄関を出る。
「ほら、行こうか。今日は騎士とかそんなの忘れて散策を楽しもうよ」
「……ご迷でなければ」
普段は凜とした佇まいだが、帯剣していないと格も変わるのかその控えめなじが奧ゆかしさをじさせる。
「行ってらっしゃいませ」
メイドに見送られながらエインズとソフィアは邸宅を出発した。
王都キルクの東部にある居住區から、いつも人でごった返している一般街區を通り、西部へ進む。
西部は商人が多く住まい、また、商會を展開する商業區である。
居住區より絢爛豪華な外観をしているものもわずかにあるが、多くの商會は一般的な木造の建造に看板で商會名を載せているものばかりだ。
商會の営業方法は、商品を仕れそれを卸す。故に多くの商品が日々出りしている。それが商會の數だけく。
商品を積んだ荷車や馬車、それらが行きう商業區の道は居住區よりも広い幅員を有している。
大きな道幅もあり、中層の共同住宅が並んでいてもそれ程圧迫を與えない。
「一般街區はいつ歩いても、人混みに酔うね……」
げっそりした様子でとぼとぼと歩くエインズ。
「そうですね。し覚悟をしなければ急激に力を持っていかれそうな気がします」
日々厳しい鍛錬に明け暮れているソフィアでも一般街區を抜け、安堵にをなでおろしている。それでも綺麗な姿勢を保ち歩く姿に、すれ違う男は振り返るほどである。
「そういえばエインズ様。どうして西部の方へ行こうと思われたのですか?」
背筋も曲がり、前かがみにゆったり歩くエインズに合わせるように歩幅を調整するソフィア。
「そうだね。魔學院に行ったんだよね。そこでライカやキリシヤさんのような貴族ではない一般の學生をけっこうな數見たんだよ。それが不思議に思ってね」
「不思議とは?」
「ほら、金銭面で裕福だったら家庭教師を雇えるじゃない? だったら學試験にも有利だと思うけど、貴族の子と変わらない魔法技量を持った子もいたんだよね」
「つまり、どのようにしてその知識や技量をに著けたのか。貴族の家庭教師のように子どもに魔法を教える人、もしくは塾のような場所があるのか、と」
「そう、それが気になったんだよ」
エインズは大きくため息を一度吐くと、背筋をばし視線をしっかり目に移して歩く。
そのエインズの橫を大きな荷を載せた馬車が走り去っていく。大きな重量を載せた荷車が石畳を走るため、その振がエインズの足に響く。
これだけ頻繁に馬車が行きうのだ。常に地面が揺れているような覚すら持ってしまう。
「ですが、その方がどこにいるのか、もしくは塾のような所がどこにあるのか見當もつきません。徒労に終わるかもしれませんよ?」
「別に時間だけはいっぱいあるんだしいいじゃない。しらみ潰しに當たってみようよ」
「……それもそうですね」
ソフィアが肩からかけているポーチには、貨がっている。休憩に茶店やレストランでも行ったらどうかと、昨日のうちにカンザスからけ取ったものだ。
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