《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第8話 村の防壁を強化して防力を王都の城並みに上げる

「皆さん。おつかれさまでしたー。びっくりしましたよ、メルキスさんあんなにお強かったんですね」

冒険者さんたちとの模擬試合の後、シスターのリリーさんがひょっこりとやってきた。

「あら、肘のところにり傷が出來ていますよ。すぐ治しますね」

リリーさんが1人の冒険者さんに下級回復魔法”ローヒール”を使ってり傷を治す。

その様子を見ていたことで、僕の使用可能魔法に”ローヒール”が追加された。

――――――――――――――――――

メルキス・ロードベルグ

LV0:『獲得経験値の増加』

LV1:『パラメータの配分を自由に変更可能』

LV2:『見た魔法・剣技をコピーして使用可能』

〇使用可能な魔法・剣技

・ファイアーボール

・ダブルスラッシュ

・ローキュアー

・ローヒール[New!!]

――――――――――――――――――

これで冒険者さん達の誰かが怪我をしても、治してあげられるだろう。

「どうしてシスターのリリーさんが冒険者ギルドにいるんですか?」

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「この村では回復魔法が使えるのは私しかいないので、冒険者さん達のお手伝いをしているのですよ」

そう言ってリリーさんは、僕を拝んだ。

「……リリーさん、一何をしているのです?」

「聖書には、『神アルカディアス様は信じる者のもとに救いの使徒を送りこむ』とあります。私には、分かりました、メルキス様こそ、神からの使いなのだと」

「いえ、違います」

「神の使徒は、その自覚がないものもいるといいます。一目見たときから、メルキス様のことが特別な存在だとわかっておりました」

「はい?」

「メルキス様を一目見たときから、ずっとの奧が熱くなる思いがしておりました。何故なのかずっと悩んでおりましたが、今その理由が分かりました。メルキス様こそ神アルカディアス様がこの村を救うために送り込んでくださった使いなのですね」

「違います……」

と言っても、聞きれてもらえない。

リリーさんはずっと僕を拝んでいる。

……まぁ、そのうち勘違いが解けるだろう。

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「”勘違い”というのは、厄介なものだなぁ……」

僕の口からはふと、そんなため息じりの言葉がれた。

僕も勘違いなど起こさないようにしないと。

”カンカンカンカンカーン!!”

突如、村中に甲高い金屬音が響く。

周りにいた冒険者さん達の顔が引き締まり、戦闘態勢にる。

「領主サマ、これは見張りが鳴らしている、モンスターの襲撃を知らせる鐘です! 急ぎやしょう! 早く迎え撃たないと村人に犠牲が出やす!」

僕は頷き、冒険者さん達とともに、モンスターの襲撃があった方へ走り出す。

「――見えた! 領主サマ、あそこです!」

タイムロットさんが指さす先では、まさに村を囲む柵を壊してゴブリンの群れがり込んで來ようとしていた。

そして、その近くでは1人の小さいの子が腰を抜かしている。

「馬鹿! あれほど柵の近くでは遊ぶなって言ったのに! おい逃げろ!! 頼むから逃げてくれ!!」

どうやらあの子供は、タイムロットさんの娘らしい。タイムロットさんが必死な顔でぶが、それでもタイムロットさんの娘は腰が抜けたままけない。

ゴブリンたちは、後10秒もあれば柵を壊して村にってくるだろう。

そこからタイムロットさんの娘を殺すまで、1秒と掛かるまい。

一方僕たちはまだまだ柵から遠い場所にいる。

ここから走って子供を助けに行くまで、60秒は掛かるだろう。

――普通に走れば。

「”フォースブースト”発!」

馬より遙かに早い、突風のような速度で地を駆ける。そしてその勢いのまま、柵をぶちぬいてゴブリンの顔に跳び蹴りを見舞う。

大砲の弾のような勢いで、ゴブリンが他のゴブリンを巻き込んで吹っ飛んでいく。巻き込まれなかったゴブリン達も、何が起きたのか理解できないらしくきが止まっている。

「隙あり、”ファイアーボール”!」

そこへ、極大ファイアーボールを打ち込み、一掃。ゴブリンの群れは、跡形もなく消し飛んだ。

――――

「本ッッッ當にありがとうございました領主サマ! 貴方には娘の病気を治し、ゴブリンから守っていただいて、今日1日で、2回も娘の命を救って頂きやした!!」

タイムロットさんは、僕に追い付くや否や凄い勢いで頭を地面にこすりつけ始めた。

「領主サマは娘の命の恩人です! 領主サマのためなら俺は命だって捨ててやりますぜ!」

「いえその、命は大事にしてください……」

そして1回目の病気を治したというのは、演技のはずでしょう。

いつまでその設定を続けるんだ……。

「ほら、お前もお禮を言うんだ」

「りょ、りょうしゅさま、ありがとうございました……」

タイムロットさんに言われて、娘さんがおずおずと頭を下げる。

まだゴブリンに襲われかけた恐怖が殘っているのだろう、肩が震えている。

「何度も言っただろう、柵の近くで遊んじゃ駄目だって……。本當に、どれだけ危なかったか」

「パパ、ごめんなさい……」

「全くお前ってやつは……。本當に、本當に無事でよかった……!!」

タイムロットさんが涙を流しながら、娘を力強く抱きしめる。目からはとめどなく涙が流れていた。

あの幸せな家庭を守れて、本當に良かった。

「茶番はそれくらいにして、仕事始めさせてもらって良いっすかね?」

ポケットに手を突っ込んで、1人の男が出てくる。なんだか、他の人とは違って、橫柄な態度だ。

その男は地面に手をつき、魔法の詠唱を始める

「発、土屬魔法”ソイルウォール”!」

すると地面が盛り上がり、どんどん上に向かってびていく。そして、まわりの壁と同じ高さまであっという間に長した。

「あの男は、別の村から出張で來ている壁の修理屋さんです。報酬金は足元を見ますし、態度も悪いのですが。この村には、壁を直せる者がいないので、仕方なく來てもらっているのです」

シスターのリリーさんが僕の耳元でささやいて教えてくれる。

「聞こえてるぜお嬢ちゃん。おいおい、こんななんの取り柄もない、人材も資源もないクソ田舎まで來てやってるのにひでーこというじゃねえか」

クソ田舎だって……?

僕はこの村に來たばかりだが、それでもこの村のことを悪く言われるのは腹が立つ。

「それよりも、ちゃんと今日の分の料金は払えるんだろうな? ツケにしてくれってのは無しだからな? 現金で払えなきゃ、そこのシスターちゃんにで払ってもらうからな?」

「馬鹿にしないでください。この村には、貴方を雇う程度のお金は殘っています。あまり汚い言葉を使わないでください」

リリーさんは、を噛んで屈辱に耐えていた。

「なんだよ、俺に文句があるのか? 俺がいないと、壁のを塞げないくせに。いいんだぜ? 俺はこんな田舎に來てやらなくたって」

その時、僕の頭の中に聲が響く。

『土屬魔法”ソイルウォール”をコピーしました。

源魔法】

〇使用可能な魔法一覧

・火屬魔法”ファイアーボール”

・狀態異常回復魔法”ローキュアー”

能力強化魔法”フォースブースト”

・回復魔法”ローヒール”

・土屬魔法”ソイルウォール” [New!!]

「分かりました。では、もう來ていただかなくても大丈夫です」

「へ?」

僕はコピーした魔法を使う。

「発、”ソイルウォール”!!」

その瞬間、地面が揺れる。

出來たばかりの土の壁を飲み込みながら地面がせりあがっていき、どんどん上昇する。

最終的に、高さ10メートル近い高さの土の壁が出現した。壁は厚さも4,5メートルはありそうだ。きっと、大砲の弾だろうと防ぐだろう。

「メ、メルキス様! これは一!?」

リリーさんが目を白黒させながら尋ねる。

「僕も試しに”ソイルウォール”の魔法で壁を作ってみました。いやー、まさかここまで大がかりな壁が出現するとは思わなかったですけどね」

周りにいた全員があんぐりと口を開けて驚いている。

「流石領主様、いい仕事してくれるぜ!」

「もうあんな態度の悪い土屬魔法使いにムダ金を払わなくて済むんだ!」

冒険者さん達からは壁は好評のようだ。良かった。

呆然と壁を見上げていた土屬魔法使いさんは、

「馬鹿な、俺が30年掛けてに著けた技が、こんな若造に越されただと……!?」

と地面に膝をついて落ち込んでいる。

「さあ、お前の仕事はもうこの村に無いぜ。せめてお前の実家がある村まで送ってやるよ」

タイムロットさんが土屬魔法使いさんの腕を引っ張って連れて行こうとする。

「ま、待ってくれ! 実は俺、この村以外では壁の修理の仕事がないんだ。他の村には、もう専屬の土屬魔法使いがいるんだよ!」

「貴方の態度が悪いので他の村で雇ってもらえなかっただけでは? 自業自得でしょう」

「ぐ、ぐうううぅ」

リリーさんが正論で突き刺すと、土屬魔法使いさんはなにも言い返せず黙ってしまった。

土屬魔法使いさんも、元の村に帰れば壁の修理の仕事はなくても農作業の手伝いなどはさせてもらえるだろう。飢えて死ぬことはないはずだ。

土屬魔法使いさんは、大人しくタイムロットさんに連れられて行く。

「メルキス様、回復魔法だけでなく土屬魔法も使えたのですね」

「いえ、僕はギフトの力で見た魔法を全てコピーして使うことができるのです」

「見た魔法を全て……!? やはりメルキス様は神の使い……ありがたやありがたや。ていうか、見ているだけで何故か幸せな気分になれる……!」

またリリーさんが僕を拝み始めるが、スルーすることにした。

僕はし加減しながら何度か”ソイルウォール”を発して、壁に階段を作る。

壁を登って上から見る景は、素晴らしいものだった。

村を囲む木々。湖が、夕日を反して茜に染まっている。吹き抜ける風が心地いい。

これまで居た王都にはなかった、雄大な自然を全じられる。

村人も、みないい人ばかりだ。試練などとは無関係に、この村に來てよかった。

ここでの暮らしをもっとかにして、最高の村にしたい。

試練を抜きに、僕はそう思うのだった。

「じゃあ早速、領主としての仕事をにとりかかろう」

僕は”ソイルウォール”を使い、村の周りにどんどん壁を作っていく。その様子を見て、村人達がどよめく。

「領主様。も、もしかして……?」

「はい。この村全を、この巨大な壁で囲おうと思います」

「「「うおおおおおお!!!」」」

村人達から歓聲が上がる。

「これならモンスターに攻撃されたくらいじゃビクともしないぜ!」

「前の壁はいつ強力なモンスターにぶっ壊されるか不安だったんだ。これで安心して暮らせる!」

「もう夜中に敵襲で叩き起こされることも無くなるんだ!」

「守りのさならもう王都にも並ぶんじゃないか!? 領主様の魔法凄すぎるぜ!」

「メルキス様ありがたや……メルキス様ありがたや……」

村人達の喜びようをみると、僕が思うよりも”いつモンスターの群れが壁を破ってってくるかわからない”という恐怖は大きかったらしい。

村の正面と裏だけは小さく門を開けておき。それ以外は、全て”ソイルウォール”の壁で囲う。

何とか完全に日が落ちるまでに作業を終えることができた。土の壁でおおわれた村は、まるで王都の中央にある城のようだ。

「壁の上から、村に近寄ったモンスターを弓で倒せば楽にモンスターの素材が手にるぜ! 回復ポーションが要らないから黒字間違いなしだ!」

冒険者さん達の仕事が減って、稼ぎが無くなってしまうかもしれないと心配もしたが、そんなこともないようでよかった。

こうして、僕の領主としての初日の仕事は大功で終わったのだった。

〇〇〇〇〇〇〇〇村の設備一覧〇〇〇〇〇〇〇〇

①王都の城以上の防力を誇る防壁

〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

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