《【書籍化】隻眼・隻腕・隻腳の魔師~森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神と呼ばれていた。僕はただ魔の探求をしたいだけなのに~》19
彼らを見下ろすように、ゾインの書斎には歴代のソビ家當主の自畫像が壁にかけられている。そのどれもが傑で『ソビ家の呪い』をけずに生き殘った者たちである。
「ゾインよ、良かったのか? ガキの方から縁を切ってきたとはいえ、お前の息子は生きているぞ? 邪魔ではないのか?」
グラスをテーブルに置く。ふんぞり返るようにもたれるが、丈夫なソファはの重を全て包み込むようにしてけ止める。
「邪魔、か。あれはこれまで、私の邪魔にもならなかったんだ。私の邪魔になったのならそれはあれが長したということだ。息子の長を誇らしく思わない親がいるか? うん?」
「呪殺の一家が親を語るとは傑作だ。ゾイン、お前笑いの才にまで目覚めたのか? 今度あたしんところで宴會を開くからよ、漫談でもしておくれよ。チップにお前が便所紙に使っている紙幣を沢山くれてやるよ」
「ふむ。便所紙をもらいすぎても詰まってしまうだけだ。やめておこう」
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そう下らない話を広げたところで、一瞬の沈黙。
そしては口を開く。し真面目な聲で。
「……今後どうする。お前のガキ、ダリアスがお前のもとを離れたのなら、もうやつは思うようにかんぞ?」
話の容が変わったことを察し、ゾインは持っていたグラスを置いて正面からを見て話す。
どこまでも黒く、その瞳の奧に抱えているものを一切他人に見せない、智眼。それがの目に真っすぐ向けられる。
「……種は撒かれた。煽った甲斐があったものだ。魔師に至ったのは想定外だったが、これは僥倖」
「ああ、それはあたしも聞いている。直接見たかったんだがな。ババアを前にわたしの部下はやはり敵わんな」
あっさりと終わってしまった、と。
「それに、あれが私のもとから離れたとはいえ、『次代の明星』に行ったのだろう?」
「ああ、そうだな」
「あの『次代の明星』にだぞ? うん?」
他貴族でも震えあがってしまうゾインの視線を真正面からけ、は返す。
「ああ、あたしたち『次代の明星』に」
「ふう。ならば構わんだろう。……なんなら、これから私の愚息を頼むと頭を下げたほうが良いか?」
「……やめてくれ。まじで夜襲に怯える毎日になっちまう」
肩をすくめおどけるを鼻で笑うゾイン。
蒸留酒の強烈なアルコールにやられてしまったのか、普段よりも饒舌になりすぎているなと自覚する。
「ブランディは、今はどうでも良い。お前もさして興味はないんだろう?」
「ああ。あたしたちが鬱陶しく思っているのはババアだけだ。ババアを斬ったならあとで遊んでやったらいい。なんならブランディ得意の小麥畑に毒を撒いたら終いだ」
「神が我らのとするため地上に譲ってくれた小麥にひどい事をする……」
「神だって休暇をとって歓楽街に出かけたくなることもあるだろうさ。なんならあたしが神相手に斡旋してやってもいい。存外、神ってやつは俗なもんさ。その間に撒いたらいい。きっと恵みの雨を降らして嘆いてくれるさ、全てが終わった後に」
何の焦りもなく、軽口を続けるゾインを観察しても理解する。
きっと今回のダリアスの取った行は、ゾインの予定通りのもの。加えて、本人が魔に目覚めたため、さぞかし嬉しいのだろう。嬉しい方向で予想の斜め上を行く今の狀況に。
は立ち上がり、歩き出す。
「なら、いいんだな。これからダリアスはあたしのところで馬車馬のように働かせるぞ」
「ポニーをいっぱしの馬と思いたいのなら好きにしろ」
「……ゾイン。お前、魔師を甘く見ているな? その軽口、頭がから切り別れた後では言えなくなることを理解しておけよ。お前のガキは、魔師だぞ」
「ふふふ。私は、ゾイン=ソビだぞ。リディア?」
——、リディアはゾインの書斎に置いてある品の姿見の前に立つ。
「……本気でお前が魔師にならなくて、つくづく世は平和だと、あたしは思うぜ」
リディアは、既に彼から視線を外しグラスに殘っている蒸留酒を飲み干すゾインに聞こえぬ聲で呟く。
「あぁあ! 早く帰ってルベルメルの恥辱に耐える顔を眺めながら、式痕をたっぷりの唾でらせた舌で舐めまわしたいところだってのによ! 戻ってこねえんだったら帰る意味もないぜまったく!」
舌なめずりしながら想像して悅にるリディア。そんな熱い吐息が當たり、目の前の鏡を曇らす。
「お前は本當に私には分からぬ癖をしているな。に溺れるなとは言わんが自重したらどうだ? うん?」
まるで汚を見るような冷めた目でリディアを見るゾイン。あとで姿見を拭かねばならんな、と面倒に思った。
「おいおい、なんでだよ! あの式痕を彫ったのはあたしだぜ? 痛みに耐え、目元に涙を溜めながら、それでも小さくこぼれるぎ。そんな生娘の初めてみたいな反応されちゃあ、致さない方が失禮ってもんだろうが!」
「……唾を飛ばすな。掃除が面倒になる」
まるで癖を理解しないゾインに唾を吐き捨てたくなるリディア。
「まるで分かってねえよ、ゾイン。魔師ってのは自らのに忠実な人間だ。そんでってのは三大求の一つだぜ? 求めないでどうするよ」
「そんなもの、子孫を殘す以外に使い道もないだろう」
「まみれの貴族の方が可げがあるぜ? の枯れた権力ほど、怖い人間はいねえぜ、ゾイン」
「はぁ。さっさと帰れ」
払うように、面倒くさそうに手を振るゾイン。
これは本當に鬱陶しがっているなと察するリディアはさすがに切り上げることにした。
「じゃあな、ゾイン。お前んところのパン、まずくて食えたもんじゃねえから次はブランディんところのを頼むぜ!」
「……ふん。持參しろ」
リディアは鏡を前に紡ぐ。
「限定解除——」
次の瞬間には、リディアの姿はゾインの書斎から消えていた。
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